[読書]ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史 (細馬宏通/著・新潮社) 感想

アニメーションの表現方法の歴史書
内容は、サブタイトルの通りの『アニメーションの表現史』である。まず、ディズニーアニメやミッキーマウスに特化した内容ではないと言うことは断っておいた方が良いだろう。世界初のアニメーションを始めとし、1900~1950年代のアニメ創世記から中期に掛けての、アニメーションの表現方法の歴史書だ。
丁寧で細部まで解説されている
本書は、アニメーション技術の向上に伴って、表現方法や演出技法が次々と改善され洗練されていく過程を、図や写真を使いながら、とても丁寧な文章で細かい部分まで解説されている。これなら未見の作品についてでも、十分に理解できると思う。
私お薦めの5本の動画リンク
とは言え、やはりアニメーションは動いているのを見てこそ納得しやすいし、著者の意見にも共感し賛同できると思う。そこで、当blogでは、著作権切れなどで合法的に見られる作品の中で、私がお薦めの5本の動画リンクを掲載してみる。是非、本書を手にした後はもちろん、こんな作品を扱ってると言う参考になればと思う。
■第一章 アニメーションとヴォードヴィル
・世界初のアニメーション映画『愉快な百面相』
http://youtu.be/8dRe85cNXwg
■第三章 『恐竜ガーティー』――ウィンザー・マッケイの王国(二)
・『恐竜ガーティー』(マッケイのヴォードヴィル芸の再現版)
http://www.youtube.com/watch?v=u-XGIA-lbf4
■第七章 ミッキーはなぜ口笛を吹くのか
・ディズニー『蒸気船ウィリー』(1928年版)
http://youtu.be/DQT6caq-Iaw
■第八章 ベティ・ブープはよく歌う――フライシャー兄弟の復活
・フライシャー兄弟『ポパイ・ザ・セイラー・マン』
http://www.youtube.com/watch?v=TfKTC0yAKmM
■第十章
フリッツ・フレレング『ヤンキー・ドゥードゥル・ダフィ』
http://www.youtube.com/watch?v=TV2fOHsNfwA
ミッキーはなぜ口笛を吹くのか
もちろん「なぜミッキーはなぜ口笛を吹くのか?」について、アニメーション上の技術的な表現の解説を含めて詳細に書かれている。
その中でも、私が興味深く読んだのは、ディズニー史上初めて動く姿をスクリーンで見せるミッキーマウスを、ウォルト・ディズニーが営業的にどう言う仕掛けで描いたのかと言う部分。アニメに関係なく、ディズニーのファンでも十分に楽しく読めると思う。
あとがき
全358ページとちょっと分厚い本ですが、価格は1,680円(定価)なのでお得感があります。最近のCG全盛で実写と見間違えるようなアニメーションが多い中、アニメーションの原点を知るのにはちょうど良い本だと思います。
私のようにアニメーションには詳しくない人でも読み進められますし、ディズニー映画ファンなら十分楽しめますし、何より今後アニメを観る時の視点が変わってくるのは間違いないと思います。
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★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
ミッキーの書式 戦後まんがの戦時下起源 (角川叢書)
ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記
ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書)
アニメと生命と放浪と ~「アトム」「タッチ」「銀河鉄道の夜」を流れる表現の系譜~ (ワニブックスPLUS新書)
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