連続テレビ小説「ブギウギ」 (第36回・2023/11/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ブギウギ』
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第36回/第8週『ワテのお母ちゃん』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
昭和14年、戦争が始まろうとしており、劇団でも時局に合わせた演出をしていくとの方針が示されていた。スズ子(趣里)は、あまり派手にならなないようにと言われ戸惑う。羽鳥善一(草彅剛)もジャズができなくなるのではと心配する。一方、はな湯ではツヤ(水川あさみ)が体調を崩しており、大きな病院で見てもらったほうが良いと言われていた。そんな時、六郎(黒崎煌代)を役場の職員が訪ねてくる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:足立紳(過去作/六畳間のピアノマン,拾われた男 Lost Man Found) 第1~8週
櫻井剛(過去作/表参道高校合唱部!,あなたのブツが、ここに)
演出:福井充広(過去作/てるてる,家族純情きらり,ミス・ジコチョー) 第1,3,8週
二見大輔(過去作/半分、青い。,なつぞら,カムカムエブリバディ)
泉並敬眞(過去作/まんぷく,スカーレット,カムカムエブリバディ) 第2,7週
鈴木航(過去作/あさが来た,べっぴんさん,スカーレット) 第4,5週
盆子原誠(過去作/カーネーション,とと姉ちゃん,おちょやん) 第6週
音楽:服部隆之(過去作/王様のレストラン,翔太の寿司,のだめカンタービレ,HERO)
歌劇音楽:甲斐正人(過去作/映画「蒲田行進曲」(松竹/1982)劇伴担当)
舞台演出:荻田浩一(過去作/元宝塚歌劇団所属の演出家)
ロゴ・OP映像:牧野惇(過去作/東京パラリンピックのオ-プニング映像)
主題歌:中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
語り:高瀬耕造(NHK大阪アナウンサー)
「土曜日版」ナレーション:北郷三穂子(NHK大阪アナウンサー)
制作統括:福岡利武(なつぞら,青天を衝け)
櫻井壮一(過去作/おちょやん,あなたのブツが、ここに)
※敬称略
さり気なく「新・東京編」の始まりを感じさせるのはうまい
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月曜日の冒頭から、ついに、いよいよ、『ブギウギ』にも<昭和14年(1914)9月>が訪れた。
もちろん、予告編で知っていたことではあるが、映像と共に、やはり戦争を描かれると暗い気持ちになる。
そこで、「東京編」の “陽キャラ” 代表格、下宿屋の女将・小村チズ(ふせえり)の登場だ。
チズ「ただでさえ うちには 大食いが 2人も…」
スズ子「お代わり よろしいでっか?」
スズ子(趣里)の現状、性格を含めて。
小鳥のさえずり、朝の日差しの差し込み方、柱時計の時報で、1分8秒のアバンタイトルをきれいにまとめた。
それも、朝ドラ、ホームドラマらしい描写で。
これくらいコンパクトでも、<秋山美月(伊原六花)のいない朝食>だけで、さり気なく「新・東京編」の始まりを感じさせるのはうまいと思う。
映像による明と暗で時代を反映させるのもやりすぎていない
メインタイトル明けは、更に「新・東京編」の始まりの印象付けだ。
演出家の松永(新納慎也)が日宝に移籍したため、辛島部長(安井順平)の横に、新しい演出家の竹田(野田晋市)だ。
外国帰りのおぼっちゃま風の松永から、お役人タイプの竹田へのシフトも、見た目で分かりやすい。
更に、朝礼の時のスズ子の衣装も、先週までは派手目な色合いが多かったが。
今回はやや抑え気味の紫がかった赤のワインレッドのスカートと靴、生成りに近い白のブラウスと靴下で。
どことなく日の丸のイメージを醸し出すのも、時節を考えると悪くはない。
ほかの舞台スタッフたちも地味目の衣装で、それらを日差しによって明るく見せるが。
朝日で落ちる長い影が、これまた不穏な足音を感じさせる。
この辺の映像による明と暗が、そのまま時代を反映させるのも、やりすぎていないという点でうまいと思う。
休憩シーンの"ローアングル"について私なりの解釈を説明
4分過ぎ、久しぶりに休憩室? が登場した。
以前に書いたが、「スズ子の恋バナ」の際の休憩室は、特に松永がいるときは俯瞰ショット(被写体を高い位置から見下ろすように撮る方法)などによって教会風に見せる演出が多かった。
しかし、松永が去った後の休憩室は、被写体の目線の高さよりも低めのカメラポジションからのローアングル(被写体を低い位置から見上げるように撮る方法)が多数使われていた。
このローアングルは映像全体が歪んでしまうデメリットがあるが(背景の柱が歪んでいるのが分かるはず)。
被写体が大きく見え、迫力のある表現になるのがメリットだ。
ヒーローもので、ヒーローが登場する際のアングルは、ほとんどが地面すれすれのカメラからのローアングルになることからも分かると思う。
そして、この休憩室の3人をローアングルで撮ることで。
セリフのやり取りは、戦争への不安や恐怖、それによる舞台への影響に心配でいっぱいだが。
