連続テレビ小説「らんまん」 (第42回・2023/5/30) 感想

第41回/第9週『ヒルムシロ』の感想。
公式リンク:Website、NHK高知局応援ページ、東京もご当地!首都圏の「らんまん」情報、Twitter、Instagram
第42回/第8週『シロツメクサ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
酒への課税が重くなり、役人から厳しい目を向けられる峰屋。タキ(松坂慶子)も身体が弱くなってきているが、峰屋やタキの事情を万太郎(神木隆之介)には知らせないよう、綾(佐久間由衣)に口止めするのだった。一方、植物学雑誌創刊の許可を得るため田邊(要潤)と話す機会をうかがっていた万太郎は、西洋音楽の演奏会に田邊と同行するチャンスを得る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:長田育恵(過去作/マンゴーの樹の下で、群青領域、旅屋おかえり)
演出:渡邊良雄(過去作/ゲゲゲの女房、花燃ゆ、まんぷく) 第1~3,6,7週
津田温子(過去作/龍馬伝、西郷どん、いだてん) 第4,5,8週
深川貴志(過去作/とと姉ちゃん、半分、青い。、カムカムエブリバディ) 第9週
音楽:阿部海太郎(過去作/恋せぬふたり)
撮影:西鍵真治(過去作/カーネーション、マッサン、べっぴんさん、まんぷく)
照明:前田藍里(過去作/大阪発地域ドラマ「アオゾラカット」)
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮崎あおい
植物監修:田中伸幸(現・国立科学博物館、高知県立牧野植物園[2000-2015])
制作統括:松川博敬(過去作/篤姫、てっぱん、カーネーション等の演出担当、エンディングカット)
※敬称略
久し振りの'高知パート"を強調する主題歌明けの演出
あしのブログに、ようきんしゃったなぁ。
(私のブログに、よくぞいらっしゃいました。)
あしが管理人の “みっきー” やか!
(私が管理人の “みっきー” です!)
今回は、アバンタイトルがあった。
いや、きっと演出家が脚本を読んで、アバンタイトルにしたかったのだ。
その意図が分かるのが、主題歌明けが、まるでフェードインのような真っ黒な画面から始まったから。
それも、役人の黒服の背中部分を使ってのフェードインとは、何とも洒落た演出効果だ。
そして、
●不穏な雰囲気の劇伴と合わせて…
●黒から覗いて見えてくる綾(佐久間由衣)の表情からの展開…
●峰屋の従業員たちを横切るレンズフレア(光の被り現象)…
●重苦しいナレーション…
●手持ちによるカメラワーク…
これらの相乗効果によって久し振りに登場した‘高知パート’と一線を画した雰囲気が創出された。
祖母タキの部屋にあった「薬師如来立像」に注目!
脚本に記載があったのか、演出部のアイデアなのか分からないが、「峰屋」の場面で印象的だったのが祖母タキ(松坂慶子)の部屋にあった「薬師如来立像」のレプリカ(置物)だ。
久し振りに仏教のお話もしてみよう。
「薬師如来立像」は、簡単に言うと病気の回復や延命を願って作られた「仏教界のドクター」の仏像だ。
右手の手のひらを見せているのは「怖がらなくてもいいんだよ」という施無畏印(せむいいん)を表し、左手には薬壺(やっこ)と呼ばれる‘薬を入れる壺’を持っているから、他の仏像と見分けやすい。
また、薬師如来の真言(マントラ:仏の言葉や呪文)は「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」。
仏教では “真言” は訳すものではなく、考えずにひたすら唱えるものだが、敢えて訳せば「チャンダーリー女神とマータンギー女神たちよ、疫病を取り払いたまえ」となる。
ふたりの女神に願うことと、綾とタキのシーンであることに、もっと深い意図があるようにも思う。
もちろん、終盤で描かれた “タキの病気” についてもリンクしていると思う。
面白いカメラワークと編集
面白いカメラワークと編集もあった。
万太郎(神木隆之介)が田邊(要潤)と話す機会をうかがっていたシーンだ。
前段の峰屋のシーンではハンディカメラが多用されていたが、植物学教室は三脚の固定カメラ。
それを上下に操って、目まぐるしい時間経過や右往左往する感じを創出した。
先の「役人の背中」同様に、ちょっとした撮影と編集の工夫だが、このような “遊び” ができるということは、撮影と編集現場にそれなりの余裕があるってことだと思う。
放送尺をキッチリ使いたいなら"回想"は入れるべきではない
余裕と同時に感じるのが、自信と方針だ。
以前にも、画面には登場しない人物を、登場しているキャラクターのセリフに盛り込むだけで、回想シーンも挿入しないでまるで “居るかのように” 描写したことがあった。
今回では、万太郎と田邊のやり取りの中に、十徳長屋の住人で東大の落第生・堀井丈之助(山脇辰哉)と、画工・野宮(亀田佳明)の話題があがった。
しかし、今回も回想シーンの挿入はなかった。
基本的に今作は、演出家が交代しても回想シーンが極端に少ないから、演出方針として決まっているのかも?
でも、それは本当に良いことだ。
何度も書いているが、回想シーンは “物語” ではなく、単なる視聴者への “説明” に過ぎない。
だから、他の場面でシッカリと描写して、視聴者の記憶にとどめることができれば、要らないのだ。
もちろん、展開によっては、敢えて回想を入れて強調する演出技法もあるにはある。
でも、結局のところ回想シーンは “以前の繰り返し” だから、放送尺をキッチリ使いたいなら入れるべきではないとの判断はとても懸命だと思う。
徳永助教授と大窪講師が約束のシーンにいないことを考える
演出方針で、ちょっと気になった… いいや、これも演出方針だと思う部分を紹介してみる。
それは、万太郎が田邊の部屋で約束するシーンだ。
これ、これまでだったら、すんなりと約束が決まるのではなく、少なくても東京大学植物学教室の徳永助教授(田中哲司)と大窪講師(今野浩喜)がいて、万太郎に茶々を入れたり、嫌味を言って万太郎を困らせるみたいな場面があってもおかしくないと思うのだ。
しかし、前述のように、放送尺をキッチリ使いたいのなら、徳永と大窪のくだりも “繰り返し” になるから削ったと思う。
確かに、もしふたりがいたと仮定すると、クドいとまでは言わなくても、「またか…」とは思うかもしれない。
そう考えれば、実に賢しい演出意図だと思う。
あとがき
最後の最後で、万太郎らしいアプローチで、峰屋の危機を救おうとしていることが描かれました。
それも、世界を味方につけて、日本政府にギャフンと言わせるって。
峰屋、祖母タキ、そして「ヒルムシロ」がどうなるのか、明日が気になる…
みっきーの植物図鑑
先日訪問した「佐倉草ぶえの丘ローズフェスティバル2023」で目に留まった花を紹介します。

