[読書]線路はつながった 三陸鉄道復興の始発駅 (冨手 淳/著・新潮社) 感想

2014年4月6日、開業30周年で三陸鉄道全線復旧!
昨日2014年4月6日、東日本大震災の津波で大きな被害に遭った岩手県の三陸鉄道(公式サイト)が、最後まで不通だった北リアス線小本―田野畑間(10.5キロ)の運行を再開した。これで南リアス線と合わせた107.6キロが全て復旧し、開業30周年で再出発を果たした。本書はその当事者の3年間の手記だ。
著者は「あまちゃん」の大吉のモデル!
私が本書を手にした理由は、昨年放送の朝ドラ『あまちゃん』の劇中に登場する「北三陸鉄道」に興味感心を持ったからだ。
著者は杉本哲太さんが演じた北三陸鉄道リアス線北三陸駅の駅長・大向大吉のモデルになったと言われる三陸鉄道旅客サービス部長の冨手淳氏(杉本さん演じた大吉の話し方などのモデルは、久慈市観光課の方だと書いてある)。
“あまロス状態”のあなたへ、癒しの一冊!
また、『あまちゃん』視聴者にとって興味深いのは、劇中で描かれた数々の「きたてつ」関連のネタ元や、撮影秘話が散りばめられていることだ。劇中では震災後に何とか会社を再建し鉄道を復旧させようと大吉らが観光協会の菅原らがあれこれ奇抜な解決策を打ち出すが、実際にも様々な作戦が取られていたと言う。
あのジオラマの誕生秘話や「北三陸を何とかすっぺの会:別名K3NSP」のモデルは「SMAP(サンリク・マーケティング・アクション・パーティー)」と言う実際の会だったり。また、地震で列車が止まった描写や大吉とユイがトンネルから出て初めて目にする惨状、最終回でアキとユイが走る線路のことなど、『あまちゃん』にハマった人なら十分に堪能できる記載が多い。
鉄道に詳しくなくてもOK!
本書は、以下の4章構成。
「第1章 地震発生」
「第2章 支援と自助努力」
「第3章 三陸鉄道マイヒストリー」
「第4章 完全復旧へ」
3.11の地震発生からの3年間を職員たちの現場の対応状況や、鉄道利用者や近隣住民などの声を交えて、とてもリアルに且つ整理されて解り易く書かれており、私のように鉄道に詳しくなくても読み進めることが出来る。
本書の主軸は、全線開通運転再開へとこぎ着けた、著者の三陸鉄道の鉄道員として誇りや鉄道や地元への愛情だ。温厚で真面目な文体の中に、支援に頼らず稼ごうと言う逞しさやアイデア溢れる商魂に、これが完全復旧の原動力だったのかとよく解る。
そして、『あまちゃん』ファンならそれが劇中の大吉と重なり、読んでいて楽しいし、余計に著者の熱い思いがヒシヒシと伝わってくる。放送終了から半年が過ぎた。久し振りにあの白地に赤と青の列車を思い出してみないか。
あとがき
本書を読んで、『あまちゃん』で脚本家や演出家たちが劇中の北三陸の人々たちで何を描き語ったのか、また違った一面が見えてきたような気がします。あのシーンにはこんな意味があったのかも?なんて…
震災から現在までの三陸鉄道の克明な記録であり、著者の鉄道や地元への思いが綴られた情熱を感じる一冊です。ありきたりな表現ですが、まだまだ復興は大変でしょうが、様々な希望を乗せて走り続けて欲しいと思います。
|
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
コミックいわて from WEB
さんてつ: 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録 (バンチコミックス)
今日の「あまちゃん」から
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」完全シナリオ集 第2部 (単行本1(5000円未満))
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/5403/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方へ → コメント欄に、ブログ名、記事のタイトル、URLをご記入下れば、確認次第公開させて頂きます。お手数をお掛けします。
【これまでの『あまちゃん』関連の記事(本家)】
あまちゃん (第156回 最終回・9/28) 感想
あまちゃん (全156回) 総括と言うより156回分の感想で書き切れなかったこと
“あまちゃん”ライブ完全版!! (12/29) 感想
あまちゃん (第157回 紅白歌合戦内“特別編”・12/31) 感想
- 関連記事