連続テレビ小説「らんまん」 (第47回・2023/6/6) 感想

第41回/第9週『ヒルムシロ』の感想。
公式リンク:Website、NHK高知局応援ページ、東京もご当地!首都圏の「らんまん」情報、Twitter、Instagram
第47回/第10週『ノアザミ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
大畑(奥田瑛二)の印刷所で見習いとして働くことになった万太郎(神木隆之介)。仕事を終え砂まみれで帰宅すると、竹雄(志尊淳)は怒り出す。峰屋の当主が見習いとしてこき使われること、自分がついていながら万太郎を守りきれないことが情けなくて、悔しくて…。一方、白梅堂では、寿恵子(浜辺美波)がまつ(牧瀬里穂)に、もしも万太郎が来たら渡してほしいと、八犬伝の本を預ける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:長田育恵(過去作/マンゴーの樹の下で、群青領域、旅屋おかえり)
演出:渡邊良雄(過去作/ゲゲゲの女房、花燃ゆ、まんぷく) 第1~3,6,7週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん) 第4,5,8週
深川貴志(過去作/とと姉ちゃん、半分、青い。、カムカムエブリバディ) 第9,10週
音楽:阿部海太郎(過去作/恋せぬふたり)
撮影:西鍵真治(過去作/カーネーション、マッサン、べっぴんさん、まんぷく)
照明:前田藍里(過去作/大阪発地域ドラマ「アオゾラカット」)
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮崎あおい
植物監修:田中伸幸(現・国立科学博物館、高知県立牧野植物園[2000-2015])
制作統括:松川博敬(過去作/篤姫、てっぱん、カーネーション等の演出担当、エンディングカット)
※敬称略
前田の「土佐ッポめ」に注目してみる
あしのブログに、ようきんしゃったなぁ。
(私のブログに、よくぞいらっしゃいました。)
あしが管理人の “みっきー” やか!
(私が管理人の “みっきー” です!)
さて、褒める感想が減ると、Web拍手も減るのを承知で、今回も自由に書いていく…(笑)
アバンタイトルで次のようなセリフがあった。
大畑印刷所で、工場主・大畑義平(奥田瑛二)が万太郎(神木隆之介)を職人たちに紹介する場面だ。
万太郎が高知から来たのを知った職人の前田孝二郎(阿部亮平)が言った…
前田「何だよ… 土佐ッポめ」
この「土佐ッポ(普通は‘土佐っぽ’と書くことが多い)」は、江戸時代後期に、江戸や関西の当時の “都会人” が地方から出て来た “田舎者” を見下した言い方で、他にも「水戸っぽ」「会津っぽ」「薩摩っぽ」などもあった。
そこで、今作の脚本のうまさを掘り下げてみたい。
今作の「東京編」の当初では多少の描写があったとおり、「江戸」の町には都会と地方の間の移動に若干の制限があったが、「東京」になってから行き来が自由になって日本中から人がやって来たのは、ご存じのとおり。
でも、今作は「新橋駅」のシーンでもあまり強調されず、むしろ「タンポポ」が強調されていたのも記憶に新しいと思う。
また、十徳長屋のシーンでも、倉木隼人(大東駿介)なんて元彰義隊隊員なのだから、“土佐ッポ” の万太郎を見下しても良かったのに、それもなかった。
竹雄が「若! ○○ですき…」と一言いえば…
私が何をいいたいのか?
「高知編」を思い出せば分かるとおり、今作は商家・酒問屋としての「峰屋」と学問所「名教館」、酒問屋の息子と学友の広瀬佑一郎(中村蒼、幼少期:岩田琉生)、佐川領主深尾家の家臣・塚田昭徳(榎木孝明)…
当然に「峰屋」の番頭の息子・竹雄(志尊淳、幼少期:南出凌嘉、井上涼太)に関する丁寧な描写によって、身分や立場、家柄などがしっかりと描かれてきた。
特に秀逸なのは、万太郎と竹雄を “バディ” にしたから、ふたりが一緒にいるシーンでは、竹雄が「若! ○○ですき…」と一言いえば、全部伝わってしまうのだ。
もう、これを編み出して使い込んでいるだけで、相当の脚本力だと思う。
絶妙なさじ加減で "時代" を盛り込んだ
で、ここからが本題だ。
今週になって特に、万太郎と竹雄が別行動になった。
そうなると、天下の宝刀「若! ○○ですき…」を容易に抜けないわけだ。
そう、今回も。
そこで、脚本家が工夫したのが、これまで差別用語に感じる人もいる… と、避けてきた可能性のある「土佐ッポ」の有効活用だ。
なぜ、ここを称賛するのかというと、お気づきのとおり「東京大学」「植物学教室」では、「土佐の田舎者」として万太郎を差別した印象が殆どなかったから、ここで敢えて “入れた” と思えるからだ。
では、なぜ「東京大学」「植物学教室」では、誰も「土佐ッポ」と見下さなかったのか?
