連続テレビ小説「らんまん」 (第49回・2023/6/8) 感想

第41回/第9週『ヒルムシロ』の感想。
公式リンク:Website、NHK高知局応援ページ、東京もご当地!首都圏の「らんまん」情報、Twitter、Instagram
第49回/第10週『ノアザミ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
万太郎(神木隆之介)が大畑(奥田瑛二)の印刷所に通い始めて3週間が過ぎ、季節はノアザミが咲く夏に。寿恵子(浜辺美波)は、万太郎に会えず悶々(もんもん)としていたが、意を決して大学へと向かう。植物学教室をのぞくと、波多野(前原滉)、藤丸(前原瑞樹)らと楽しそう笑う万太郎の姿があり…。一方、万太郎はついに石版印刷を教えてもらうことに。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:長田育恵(過去作/マンゴーの樹の下で、群青領域、旅屋おかえり)
演出:渡邊良雄(過去作/ゲゲゲの女房、花燃ゆ、まんぷく) 第1~3,6,7週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん) 第4,5,8週
深川貴志(過去作/とと姉ちゃん、半分、青い。、カムカムエブリバディ) 第9,10週
音楽:阿部海太郎(過去作/恋せぬふたり)
撮影:西鍵真治(過去作/カーネーション、マッサン、べっぴんさん、まんぷく)
照明:前田藍里(過去作/大阪発地域ドラマ「アオゾラカット」)
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮崎あおい
植物監修:田中伸幸(現・国立科学博物館、高知県立牧野植物園[2000-2015])
制作統括:松川博敬(過去作/篤姫、てっぱん、カーネーション等の演出担当、エンディングカット)
※敬称略
時間経過させたのに、まずは寿恵子の変化から描く面白さ
あしのブログに、ようきんしゃったなぁ。
(私のブログに、よくぞいらっしゃいました。)
あしが管理人の “みっきー” やか!
(私が管理人の “みっきー” です!)
冒頭で “3週間” の時間経過…
それを季節の移ろいである “草花” の変化で表現してきた。
まあ、驚くほどにベタに登場した「ノアザミ」だが、初夏を映像で伝える日本古来の植物というと、「アジサイ」は雨のイメージ、「シャクヤク」は牡丹、「ヒメジョオン」はタンポポに似ており、「ヒメジョオン」は花が下向きに咲くから、棘があり、天を向くとなると意外にベストな選択なのが分かる。
そして、寝転がってはいるが、天(天井だが)を向いている寿恵子(浜辺美波)に重ねてきた。
折角、時間経過させたのに、まずは寿恵子の変化から描くというのも、なかなか変化球で面白いアバンタイトルだ。
植物学教室へ万太郎の様子を見に行くご褒美プチトラベル?
昨今は、「男は…」「女だから…」を描くのがはばかられるが、この時代を描くなら、特に妾とその娘のやり取りを描くなら、男女の性差は明確にすべき。
で、今回は、このあとの「一方の万太郎は…」との違いを強調するために “恋バナ” をガッツリ盛り込んできた。
それも、母・まつ(牧瀬里穂)と真正面に向き合っての “女同士の会話” だ。
寿恵子「自分の機嫌は 自分でとる」
まつ「うん。今なら そうねえ…」
きっと、令和の今なら、ご褒美グルメやジュエリーや旅行、小さな子供ならご褒美シールといったところだろうか(笑)
浴衣を縫う、読書、水ようかんを食べる… なんて、浴衣姿で二階の軒下に風鈴があるような風情で語るなんて、いかにも初夏らしくて良いと思う。
しかし、寿美子はナント、植物学教室へ万太郎の様子を見に行くご褒美プチトラベルに…?(笑)
脚本、演出、演技の三位一体が成せる業
さて、本編だ。
全体としては、“恋バナ” を盛り込みつつも、主人公パートは、大畑印刷所と植物学教室を盛り込んできた。
盛り込んできても、全くブレなかったのは、万太郎の変化と成長をメインに描こうというコンセプトだ。
大学での学生たちのやり取りも、お決まりの “いない田邊” の存在を感じさせつつ、万太郎の変化と成長を描き。
印刷所でも、万太郎の変化と成長を描いた。
寿恵子パートに約5分割いているから、実質 10分足らずで描いたことになる。
いや、10分間でこれだけ魅せたら、今回の冒頭で3週間も時間経過させた意味も価値もあるってものだ。
それも、笑いあり涙あり、バカ騒ぎあり切なさあり… で、よくぞテンポ良くまとめたものだ。
脚本、演出、演技の三位一体が成せる業だ。
絵師・岩下の "髪の毛の見切れ" をうまく利用した演出!
私が今回の映像、演出で良いと思ったところを一つだけ挙げてみたい。
それは終盤、夜の印刷所で万太郎が仕上がったばかりの石版に触れていると、そこへ絵師の岩下(河井克夫)がやってきて話しかけるシーンだ。
実際のテレビでも暗くて分かりにくかったから、若干明るめに画像調整したのが下のキャプチャー画像。

