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土曜ドラマ「お別れホスピタル」 (第4話/最終回・2024/2/24) 感想

お別れホスピタル

NHK・土曜ドラマ『お別れホスピタル』
公式リンク:WebsiteX(旧Twitter)

第4話/最終回『未来のわたし』の感想。

※原作(漫画)の沖田×華『お別れホスピタル』は、放送開始時点で既刊11巻(連載継続中)、うち9巻まで読了。



池尻(木野花)は辺見(岸井ゆきの)には本音をこぼす。一方、余命を宣告されている患者の福山(樫山文枝)は、息子・幸造(平原テツ)のために長く生きたいと言う。容体が急変した福山の病室に、幸造がやって来た。福山の年金で暮らしていた彼は、母親に言いたいことがあるから手術をしてほしいと、辺見や広野(松山ケンイチ)らに語る。そんな時、幸造の前で目を覚ました福山は…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作(漫画):沖田×華『お別れホスピタル』
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご,コード・ブルー3,きのう何食べた?,朝ドラ「おかえりモネ」)
演出:柴田岳志(過去作/みをつくし料理帖,透明なゆりかご,空白を満たしなさい) 第1,2
   笠浦友愛(過去作/炎上弁護人,ミス・ジコチョー,一橋桐子の犯罪日記) 第3,最終
音楽:清水靖晃(過去作/みをつくし料理帖,透明なゆりかご,マンゴーの樹の下で)
挿入歌:Chara「小さなお家」
P:小松昌代(過去作/朝ドラ「おひさま」,花燃ゆ,少年寅次郎シリーズ)
  松川博敬(過去作/流行感冒,金色の海,エンディングカット)
※敬称略

