相棒season10 (第10話・新春特別拡大版元日スペシャル 1/1) 感想
10/19からテレ朝で始まったドラマ『相棒season10』(公式)の第10話・新春特別拡大版元日スペシャル『ピエロ』の感想。
苦痛の冒頭8分間を過ぎたら、突然光明が射してきた!
「相棒のSPは期待するな」が最近の私の呪文になっている。今回もお正月ネタに始まり初期設定説明がだらだらと約8分間続き半ば諦めかけた頃、突然に光明が射してきた!
何と人質として尊(及川光博)が犯人側の人物になるではないか。これは脚本担当・太田愛氏の素晴らしいアイデアだ。これなら余程突拍子もない展開をしなければ、尊と右京(水谷豊)は最後まで異なる立場で動く(活躍する)しかないのだから。
そうなれば、今回の元旦SPでは、本作の最大の懸念材料だった、右京と尊の個性を生かした“新相棒”による捜査が楽しめると確信した。やはり面白い作品は、“つかみ”が上手い…
お馴染みの登場人物たちの新鮮な使い方も秀逸!
尊が人質として事件を解決する立場を貫いても、右京がいつもの独自の正義感と単独捜査で事件を解決してしまっては元も子もない。しかし、太田氏の脚本はそれを阻止するために、お馴染みの登場人物たちに新たな役目を与えた。
例えば、伊丹(川原和久)を右京の相方にしたり、内村刑事部長(片桐竜次)を小野田官房長の代用で右京のクッションにしたり。
当然?偶然の連続やご都合主義的な部分はあっても、結果的に成功しているし、10年以上も続く『相棒』に新鮮味さえ与えた点も高く評価したい。
最後の10分間は、仕上がりが今一つで残念…
太田氏の脚本は解決篇が“いい話”で終わるのがパターン。今回も2時間15分からの右京の解決篇から再び暗雲が立ち込めた。区民広報まで犯行動機とはなかなか捻った展開だと思うが。ここからは好き好きの問題だと思う…
全体的には、黒澤明監督の現代劇の名作中の名作『天国と地獄』の「格差社会の歪み」と言う大きなテーマと、同じく黒澤作品『生きる』の「残り僅かな命の灯を小さな公園の存続に賭ける」と言うモチーフがオーヴァーラップして仕方なかった。
やはり、尊の活かし方に注力し過ぎたのだろう。序盤の8分と終盤の10分が残念だった。いくらモナカの中のあんこが美味しくても、皮も含めてのモナカなのだ。
最後は少し厳しく書きましたが、最近の『相棒』の中では秀逸な部類に入ると思います。特に尊をきちんと相棒として描いた点では、満足度が高かったです。出来れば残り3か月はこの雰囲気で行って欲しいです。
記事中で紹介した黒澤明監督作品の『天国と地獄』と『生きる』をまだご覧になったことのない方には、是非おススメします。いや、ドラマを語るなら必見です。
【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話
天国と地獄 [Blu-ray]
生きる [Blu-ray]
ドラマ「相棒」はビジネスの教科書だ!杉下右京に学ぶ「謎解きの発想術」
相棒 Season 10 オリジナル・サウンドトラック 池頼広
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