[読書]TVディレクターの演出術: 物事の魅力を引き出す方法 (高橋弘樹 /著・ちくま新書) 感想

低予算にも屈しないディレクター魂が伝わってくる!
本書には、テレビ東京のディレクター・高橋弘樹氏の「手作りで番組を作る方法」が書いてある。彼の言う手作りとは、ディレクターが自分で台本やナレーションを書き、自分でカメラを回し、タレントはあまり使わない番組づくりのことだ。
従って、当blogの読者さまの多くが大好きなテレビドラマやCMのような、多数のスタッフが共同で作る作品の作り方には触れられていない。しかし、番組の大小に拘らず。視聴者に映像作品を面白く観て貰うための“演出”に込められたディレクター魂のようなものは共通だと思う。
普通の仕事でも「これは使える!」と思うはず…
本書には、自分の意図をどう相手に興味深く解り易く伝えるかの技術が書かれている。これは普通の仕事で企画書作成したりプレゼン発表したりする機会のある人には共有しておくと有用なテクニックだ。
例えば、プレゼン時の“間”の重要性や、企画書やパワーポイントの画面構成での見せ方などに役立つ情報が、直接は書いてないが、読んでいくと自然に「これ、使えるぞ!」と言うくだりが幾つもある。ちょっとしたことでその作品が魅力的で印象的になるのだからやらない手は無いはずだ。
もっと「ミニ番組」を楽しめるようになる!
「“飽きさせない”撮影の仕方」や「“わかりやすく”伝える物語の組み立て方」あたりは、ドキュメンタリー作品などが好きな人なら作り手の仕掛みたいな部分が覗けて面白いと思う。
一方で「“面白さ”を見つけるズラし方」や「“効率”をあげるインターネット活用術」「“素の良さ”を引き出すための演出法」あたりは、TVディレクターでやってない人なんているの?って感じで拍子抜けしてしまう。
ただ、全体的には「章立て」も解り易いから、テレビの中のことをあまり知らない人なら、結構楽しめると思う。特にニュース番組中のミニレポートコーナーや、『5分番組』『隙間番組』『ミニ番組』などと呼ばれる様々な情報が凝縮されたあの番組を観る時に、間違いなく今までと違った楽しみ方が出来るようになると思う。
あとがき
著者の高橋弘樹さんは『空から日本を見てみよう』の番組ディレクター。私の町の紹介もされたことがあります。その時、「私の町をそう言う切り口で魅せるんだ!」とちょっと感心した記憶があります。
観た人の心に一瞬でも残る映像を作るってとてもたいへんなことです。そんな映像を作った著者の本なので、文章も皆さんの心に残るんじゃないかと思います。番組制作の本ですが決して専門的でないので気軽に読めると思います。私もジャンルは違いますが、1カットでも観た人の心に残る映像を今日も創ってます…
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表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
三谷幸喜 創作を語る
キャラクタードラマの誕生: テレビドラマを更新する6人の脚本家
それでもテレビは死なない ~映像制作の現場で生きる!
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