「デルフィニウム」って、ご存知ですか?
野生種は、アルプス山脈などの標高1,000m以上の山岳地帯に咲く花です。
今は品種改良されて、比較的日本中で育てられますが、やはり耐寒性があって、耐暑性は弱いので、高温多湿の日本の夏を乗り越えさせれば咲きます。
花が咲くのはツツジの少し後、5月中旬から6月です。

薄紫色(上)が「デルフィニウム・アストラート プレミアム」。
イングリッシュガーデンと言ったら絶対に必要な定番品種です。
暑さに比較的強い品種なので、日本でも安心して育てられます。
濃い紫色(下)が、「デルフィニウム・オーロラ ディープパープル」。
こちらの方が大輪で高級感がありますね。
どちらも鉢植えでも育ちますが、地植えだと1m近くになって見映えが良いです。
今日の「らんまん植物図鑑」について
以前、下記の投稿で “ナンジャモンジャの木” を紹介しました。
黄門様が「何じゃろか!?」と感嘆したクスの木の巨木"ナンジャモンジャの木"@交通・運輸の神様『神崎神社』千葉県香取郡
今回の「らんまん植物図鑑」で「ヒトツバタゴ」の別名が「ナンジャモンジャ」だとの解説文がありました。
これには諸説あります。
基本的に「ヒトツバタゴ」の別名は「ナンジャモンジャノキ(全部、カタカナ表記)」なのは、ほぼ間違いありません。
ただ、漠然と「ナンジャモンジャ」というと、クスノキ、ボダイジュ、ニレなどの樹木も含まれます。
なので、「ヒトツバタゴ」以外は「ナンジャモンジャの木」「なんじゃもんじゃの木」など表記を工夫しているわけです。

黄門様が「何じゃろか!?」と感嘆したクスの木の巨木ナンジャモンジャの木
結びに
ほなな~!また来とうせ。
それでは、また来てね。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17947/
【これまでの感想】
第1週『バイカオウレン』
1 2 3 4 5 土
第2週『キンセイラン』
6 7 8 9 10 土
第3週『ジョウロウホトトギス』
11 12 13 14 15 土
第4週『ササユリ』
16 17 18 19 20 土
第5週『キツネノカミソリ』
21 22 23 24 25 土
第6週『ドクダミ』
26 27 28 29 30 土
第7週『ボタン』
31 32 33 34 35 土
第8週『シロツメクサ』
36 37 38 39 40 土
第9週『ヒルムシロ』
41
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