王様に捧ぐ薬指 (第6話・2023/5/23) 感想

TBS系・火曜ドラマ『王様に捧ぐ薬指』
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第6話『恋したシンデレラと素直になれない王様』の感想。
なお、原作の漫画、わたなべ志穂『王様に捧ぐ薬指』は未読。
「ラ・ブランシュ」から離れた綾華(橋本環奈)は、表向きは東郷(山田涼介)との結婚生活をアピールしながら、裏でアルバイトを掛け持ちしていた。ある日、休職を余儀なくされていた梅(小林きな子)の復職が決定。同じ頃、綾華は神山(坂東龍汰)に、東郷とけんか中だと打ち明ける。その後、東郷が綾華に謝ろうとした矢先、金太郎(塚地武雅)が病院に搬送されたとの知らせが入る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・わたなべ志穂『王様に捧ぐ薬指』
脚本:倉光泰子(過去作/ラヴソング、純愛レゾナンス、PICU) 第1,2,5話
関久代(過去作/パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~) 第3,4,6話
演出:坪井敏雄(過去作/凪のお暇、カルテット、わたナギ、妻、小学生になる。) 第1,2,5話
泉正英(過去作/病室で念仏、TOKYO MER、ユニコーンに乗って) 第3話
宮崎萌加(過去作/差出人は、誰ですか?) 第4話
大内舞子(過去作/TOKYO MER、アトムの童) 第6話
音楽:G.B.'s Band(Prod. by GeG)(過去作/差出人は、誰ですか?)
主題歌:Hey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」
挿入歌:Awesome City Club「アイオライト」
ウエディング監修:ワタベウエディング
プロデュース:橋本梓(過去作/毒島ゆり子のせきらら日記、差出人は、誰ですか?)
勝野逸未(過去作/俺の家の話)
※敬称略
演出の気合が "一段上がったって感じ" の仕掛けがここ!
今回は冒頭から映像から伝わる雰囲気が、これまでと全然違っていた。
「まるで別の作品みたい」というのではなく、演出の気合が一段上がったって感じで。
そして、この第6話の演出担当が過去の5話の担当者と違うと確信したのが、次の中盤でのシーンの音楽の使い方だ。
綾華(橋本環奈)が東郷(山田涼介)に、父・金太郎(塚地武雅)が入院している病院の同部屋の患者・春日(不破万作)のために “院内結婚式” を挙げたいと相談する場面で、次のようなやり取りがあった。
綾華「社長 ありがとうございます」
東郷「もう 社長って呼ばない約束だろ」
綾華「… 東郷 ありがとう」
東郷「…(頷く)」
綾華の “溜(た)め” があって、東郷のアップから劇伴が始まるのだ。
まだサントラ盤が発売前(発売予定日は2023年6月7日)だから曲名は分からないが、恐らく今作のメインテーマではないかと思う。
「演出・大内舞子」は覚えておいた方が良いかも?
注力してほしいのは、その劇伴の “イントロが始まるタイミング” だ。
今作の主人公は綾華だから、普通の演出ならの “イントロが始まるタイミング” は「… 東郷 ありがとう」の直後にすると思う。
そうすることで、主人公である綾華の喜びが劇伴によって強調されるからだ。
しかし、今回の演出では、東郷の‘どアップ’になって、一拍半ほど “間” があって東郷の無言の頷きの前に始まっている。
こうしたことで、綾華の喜びよりも、綾華の喜ぶ顔を見た東郷の喜びの方が強調される。
本来の演出なら主人公を強調すべきだが、今回を最後まで見れば分かるように、今回の最大の見どころは “東郷の心境の変化” だ。
従って、中盤で「今回は東郷の気持ちを見てね」という演出家の意図が伝わってきた。
僅か数10秒の違いだが、ここまで印象的にズラしたのは、メイン演出の坪井敏雄氏も今作ではやっていなかった(と思う)。
クレジットでは、今作は初担当の大内舞子氏とあった。
松本彩氏と共に、TBSの今後の “ドラマ演出” をになっていくかもしれないので、名前は憶えていて損はないと思う。
サウナを含めて、やり過ぎない塩梅がちょうど良い
さて、今作の脚本を含めた感想…
最近は、異様なほどに “初期設定” を奇抜にして、そこを膨らませることを “物語”、“ドラマ” だと勘違いしている作品が多く、今作もその類の連ドラであることは違いない。
というわけで、“初期設定” を無視して、いろんな意味で違う “ふたり” の “ベタな恋バナ” とすれば、ようやく自分の、お互いの気持ちに気づいた… に過ぎない。
だから、ラストのサウナを含めて、やり過ぎない塩梅がちょうど良いと思う。
これ以上やると、完全にあざとさが勝ってしまうから。
従って、“ベタな恋バナ” とすれば、これから生かして盛りあげてほしいのが “初期設定” だから、次回からその辺を期待してみてみようと思う。
今後、東郷の母・静による "企て" が、どうなるのか?
もちろん、気になったこともある。
例えば、今回は具体的に登場しなかった東郷の母・静(松嶋菜々子)による “企て”。
どう見ても “ある” のに、強調しない(笑)
別に「強調しろ!」とお願いするつもりはない。
そもそも、綾華と東郷の関係が強固な状態になっていないのに、“当て馬” を使っても殆ど意味がないと思うのだ。
ほら、多くの人の大好物である三角関係すら成立しないわけだから。
だから、完全に神山(坂東龍汰)が “当て馬” なら東郷の母は要らないし、“企て” で魅せるなら “当て馬” は強調しなくてもできちゃうわけで。
まあ、今後の展開で生かされるのを期待したい。
流石に、綾華の復帰の過程がテンコ盛り過ぎる…
もう一つ気になったのは、綾華の復帰の過程。
父の入院、同室の患者、病院内での結婚式、盗まれた金の返還、綾華の上司。佐々木梅(小林きな子)の復帰と、テンコ盛りだ。
そもそも、佐々木が謹慎中なのだから、警察沙汰までしなくても、佐々木の代役で頑張り過ぎてトリプルブッキングくらいでも良かったような?
まあ、原作の縛りもあるだろうし、“ドラマ” だからこれくらいの派手さはあっても許されるとは思うが。
あとがき
気楽に見られますし、「結婚って悪くないな」「結婚式もいいもんだな」と思わせてくれるのが良いと思います。
“ドラマ” ですから、これくらいの現実離れは、私は完全に許容範囲です。
次回以降も、“カワイイ” が溢れるくらいでお願いします!(笑)
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17931/
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