©NHK
よく見ると、岩下のセリフの直前に下手(しもて:画面左側)から、もじゃもじゃした岩下の髪の毛が先行して画面に入ってくる。
こういうのを “ナメ” というのだが、「岩下の髪の毛越しに(ナメて)万太郎が映る」カットだ。
なぜ、これが良いのか?
髪の毛がチラッと入り込むのと、入り込まないのでは、雲泥の差があるのだ。
入り込まないと、このカットは見ようによっては「岩下の目線」になる。
そうなると、岩下は万太郎の真横の上から見ている感じになって、直後の2ショットの立ち位置とは違ってしまう。
また、岩下が万太郎に近づき過ぎると、あとのセリフより先に岩下の心が分かってしまう。
でも、髪の毛を入れ込むと、カメラは岩下の後ろから撮影していることになり=第三者=客観的な目線になる。
もちろん、その第三者は私たち視聴者で、髪の毛が入り込むことで、ふたりの “心の距離” が縮まりつつあることを感じ取れるのだ。
これは、相当に繊細な演出だと思う。
ノアザミより、綿毛のないタンポポに注目してみた
最後に。
今回は、棘のある、空を向く花として「ノアザミ」が登場した。
一方で、花が散ってしまった「タンポポ」も登場した。
もちろん、万太郎にとっての寿恵子のシンボルが「ノアザミ」であり、寿恵子にとっての万太郎が「タンポポ」という設定だ。
「設定」は「物語」ではなく「説明」だ… は、私がいつも書いていること。
だから、説明してみると…
「ノアザミ」の花言葉は、「独立」「素直になれない恋」だ、
草食動物に食べられないようにトゲで身をまとい、美しい花を摘もうとするとチクッと痛く、まるで「欺(あざむ)かれた」ようだから「アザミ」。
鋭いトゲを持ち、誰も寄せ付けない強い死をもって自立する花だから、「独立」「素直になれない恋」。
また、「タンポポ」の花言葉は、「愛の神託」「真心の愛」ではあるが、「綿毛」には「別離」の花言葉がある。
アメリカの古い民話に、青年が黄色い髪の少女に一目惚れするも、一晩で少女が白髪の老女になってしまい、青年が落胆してため息をついたら綿毛になって飛んで行ってしまった… という「実は、少女はタンポポでした…」という切ない物語が由来だとされている。
従って、綿毛のないタンポポには、いろんな意味が重ねられていると思う。
あとがき
ホント、次回はいったいどうなるの! って感じですね。
「ノアザミ」も、このまま終わりそうにないですし。
恋バナも、仕事も大学も、先が気になってしょうがないです。
みっきーの植物図鑑
今朝の写真は、先日ご紹介した「我が家のキュウリ」のその後です。
先週末の豪雨でかなり痛めつけられましたが、ここ数日で元気になりました。
苗は大型連休前にジョイフル本田でかった「夏すずみ(だったと思います。タグが豪雨で飛んじゃって…)」
植物の病気の専門家で植物博士の義父に「べと病とうどんこ病に強い耐病性があるのは?」と聞いたら教えてくれました。
写真内のオレンジ色のテープは、キュウリは花が咲いて1週間ほどで収穫できるので、目安を書いたものです。
ゴーヤは何十回も育てましたが、キュウリは今年が初めて。
最初の1本はまだ 13cmくらいなので、もう少し待ってから「もろきゅう」かな(楽)

結びに
ほなな~!また来とうせ。
それでは、また来てね。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17970/
【これまでの感想】
第1週『バイカオウレン』
1 2 3 4 5 土
第2週『キンセイラン』
6 7 8 9 10 土
第3週『ジョウロウホトトギス』
11 12 13 14 15 土
第4週『ササユリ』
16 17 18 19 20 土
第5週『キツネノカミソリ』
21 22 23 24 25 土
第6週『ドクダミ』
26 27 28 29 30 土
第7週『ボタン』
31 32 33 34 35 土
第8週『シロツメクサ』
36 37 38 39 40 土
第9週『ヒルムシロ』
41 42 43 44 45 土
第10週『ノアザミ』
46 47 48
- 関連記事
-
- 連続テレビ小説「らんまん」 (第50回・2023/6/9) 感想 (2023/06/09)
- ケイジとケンジ、時々ハンジ。 (第9話/最終回・2023/6/8) 感想 (2023/06/09)
- 連続テレビ小説「らんまん」 (第49回・2023/6/8) 感想 (2023/06/08)
- それってパクリじゃないですか? (第9話・2023/6/7) 感想 (2023/06/08)
- 連続テレビ小説「らんまん」 (第48回・2023/6/7) 感想 (2023/06/07)