死神くん (第5話・5/23) 感想
テレビ朝日系『死神くん』(公式)
第5話『老夫婦の幸せ~オレオレ詐欺する孫に悪魔が囁く…!!』の感想。
なお、原作(えんどコイチ氏による漫画)は未読。
死神(大野智)は老夫婦の家で夫・留吉(山本圭)に迎えを告げる。寝たきりの留吉が心残りなく余命を過ごすため、妻の民江(吉行和子)にも存在を明かした死神。だが、やり残したことはないと言う夫婦の無欲さに困惑する。そんな民江に悪魔(菅田将暉)が接近し、けん制する死神に「どんな人間にも欲望の芽はある」とうそぶく。翌朝、息子の手紙で孫の誠(西井幸人)の就職を知った留吉は、死ぬ前に誠に会いたいと言い出す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
人間社会を不思議に思う死神を演じる大野さんの演技!
最初に私が注目したシーンが、冒頭から少しして、民江(吉行和子)が幾度も特売品を買い逃しても腹の一つも立てず、「良かった。おむつは買えましたよ」とやっと大人用おむつだけは無事に変えて喜ぶ民江に、死神(大野智)が「本当に良かったの?かなあ」と首を傾げるシーンでの大野さんの演技。
実に今の日本の社会の矛盾(経済や福祉など)に対する疑問や不満を秘めた優しくも怒りを込めた難しい表情を見事に表現していたと思う。この表情によってアバンタイトルもビシッと決まり、今回も秀逸な回になることは解ったのだ…
五人の演技力の共(競)演が秀逸な回だった!!
当blogは演技については基本触れない立場なのだが、今回は触れざるを得ない。それほど、大野さん、山本圭さん、吉行和子さんら五人の演技と存在感が素晴らしく、これらが無くして今作の完成度はあり得ないと思ったから。
特に秀逸だったのは終盤41分過ぎからの、留吉(山本圭)が息子夫婦と孫の死を思い出すシーン。孫だと信じている誠(西井幸人)を前に楽しくアルバムを見せる留吉が、偶然葬式の写真を見て悲鳴を上げ倒れ込み、民江が寄り添う。亡くなった夜の回想での山本さんと吉行さんも素晴らしい。
死ぬ直前に人生で最も悲しくて苦しい過去を思い出した老いた夫に、優しく声をかける老いた妻。その真実を初めて知る死神。悪魔に魂を売ろうとするのを必死に止める死神だが、結局留吉は再び誠と将棋を打ち始める。しかし、留吉は静かに息を引き取る。この時の大野さんの表情こそが、上で書いた首を傾げた死神に突きつけれらた人間の現実を上手く表現していた。
もちろん、悪魔役の菅田将暉さんや孫の西井幸人も素晴らしい。何が正しくて間違っているのか、誰が生きていて誰が死んでいるのか、このわずか6分程のシーンに凝縮された「生きるとは何か?」「愛とは何か?と言う大きなテーマを、実に解り易くそして感動的に魅せてくれた五人の演技力の共(競)演に拍手を送りたい!
悪魔までも諦めさせた老婆の愛の物語に感動!!!
では、最後に物語について。今回はこれまでよりも死神と悪魔の対立構造が重視され、それに振り回される形で老いた夫婦の愛情や欲望が様々に交錯し、ドラマの構成がどんでん返しに次ぐどんでん返しで、時にドキドキしながら時にじっと見守りながら、今の高齢化社会の縮図を目の当たりにしてくれた、そんな物語だったと思う。
今回は死に行く者でなく、死を看取る者や遺される者の深い愛情にいつになく翻弄される死神が、それでも最期まで死者に寄り添ったのが感動的。更に悪魔さえもその深き愛に騙されてしまう。本作らしい見事なブラックなハッピーエンドとでも言おうか。本当に秀逸な人間ドラマだったと思う。
あとがき
いやあ、今回は珍しく俳優さんのことを中心に書いちゃいました。大野さんを始め皆さんお見事だったと思います。もちろん話の素晴らしさがあるからこその、この後味の清々しさも素晴らしい仕上がりでした。深夜枠らしい大人も十分楽しめるブラックファンタジー、次回も大きく期待します!
最後になりますが、第4話の感想に134回以上のWeb拍手を頂きました。ありがとうございます。私の記事で本作の面白さや“俳優・大野智”の良さが皆さんに伝わると良いのですが。これからもよろしくお願いします。
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