心のどこかでは、「何とかなる」「まだ、やれる」と思っていることが、伝わるのだ。
そして、このシーンのラストカットは、大胆な俯瞰ショット。
床面が画面の大半を占めることで、「あれこれちっぽけな人間が心配したって、神様はみな、お見通しだよ」という感じになる。
このように、カメラで被写体をどう撮るか、高さや角度でも、いくらでもコントロールできるのが演出家の技の見せどころでもある。
因みに、ここまで読んだら、スズ子のワンショット(一人だけが映るカット)は、ローアングルを解除している演出家の意図は、もう分かると思う。
"連ドラ"らしい一貫性が、今作の安定感にもつながる
大阪の「はな湯」のくだりは、安定した仕上がりだ。
第1週『ワテ、歌うで!』の演出を担当した、今作のメイン監督である福井充広氏らしい雰囲気。
「はな湯」の常連客たちのアドリブっぽいセリフのやり取り然り。
コミカルとシリアスのバランス然り。
ちゃんと、“連ドラ” らしい一貫性が担保されており、ここが今作の安定感にもつながると思う。
熱々先生(妹尾和夫)が診察を終えて部屋から出て行く際、夕景の寂しさに加えてカラスの群れの鳴き声が遠ざかるのも、視聴者のザワザワする不安な気持ちに重なるし。
そして、兵隊が… ここも実に緩急の付け方がうまいと思う。
羽鳥のピアノ室の写真は、指揮者エマヌエル・メッテル
第29回(/11/9)で言及した『羽鳥のピアノ室の写真は、指揮者エマヌエル・メッテル』が、ようやく登場だ。
今回も詳細は書かないが、羽鳥のモデルである服部良一氏にとって、音楽家の才能を伸ばしてくれた大恩人だ。
指揮者メッテルの指揮指導が厳格なのは、世界中で有名で。
とにかく長時間続けること、繰り返すこと、スコア(譜面)を常に見ることなどが、徹底的にやられたという。
また、服部の才能は認めていたが、独学で音楽を勉強していた服部には「本当の勉強は、先生につかなければダメ、あなた、勉強してますか?」と言っていたという。
こんな[史実]があるから、今作の羽鳥にも「笑う鬼教官」のあだ名がつき、今回のような熱血漢キャラに反映されているのだと思う。
同じ俳優サンが、るい,スズ子,そして麻里の恋バナを立ち聞き
そして、羽鳥家でも柱時計がきっかけになって、こちらは羽鳥と妻・麻里(市川実和子)の馴れ初め話へ。
スズ子と松永が愛を育んだ? あの喫茶店「バルボア」が、羽鳥と麻里の出会いの場で。
先日も書いたとおり、店名「バルボア」は。パナマにある港湾「バルボア港」が由来で。
港は “出会いと別れの場所” ってことで、スタッフが名付けたそうだ。
折角、印象付けた舞台設定だから、こうやって繰り返し使うことで、また意味が出てくるのも良いと思う。
そして、朝ドラファンなら、喫茶「バルボア」のカウンター内にいるマスター、店主を演じているのが弓川信男(ボルトボルズ)さんで…
『カムカムエヴリバディ』では、「るい編(大阪編)」でるいと錠一郎がコンテストの衣裳を買うために訪れた洋服店「ダグラス」の店主を演じておられました人で。
るい、スズ子、そして麻里の恋バナを立ち聞きしていたことも、興味深いと思う(笑)
あとがき
六郎に来た「赤紙」のくだりについては、今は胸が痛い思いで、ちょっと書くことが思い浮かびません。
まだ、このころは「戦争=死」という感じではなく、そうなるのは空襲が始まってからだと思うので、今回のような表現になるのだと思います。
だとしても、やはり、つらいですね。
今週も、よろしくお願いいたします。
[史実]
ここからは、母・ツヤと弟・六郎の[史実]を書きます。
【注意】今週の展開のネタバレになる可能性があるから、白黒反転さえておくので、読みたい人だけ読んでください。
-----↓↓↓[史実]は、ここの下から↓↓-----
昭和14年(1939)、笠置シヅ子の弟の亀井八郎が徴兵召集され入隊。八郎を頼りにしていた母親のウメが心労が祟って、胃がんと心臓病を併発して寝たきりになる。その後、シヅ子には 1941年に弟の八郎の戦死の悲報が届く。
-----↑↑↑[史実]は、ここの上まで↑↑-----
みっきーの植物図鑑(第167回)
先日訪問した、‘歴博’こと国立民族歴史博物館の「くらしの植物苑」での写真です。

今回は、既に果実の名前は、上が「クネンボ (九年母)」、下が「ウンシュウミカン(温州蜜柑)」と表示したとおりです。
今週の『ブギウギ』は “親子” が大きなテーマになると思います。
そして、 この「クネンボ」と「ウンシュウミカン」が “親子”なんです。
正確にいうと、「ウンシュウミカン」の親が「クネンボ」と「キシュウミカン(紀州蜜柑)」であることが、2016年にDNA鑑定で分かったそうです。
ウンシュウミカンの親がキシュウミカンとクネンボであることをDNA鑑定で推定しました | 農研機構
見た目では、ほぼ見分けがつきませんが(笑)
クネンボの「果実が大きく味が濃厚」と、キシュウミカンの「香りや食味がよい」の長所をいかし。
クネンボの「種が多く独特の臭みがある」と、キシュウミカンの「果実が小さい」の短所を弱めて。
この親子関係に寄って、今や大人気の、種が少なく皮が薄くて、果実が大きくて、香りと味が良いウンシュウミカンが完成したそうです。
結びに
ほんなら、また来てな。
それでは、また来てね。
★すべての読者様に愛と感謝の “ありがっとう!!”
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