映画「ソウル・サーファー」 感想と採点 ※ネタバレあります
映画『ソウル・サーファー』(公式)を昨日劇場鑑賞。
採点は、★★★★☆(5点満点で4点)。100点満点なら70点にします。
ざっくりストーリー
ハワイ在住のベサニー(アナソフィア・ロブ)は、幼い頃からプロのサーファーになることを目指していたが、13歳の時に突然サメに襲われ左腕を失ってしまう。
母から「マーメイド=人魚」と呼ばれた勝気な少女は、不安と絶望のどん底でもサーフィンを諦めることは出来なかった。そして、過酷な特訓と家族や友人たちに支えられながら、再びプロを目指すために海へ戻る…
さすが文科省選定、ベタにも程がある。でも素直に感動できる!
なんてったって公式サイトに堂々と「文部科学省選定」の金看板付きの本作。スポ根あり、家族愛あり、熱き友情あり、奉仕の心、そして自ら将来を切り開くサクセスストーリーありと、言っちゃ悪いが善行のテンコ盛り。ベタにも程がある、そんな作品だ。
でも、捻くれ者の私でもエンドクレジットまで素直に感動できた。その理由は、ベタなテーマながら、ハワイの澄んだ青い空と海、ハワイならではの文化、サーフィンと言うスポーツの純粋さが、道徳の教科書のように押しつけがましく無く、ストレートに訴えて来るからだ。久し振りに後味の良い作品に出会った、そんな一本だった。
「意見には個人差があるから」と寛大なお心の方のみ、採点理由も含めて、詳細はネタバレが含まれますので、ご理解の上、“続きを読む”よりお進み下さいませ。
左腕を失ったことを最も気にしているのは観客の私だった…
ベサニーが映画『ジョーズ』ばりのショッキングな演出(本作のサメはCGだが)で左腕を失い、病院に担ぎ込まれ、何とか一命を取り留めてホッとするシーン。私はさぞベサニーは失意のどん底に陥り、家族や友人や医師も懸命に励ますと思って観ていた。
しかし、実際は医者が意外にサラッと「出来ないことは、少しだけだ」と言い、両親も頷くのだ。そう、ベサニーや家族たちは命が助かったことを喜ぶのだ。
確かにこの時点での当事者たちにすれば、サーフィンは命の危険と隣り合わせのスポーツであることを純分承知で、だからこそ生きているだけで幸せなのだ。このような奇を衒わないストレートな脚本と演出だからこそ、心に伝わるものがある…
主人公が家族、宗教、ボランティアで葛藤を乗り越えていく…
主人公が葛藤を乗り越える重要な要素はもちろん献身的な家族愛は言うまでもない。しかし、本作がアメリカ映画らしいのは、宗教やボランティア強く関わる点だ。
特に敬けんなクリスチャンである主人公がキリスト教を信仰し家族や友の祈りによって復活する点や、家族や友だちや夢などすべてを失ったタイの子供たちへのボランティアを通して、主人公は自分が今すべきことに気づく点だ。
いつもの私なら「キリスト教布教映画だ」と言うところだが、本作では一切思わなかった。その思想がハワイの文化に溶け込んで見えたし、敢えてそういう映画にしなかった企画の賜物だと思う。
因みに、下記の動画でベサニー・ハミルトン本人がインタビューでこう話している。
Nick interview with Bethany (英語、日本語字幕)
http://youtu.be/C3kZKi0JAUM
「サーフィンは私にとって一番大切なものじゃない。
イエス・キリストこそが一番大切」
CG…
さて、興味本位で触れるのはどうかと思ったが、最新の映画技術の話として書いておく。本作の見所の一つにベサニーの失った左腕の映像化とサーフィンのシーンの映像がある。
前者は、ベサニー役のアナソフィア・ロブの左腕に緑色の布を巻き付けて撮影。ポストプロダクション(撮影後の様々な処理)によって背景をCGで載せていくと言う、今やSFやファンタジー映画ではお馴染みの特別でない手法だが、本作のようなドキュメンタリータッチの作品では珍しいかもしれない。
また、サーフィンのシーンもかなりCG処理されており、最後のサーフィン大会のCGなどはかなり雑な処理で、その辺はもう少し頑張って欲しかった…
因みに本作のメイキング映像で左腕の撮影シーンが見られる。
The Making of Soul Surfer
http://youtu.be/Wysk3vREH8M
全体的には、良く出来た再現ドラマであり、セミドキュメンタリー映画とも言えるが、テーマの割に説教くさい部分は無く、爽やかなハワイのサーフィン少女と家族の物語として十分に楽しめる。
エンドクレジットで実際のベサニーの映像がインサートされるのも後味の良さに貢献している。是非、ニュートラルな精神状態で観るのをお勧めします。
ソウル・サーファー ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
ソウル・サーファー [DVD]
ソウル・サーファー―サメに片腕を奪われた13歳 (ヴィレッジブックス) [文庫]
ソウル・サーファー ヨハネの福音書付 [単行本(ソフトカバー)]
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/3686/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方へ → 記事のコメント欄に、貴方のブログ名、ブログ記事のタイトル名とそのURLをご記入下さい。こちらで確認して公開させて頂きます。お手数をお掛けします。
また、http://dmesen.seesaa.net/article/276270705.html でも、受け付けております。
- 関連記事
-
- 映画「ネイビーシールズ」 感想と採点 ※ネタバレあります (2012/06/27)
- 映画「ハングリー・ラビット」 感想と採点 ※ネタバレあります (2012/06/21)
- 映画「ソウル・サーファー」 感想と採点 ※ネタバレあります (2012/06/21)
- 映画「ファミリー・ツリー」 感想と採点 ※ネタバレあります (2012/05/22)
- 映画「フェイシズ」 感想と採点 ※ネタバレあります (2012/05/12)