はじめに


普通にドラマの感想を読みたい人の期待は裏切ります

最初に断っておきますが。

上記の「はじめに」にあるように、今作の感想はほぼ個人的な事情が絡んだ内容になるので、普通にドラマの感想を読みたい人の期待は裏切ります。

それでも良ければ、どうぞ読んでいただければと思います。

今作が「看護師日記」であることを表す、二つのセリフ

前回の感想や、コメント返信にも書いたように。

今作は、ざっくりした意味では「死を扱ったヒューマンドラマ」とは思わない。

あくまでも、ドラマ『透明なゆりかご』と同様の “看護師日記” なのだ。

それを最終回で言い表した代表的あり、印象的なセリフが二つある。

一つは、「夫には1日でも長く生きてほしい」と願う水谷久美(泉ピン子)の生前のセリフだ。

夫の死を見取る前に亡くなった久美が、遅延性意識障害の患者・ひとみ(大後寿々花) の母で・佐古寛子(筒井真理子)に言う…

久美「私がいなくなっても きっと ここの人たちが
 最後まで おとうさんを見てくれる。
 爪がね きれいに切ってあったの」


もう一つは、終盤の居酒屋での辺見歩(岸井ゆきの)と広野誠二 (松山ケンイチ)とのやり取り。

歩「私たち 頑張って生きてますよね」
誠二「フフッ…。そうだよ」
歩「じゃあ ジタバタしてみますか」
誠二「ですね」


ほかにも素敵なセリフはあるが、敢えて二つを抽出してみた。

このセリフに共通するのは、医療従事者、特に看護師の役割、日常、心構えなどが凝縮されている点だ。

前者は、看護師は患者だけでなく、患者の家族のためにも意義がある存在だということ。

後者は、看護師は、日々正解のない看護という仕事に向き合って模索していく職業だということ。

"死" はすぐそばにある "日常的なものごと" でもある…

この上記の二つを、別の視点から描いたセリフが。

<お母さんの歌>の思い出を引きずる胃がんがリンパ節に転移している患者・福山ハル(樫山文枝)と息子のほほえましい会話を目の当たりにした歩のモノローグだ。

歩(M)「死と向き合っている人は
 誰かを生かそうとしているのかもしれない」


年金のために苦痛をこらえて長生きしようとする年老いた親が、中年になった我が息子を生かそうと…

より容体の悪い患者が、比較的容体の安定している患者を生かそうと…

死と向き合う患者が、ジタバタもがく医療従事者を生かそうと…

終末期医療の現場で死と向き合う看護師の姉が、摂食障害の妹を生かそうと…

認知症で現役時代を忘れた元・几帳面で堅物教師が、嫌な思いしかしなかった元生徒を生かそうと…

屁理屈かもしれないが。

やはり今作は、“死” を扱うドラマではなく

“死” を通して、“生きること” や “生き切ること”、そして “生きる=日常” を描くドラマなのだ。

ほかの作品の感想でも書いたことだが、

自分が、家族が、大切な人が、世話になっている人が、今、そこに生きていることが何よりも奇跡なのだ。

むしろ、逆転の発想風に考えれば、“死” はすぐそばにある “日常的なものごと” なのだ。

人の目には見えない "距離感" をドラマ化、映像化

もう一つ、今作が映像作品として優れている点を挙げてみる。

今作は、上記の逆転の視点で、死と向き合っている人と、その人に生かされている人の目には見えない“距離感” をドラマ化、映像化しているのだ。

いつも当ブログで書いている「ドラマに必要な要素」がある。

ドラマは、「主人公が生きている世界」と「主人公が生かされている世界」と「主人公が生きているから成立する世界」の3つの要素をしっかり丁寧に盛り込むべき。

今作は、上記のことも、ちゃんと具現化、映像化している。

主人公の歩がいない場面でも、しっかりと歩の存在が息づいているのが伝わってくる。

わざわざ具体例は挙げないが。

各登場人物たちが、主人公の言動の影響を受けて生きていることがきっちりと描かれているから、いなくても、いるのだ。

こういうドラマは、珍しいと思う。

MISIAの『Everything』と、一青窈の『ハナミズキ』

ここまで、“ドラマ” としてのテーマや、描いている概念について書いてきた。

ここから、ちょっと映像作品的に良かった点をピックアップしてみる。

アバンタイトルで。

咽頭がんステージ3が見つかった赤根涼子(内田慈)と歩のカラオケシーン。

最初に涼子が歌っていたのが、MISIAの『Everything』だ。

一般的には「不倫の歌」という解釈が多いが。

私は、「私にとって、あなたが全てなんだ」という心情を不倫に託して描いた歌だという解釈だ。

そう考えると、今の涼子にとって “自分の命” は“息子の命”である… と、歌ったように感じる。

そして、歩みにカミングアウトし、息子の合格を報告すると、ある曲のイントロがバックで流れ始める。

一青窈の『ハナミズキ』だ。

『ハナミズキ』の歌詞は、作詞も担当した一青窈さんが、平成13年(2001)9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生したときに、現地で暮らす男性の友人とその恋人の幸せを願って書いたとされている。

歌詞には、「ほかの人の幸せを祈る気持ちがつながれば、憎悪による戦争の連鎖も断ち切れるはず」の意味も込められている。

今作と戦争は直接関係ない。

しかし、“ほかの人の幸せを祈る気持ち” は、母が息子の幸せを願う気持ちや、息子の幸せこそが母の生きがいであることには、確実につながると思う。

ここの、『Everything』から『ハナミズキ』を劇中歌に引用するあたりの演出センスは、かなり良いと思う。

「人間のちっぽけな存在」や「母なる海」などの意味が表現

もう一つ、映像的なことを。

涼子が職場の同僚に治療に専念することを伝えた直後の屋上シーンだ。

お別れホスピタル
©NHK

詳しくは、録画や見逃し配信で確認してほしいが。

会話中のカメラの画角だ。

ほぼ、中央のふたりの位置やサイズは変わらないまま、背景の海だけがゆっくり動いているように見える。

カメラをふたりを中心点にして回すことで、背後の風景が動いているように見えるわけだが。

このカメラワークや編集によって、「人間のちっぽけな存在」や「母なる海」などの意味が表現されている。

「海」という漢字に「母」が使われている理由

ここで、脱線。

「海」という漢字に「母」が使われている理由をご存じだろうか?

私たち人間は、体重の約6割が水分でできている。

その体内の水分の成分は海水に似ていて、特に赤ちゃんが育つ羊水は海水とほぼ同じなのだ。

だから、漢字の「海」に「母」が含まれ、水も母も生物にとって不可欠な存在だと表しているのだ。

そう解釈すれば、今作の舞台である「みさき総合病院」が “海辺” にある設定が、各エピソードと絶妙にリンクしていることも分かると思う。

時間経過を表すカットに、海鳥が飛ぶカットが印象的に使われているなど、抒情的な映像描写が多用されているのも、忘れてはいけない素晴らしい演出だ。

あとがき

長くなったので、「あとがき」でまとめます。

奇しくも、今作の放送期間中に、元気に退院するはずの妹が、50代半ばで急逝しました。

何度も、感想を書くのはもちろん、見るのも辞めようと思いました。

でも、40年近く前に助産師の妻から押してもらった、当ブログでも何度も引用している「キューブラー・ロスによる5段階モデル(死の受容モデル)」を引用したと思われる次のセリフが、今の私の心情とシンクします。

涼子「あんたも 私も 今 少~し怖いだけ。
 すぐに どうってことなくなる」


看護師資格をもつ沖田×華氏らしい “死の許容” の描き方ですが。

決して誰にも強制はしませんが、私は今作を見て「苦しいのは自分だけじゃない」と思えたように思います。

「続きを見たい」というのは複雑な心境ですが。

こういうドラマは、継続的に放送する意味も価値もあると思います。

また、若くて人気のある俳優さんばかりの “ドラマ” が増える傾向にありますが。

きちんと演技ができて魅せる俳優さんで創出する “ドラマ” も、もっと作ってほしいです。


すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”


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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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