「今日の日はさようなら」 24時間テレビ36 SPドラマ (2013/8/24) 感想
日本テレビ24時間テレビ36 ドラマスペシャル『今日の日はさようなら』(公式 / 2013年8月24日放送)
『(ラテ欄)突然、がんに侵された青年がつらい闘病生活、再発、余命宣告を経て死を見詰めながら、ちゃんと死んでいこうと決意する姿を描く』の感想。
幸和也氏の原作『大空への旅立ち がんと闘いながらも夢見ていた未来』は未読。25日朝に放送されたドキュメンタリーも未見。
最近の24時間SPドラマでは、一番良かったかも?
前年までと比較するのもおかしな話だが、でも今年の『今日の日はさようなら』は、私にとってはここ数年の中で、最も自然に物語を受け入れ感動できた、そんなドラマだった。
事前情報もほぼ無しで観たから、まさか主人公の死への過程から死の瞬間を描く劇的なドラマだと想像もしなかった。それだけに、上手くこの重いテーマを最後まで描き切ったと思う。
奇を衒わなかった脚本や演出に拍手!
まず、タイトルがタイトルだけに全編にドラマチックに音楽が流れ、毎度のようにお涙頂戴の台詞と構成で攻めてくるのかと思いきや、今回は違っていた。
最後まで奇を衒わず淡々とした日常の描写に徹したような演出や撮影。脚本の台詞も妙に“命”や“生死”を無理に強調することもなく、登場人物たちが自然に発した“言葉”の連続で、静かな時が流れて行ったと思う。
それと、主人公・富士岡耕太(大野智)の描き方もシンプルで良かった。耕太が倒れるまでの説明も少なく、彼の人物設定的な詳細はあまり描かず、彼の病気や生死に関する部分に絞り込んだ脚本や演出も、最後までブレが無くて良かったと思う。
配役も演技も良かった!
今回の登場人物たちは、全体的に感情をあまり表に出さない人物が多かったように思う。もちろん、耕太の家族は自分自身や他の人間に感情を強くぶつける(表に出す)シーンはあるが、脇役も含めて押し並べて感情を内に秘めるタイプが多かったと思う。
普通この類のドラマであれば、感情の起伏を激しくバンバン言葉で表現した方が、観ている側も解り易いし、つくり手も作り易いと思う。しかし、今作は全員が強く感情を表に出さない。
それだけに、特に耕太が最期の時を迎えるシーンでの、家族四人それぞれの演技が映えたし、耕太との関わりの中で魅せた脇役たちのちょっとした仕草や表情が、作品のポイントになっていたと思う。
あとがき
全体尺の半分近くが、主人公が“ちゃんと死ぬための時間”を描くのに割かれたと言うのが、私には斬新でした。
“看護のバイブル”と言われるスイスの精神科医・エリザベス・キューブラー・ロスの書『死ぬ瞬間―死とその過程について』には、多くの患者(すべての患者に当て嵌まるものではない)の心理状態は、「否認と孤立」「怒り」「取り引き」「抑うつ」「受容」と順に変化するとあります。本作はこの変化をわかりやすく表現していたように思います。
きっと私をはじめ多くの人が、本作を観て「自分なら」「家族なら」「恋人なら」と考えたのではないでしょうか。そして、そう言うことが誰にでもいつでもやってくる可能性があることも、改めて考えたと思います。考え悩む必要は無いと思いますが、考えることは良いことだと思います。嵐の大野さん主演と言うこともあり、幅広い年齢層の人たちに考えるきっかけをくれたこのドラマ、なかなか良作だと思いました。
【当blog内の関連記事】
【書評】「死ぬ瞬間―死とその過程について」エリザベス キューブラー・ロス (著)
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