罠の戦争 (第4話・2023/2/6) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『罠の戦争』
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第4話『新たな敵で深まる謎....永田町の闇に飛び込め』、ラテ欄『新たな敵で深まる謎…永田町の闇に飛び込んで真相を追え!』の感想。
次の総選挙で犬飼(本田博太郎)の地盤を継いで出馬するよう鷹野(小澤征悦)から促された亨(草なぎ剛)は、鷹野と党幹事長の鶴巻(岸部一徳)から後援会会長の鰐淵(六平直政)を味方に付けるよう助言される。ところが鰐淵は、後継者は犬飼の息子・俊介(玉城裕規)だと考えていた。亨は泰生(白鳥晴都)の件で犬飼をホテルに呼び出した人物に、選挙を口実に近づくことを考える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:後藤法子(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、都市伝説の女)
演出:宝来忠昭(過去作/嘘の戦争、姉ちゃんの恋人、家政夫のミタゾノシリーズ) 第4話
三宅喜重(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密、姉ちゃんの恋人) 第1~3話
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。、テセウスの船、危険なビーナス、日本沈没-希望のひと-)
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」
ナレーション:柳沢三千代(過去作/アニメ「それいけ!アンパンマン シリーズ」カレーパンマン声優)
プロデューサー:河西秀幸(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、GTOシリーズ)
三宅喜重(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密)
※敬称略
"社会派ドラマ"の一面を強く押し出した内容に感服!
前回は、それまでの “仇討ち路線” オンリーだった展開に犬飼(本田博太郎)の失脚を加え、更に次(今回)の展開への足掛かりとして、鷹野(小澤征悦)から犬飼の地盤を継いで出馬するよう打診された主人公・鷲津(草彅剛)を描いた。
それを受け取った第4話は、更に恐らく全話の折り返し地点となる第5話のための “丁寧な下準備” といったところだろうか。
下準備といっても今作のことだから、そこは一捻り、いや二捻りか!
地元の有力者で犬養の後援会長の鰐淵益男(六平直政)を味方につけるよう、裏で悪事を見つけて突き付けて晒して脅すのか思いきや。
鰐淵の母・かよ(白川和子)の認知症で徘徊癖と、鰐淵の妻・美恵子(滝沢涼子)への言葉の暴力やモラハラ問題という、現代社会の問題を盛り込んで、それを “赤の他人” である鷲津夫婦が解決の糸口を授けるという “社会派ドラマ” の一面を強く押し出した内容に感服してしまった。
窓口担当者に「ちょっと待ってください」なんて言ったら…
個人情報だから詳細は書かないが、私も両親の介護をやった(今もやってる)が、自治体の支援を受けても、24時間完全介護施設にでも入らなければ家族だけの自宅介護では徘徊癖に24時間フルで対応するのは難しい。
幸い、私の親の場合は周囲に行政の介護支援を受けることへの反対者はいなかったから私が手続きを済ませ、私の両親、そして義理の両親と気づいたら同じ施設や担当者さんに15年以上もお世話になっている。
ここまで今作から離れてしまったついでに書くが。
もしも、身内に介護が必要な人がいたら、まずは行政の窓口に相談するのをおすすめする。
いざ、「親に介護が必要になった!」ら、ソーシャルワーカー、ヘルパー、介護施設、病院など怒涛の如く決め事が押し寄せてくる。
窓口の担当者に「ちょっと待ってください」なんて言っていたら、どんどん先送りにされてしまうのだ。
だって、「親に介護が必要になった!」人は、住んでる町にどんどん増えているわけだから。
序盤の「犬養後援会の会長|鰐淵益男」のテロップに注目!
さて、ドラマの感想もちょっと書こう(ちょっと??? 苦笑)
今作の脚本や演出が丁寧なことは言うまでもないが、今回なら冒頭の “これまでのお話の振り返り” なんて実に分かりやすくコンパクトにまとまっていたが。
私が「さすが!」と思ったのが、「犬養後援会の会長|鰐淵 益男」のテロップの出るタイミングや出方だ。
やはり今回の主人公以外の最大の注目キャラは鰐淵だから、作り手はドラマチックに登場させたいし、視聴者は「お~っ!」って思いたい。
そこで、六平直政さんが演じてるのは百も承知であることを逆手にとって、テロップだけを引っ張れるだけ引っ張った。
そして、敢えて真正面の六平さんのどアップではなく、犬養のほうに目を向けている六平さんの横顔のアップにテロップを入れた。
『[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~』によれば、この時点の鰐淵のアップが “下手(画面左)向き” で “上手(画面右)が空いている” ことが、既に “鰐淵の絶望と敗北” を暗示しているというわけ。
これを裏付けるのは、鰐淵の母親が無事に助かって、「ありがとな」という前後の鰐淵は “上手(画面右)向き” のカットが多いってこと。
やはり、映像の掟を守っている作品は、しっかり作り込まれた作品だと私は思うし、好きな作品ばかりである。
鰐淵の母・かよを演じた白川和子さんにも注目
個人的に第4話の感想に書き残したいのは、鰐淵の母・かよを演じた白川和子さんだ。
多くの人は、柴田理恵さんや久本雅美さんが所属する「ワハハ本舗」のメンバーであることや、元JUN SKY WALKER(S)メンバーで「ゆず」のプロデューサーでも寺岡呼人氏が甥っ子であること存知だと思う。
でもオジサン世代なら「日活ロマンポルノ」の第1作目『団地妻 昼下りの情事』の主演女優で、その後も「団地妻シリーズ」の大人気で「ロマンポルノの女王」と呼ばれ、今村昌平監督の映画『ええじゃないか』(1980)や『黒い雨』(1989)での演技は世界中で評価された女優さんだ。
今回も、素足で川に入っていく迫真の演技に感動した。
とまあ、とにかく、脚本、演出、俳優が丁寧に確実に作り込んでいる “ドラマ” は、見ているだけで気持ちがいい。
あとがき
「昨日の友は今日の敵」ってことわざがありますけど、正に敵と味方が入り乱れるだけでなく、コロコロと入れ替わるのが面白いです。
そのために先の展開が読めないし、その流れに乗って裏切られちゃう自分も楽しいですしね。
次回も下衆な先読みをせずに、純粋に “ドラマ” を楽しもうと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17648/
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