それは、あのくだりで強調したかったのは、万太郎が “土佐の田舎から出て来た世間知らず者” という設定ではなく、小学校も卒業していない “独学で無学の、自信だけは満ちている若造” の設定を強調したかったから、欲張らずに取捨選択をやった… と、思う。
ほら、「植物学教室」も「クサ長屋」も、それこそ「白梅堂」まで万太郎たちを「土佐ッポ」と見下したら、朝からそんなに気分が良いとはいいにくいから。
それに、いつも書いているように今作は内容が盛りだくさんだから、あまり余計なことを盛り込むと肝心なところが薄まったり消えたりせざるを得なくなるから、取捨選択こそ今作らしさの強みだとも思う。
そこで、絶妙なさじ加減で “時代” を盛り込んだのだと思う…
<約1分25秒間>の長回しのワンカット!
前回の感想はアッサリ気味だったから、今回はやや濃いめでいこう。
アバンの直後で、「いいね」と思うカットがあった。
万太郎が弟子入りを許されて、庭掃除をしていると大畑が出かけていく。
そのあとの、万太郎の「行ってらっしゃい!」の直前から始まる<約1分25秒間>の長回しのワンカットだ。
宮本晋平(山根和馬) から「中の掃除」と指示されてから、「お前んちが 大店ってことか!?」まで、カメラはゆっくりと上手(かみて:画面右)から下手(しもて:画面左)へパン(向きを変える)して、横長に作られたスタジオセットを見せつつ描いた。
ここの長回しのワンカットを取り上げた理由は、このカットが、実は私たち視聴者の気持ちを職人・前田と同期させる役割がある重要な演出だからだ。
掘り下げると… 要するに<約1分25秒間>の間で前田を映さないことによって、その直後の映っていなかった前田と絵師・岩下定春(河井克夫)の「えっ!?」との無言の表情がいきるのだ。
と、同時に、万太郎が修行する本当の理由を、職人たちと改めて視聴者が確認できるという、物語への没入感を味わえる工夫になっているのだ(と、思う)。
竹雄の使い方も秀逸!
更に「うまいなぁ」と思ったのが、竹雄の使い方。
今週の前半は「印刷所」で押すのかと思っていたから、黄色下線マーカー太字(メリット・大事・注意・元気)火曜日で竹雄が登場するのは意外だ。
しかし、砂を被ってしまうシーンを強調し続けるのは “朝ドラ” としては “イジメ” も強調される恐れがあると考えたのだろう。
竹雄「ちょ… 何やりゆうがですか!? 若!」
そういうことだ。
ここで、「高知キャラ」を盛り込むことで、今週は無いかもしれないが今後描かれるはずの「峰屋の経営」「祖母タキの容態」への橋渡しとして良かったと思う。
もちろん、バディの竹雄に万太郎の本心を言わせる場面を盛り込むことで、病弱だった峰屋の当主が「なぜ、印刷所で働くのか?」を峰屋の人間の立場からも描けるから、主人公の決心を強調するにはうまいやり方だと思う。
あとがき
先の展開は分かりませんが(ネタバレも見聞きしてしませんし)、そろそろ、いや今回の竹雄の一大決心を機に、「若」から「万太郎」に呼び方を変えて、本当の意味での “バディ” として進むのもアリですね。
また、サブタイトルの「ノアザミ」は、いつ、どうやって登場するのでしょう?
時間軸として、演奏会の日はバラがあったし、今週の服装も “春” っぽい衣装です。
でも、6月の誕生花である「ノアザミ」が咲くのは5月中旬から6月の初夏を中心に8月まで。
となると、今週中に時間経過して万太郎は上着を脱いで季節を進ませるかもしれませんね。
本当に先が気になってしょうがないです…
みっきーの植物図鑑
皆様のご近所にもあると思うのが、「○○ハミングロード」。
昭和50年代から全国に普及した歩行者専用道路の名称です。
自然にハミングしたくなるような楽しい風景の道…
歩く人たちの弾む心を表現した分かりやすい名称…
それが、「ハミングロード」です。
私の家の近所にも「ハミングロード」がありまして、そこの植え込みで数日前から咲き始めたのが写真の花です。

はい、今朝の「タイサンボク」の花です。
タイサンボクの花は初夏を告げる花で、6~7月に白い花をつけます。
タイサンボクは大きいと 20m以上の樹高にもなります。
うちの「ハミングロード」のタイサンボクは 4mくらいあって、花を写真で撮るのもやっと…
もう少したつと、下の方も咲きまして、レモンのような柑橘系と、メロンのような瓜系の甘い香りがします。
花言葉は、堂々とした立派な樹木の佇まいと、爽やかで甘い香りの白い花から、「壮麗」「前途洋々」です。結びに
ほなな~!また来とうせ。
それでは、また来てね。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17966/
【これまでの感想】
第1週『バイカオウレン』
1 2 3 4 5 土
第2週『キンセイラン』
6 7 8 9 10 土
第3週『ジョウロウホトトギス』
11 12 13 14 15 土
第4週『ササユリ』
16 17 18 19 20 土
第5週『キツネノカミソリ』
21 22 23 24 25 土
第6週『ドクダミ』
26 27 28 29 30 土
第7週『ボタン』
31 32 33 34 35 土
第8週『シロツメクサ』
36 37 38 39 40 土
第9週『ヒルムシロ』
41 42 43 44 45 土
第10週『ノアザミ』
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