芸能人格付けチェック2012 お正月SP 「演出」問題を考える
1/1にテレ朝で放送された『芸能人格付けチェック2012 お正月SP』内の「演出」問題の感想。
今年も「演出」問題の感想を書いてみます。毎年言いますが、お笑いコンビ・インパルスの堤下敦さんと映画監督の堤幸彦さんのファン、並びに一部の回答者のファンの方は読まない方が良いです。不愉快になる可能性があります。これは飽くまで一個人の感想です。
「A」の冒頭20秒間で、「B」は観ずに答えは出る!
昨年に続き、今年も超簡単な問題だった。その理由は、私がプロの堤幸彦監督の作風を良く知っているため、消去法で解ってしまうと思ったから。しかし、堤監督の作品を知らなくても、「A」の冒頭20秒間を観れば、「B」を観なくてもどちらが「プロの作品と言える」かが解ると思う。
その理由は、今回の作品のテーマで重要なのは『断崖でのサスペンス』と言う部分をどう捉えて、映画監督の目線できちんと映像化できているかを見極めるだけだからだ。
まず、「断崖」と言う場所の捉え方…
まず、「断崖」と言う場所の捉え方。「断崖=絶壁」と考えるのでなく、「断崖=岩場=デコボコした地形=人物配置の面白さ」と考えるのだ。だから、演出家なら、登場人物たちをどうやって凸凹した地形に配置し、動かして物語を進めるかが重要になる。いや、そこで個性を発揮しなければ、都内の公園でもビルの一室でも構わないからだ。
だとすると、今回で言えば、5人の全体の配置を出来るだけ早い段階で観客に知らせる必要がある。なぜなら、配置がわからないと「何処にいるの?」と言う不安要素を無駄にずっと引っ張るだけだから。
その点で、「A」は全体の人物配置が解るまで約19秒かかっていた。私なら15秒以内が必修だと思う。15秒が人間が待てる一つの限界だからだ。CMが15秒なのも同じ理由。因みに「B」は約13秒で全体が解る。
「サスペンス」と言う雰囲気をどう演出するか?
続いて、「サスペンス」と言う雰囲気をどう演出するか。「A」はまず犯人らしき3人の3ショットに続いて、刑事が足元からフレームインして「みなさん、お揃いで」の台詞まで、たった2カット。次に3人をだらだらとパン(キャメラを横にずらしながら)して、やっと4カット目で上記した5人勢揃い。
この間でサスペンス映画らしいのは音楽くらいなもの。観客が解ったのも、場所が断崖でインパルスの堤下敦さんが刑事役で、3人は殺人事件の容疑者ってことだけ。サスペンス映画らしさと言えば、緊張感(緊迫感)や不安定感(不安さ)や衝撃性(インパクト)が一般的だが、「A」の冒頭19秒では、残念ながらそれらを感じることは出来ない。従って、「A」はプロの作品でないと言える。
因みに「B」は、2カット目で、板尾さん以外の男女は何なら不自然に大きなバッグを大事そうに抱えていることで「あのバッグは何?」って不安定感を与え、且つ3人を1カットずつに分けて、人物紹介とスピード感まで作っている。5カット目の背後に警察官を従えて走る刑事で、何やら大きな捜査が行われており、いよいよ断崖に容疑者を追い詰めた緊張感と場所の奥行き感を出している。その後も3カットあり、次の刑事の「皆さん、お揃いで」の台詞が「ついに解決編だ」と思わせるようになっている。
総括気味に…
総括気味に書いてみると、やはり「A」は舐めの構図(主題の人物を奥に配置し目立たせるために、手前に人物などを置いてピントをボケさせる撮影手法)のボケさせる人物配置のバランスが悪過ぎる。また、全体的に台詞とカット割りがチグハグで内容そのものが頭に入りにくかった。
その点、「B」は、手先などの身体の動きと台詞を一体化させた、いつものキャッチーなポーズやアクションを作り出し、個性的な提演出を魅せた。また、構図による不安定感の出し方や、引きの画(全体が映り込むロングショット)による環境描写も、地方ロケを得意とする提監督らしい演出。まっ、好き嫌いは別にして(苦笑)
問題とは別にして、「B」は今の私の好きでない日本映画の特徴をよく表現されていたと思います。カット割りや音楽だけで雰囲気を作ったり、主題に無関係な警察官が妙に目立ったり、意味不明なオチをつけたり。
今回は、提監督の「癖」を知っていれば、より簡単でしたね。堤下さんは、洋画のサスペンスが好きなのかな?何となくそれっぽく感じました。紀里谷監督も偉そうでしたが、宇多田ヒカルさんのPV『traveling』などPVは認めますが、映画『GOEMON』ですから(笑)
今年もGACKTさんの千里眼は素晴らしいと思いました。う~ん、ああ言う根拠のある自身ってスゴイなと思います。番組もとても面白かったです。来年も期待します。
【当ブログ内の関連記事】
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芸能人格付けチェック2010 お正月SP:"演出"の問題に違和感
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