映画「LIFE!(字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレあります


なお、本作は、ジェームズ・サーバーの短編小説『虹をつかむ男』(1939年発表)を原作とする映画『虹を掴む男』(ダニー・ケイ主演/1947年公開)のリメイク作品で、そちらは鑑賞済み。
ざっくりストーリー
雑誌「LIFE」で地味な写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、人付き合いが下手で、密かに熱い思いを寄せる同僚シェリル(クリステン・ウィグ)と会話もできない臆病者だが、空想と言う特技があった。
雑誌の廃刊が決まり、社内中が最終号の準備に追われる日々でも、勇敢なヒーローに変身して町を救い大活躍したり、横暴な上司と激しいバトルを繰り広げたりして、平凡な日々をやり過ごしつつ、現実と空想のギャップに疲れていた。
ある日、ウォルターは最終号の表紙を飾る写真のネガが見つからないことに気づくが、その写真家ショーン(ショーン・ペン)は世界を放浪しながら写真を送ってくるため、今どこに居るのかわからない。そこで写真家に会うために現実の冒険の旅に出ることに…
ネタバレが含まれます。物語の核心にも触れますので、ご理解の上、“続きを読む”よりお進み下さいませ。
写真には収まりきらない、それが人生だ!
終盤、ヒマラヤ山中で主人公ウォルターがやっとの思いで写真家ショーンに辿り着く。ショーンは遙か遠くにいるであろう被写体(ユキヒョウ)のシャッターチャンスをじっと待っている。やがてユキヒョウが姿を見せるが、なかなかシャッターを切らない。
ウォルターが問うと、「俺にとって好きな瞬間は、カメラに邪魔されたくないんだ。一瞬を慎重に、今を楽しむんだ」と。二人はその後地元の子どもたちとサッカーに興じる。今と言う現実を一番大切にしたいショーンの人生観と、空想することで現実を何となく生きてきたウォルターの人生観の融合だ。
今や世界中どこからでも写真を送り公開し、瞬時に「いいね」を貰えるのが良しとされる時代。あらゆる情報を共有し共感し通じ合える現代。しかし、このシーンで訴えてくるのは、写真には収まらなものがあると言うことだと思う。それが今と言う“瞬間”であり、その瞬間を生きている“人生”なんだと。
瞬間を切り取る“写真”と言う媒体を
見事に活かした映画!
本作の舞台は、2007年廃刊までの約70年間、アメリカの思想や文化・政治や外交世界に魅力的に紹介し、フォトジャーナリズムを確立したとして知られ、あのアメリカ雑誌『LIFE』の写真管理部だ。写真の世界を映画が描くと言うのも実に面白い。
壮大な冒険旅行の末に見つかり最終号の表紙を飾るその一コマは、“これを作った人たちに捧げる”のキャプションを添えられた、真面目で確実な仕事をすると評価の高かったウォルターの仕事風景だった。そう、そのネガこそ彼の人生の一コマだったのだ。何とも鋭い角度の洒落たメッセージなのかと感心してしまった。
どんな人間にも、その人を必要とする人がいる!
本作の骨子は、地味で臆病な主人公が、冒険によって成長し、本当の自分と片思いの女性を手に入れると言うありふれたものだ。そして、主人公が冒険によって得るものは、どんなに平凡で面白味のない人間(人生)でも、きちんと存在するべき価値(役割)があり、それを必要とする人(や組織)があると言う現実・事実。ごく当たり前の特別なことではない。
しかし、本作はありふれた既視感のあるような作品では無い。狭苦しい会社内と壮大な大自然との美しいコントラストある映像、どこにいるのかわからない写真家を探すと言う謎めいた物語、空想中のド派手なSFXなど、映画としての面白さ満載で飽きさせない。様々な作品へのオマージュやパロディーも見逃せない。実に良く出来た娯楽大作なのだ。
あとがき
全体的に都合の良過ぎる展開にマイナス星1つにしました。それ以外は、映画らしい洒落た設定、スタッフたちの遊び心、映画館で観るに相応しい壮大な風景、粋な音楽の選択など、これぞ映画って感じの作品でした。予告編や宣伝が安っぽいので二の足を踏んでいるなら、是非映画館で観て下さい。ちょっぴり元気が出ます、きっと。
最後まで長文を読んで下さり、ありがとうございました。
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