相棒 season21 (第15話・2023/2/1) 感想

テレビ朝日系・『相棒 season21』
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第15話『薔薇と髭と薫たち』の感想。
右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は東京・新宿の公園で男性の遺体を発見。男性は社会問題を扱うルポライターの鬼塚(工藤俊作)で、妻で少女小説家の美智子(大島さと子)のサイン本を握りしめていた。美智子は同じ公園でフードバンクのボランティアをしていたが、夫がいたことを知らなかったという。右京と薫は、鬼塚とフードバンクの関連を推理し、サイン本の謎を探る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
●脚本:岩下悠子/演出:内片輝(敬称略)
令和5年にお元気な深沢敦さんが演じるヒロコママが登場!
前回の感想で書いた通り、どうやら2023年10月期から『相棒22』が始まるらしいので、『21』が最終Seasonだと思って評価を甘くしていたのをやめて、<私の勝手な>通常評価基準に戻して2回目の今回。
とはいえ、社会派ネタには欠かせないヒロコママ(深沢敦)の登場だけに興奮は抑えられずに見始めた。
なにせ、今どきのご時世は LGBTの取り扱いに神経質にならざるを得ない(悪いことではない)し、かつてはゲイの人たちが夜の商売で生きていくしか術がない時代を反映させたキャラがヒロコママだから… とにかく、令和5年にお元気な深沢敦さんが演じて登場しただけでもうれしい限りだ。
「刑事ドラマ」としては残念な点も多いが…
さて、本編の感想を。
若干、“物語” を紡ぐことに注力し過ぎたために、「刑事ドラマ」として刑事たちが事件を捜査し解決しようという雰囲気が薄まってしまったのが、「刑事ドラマ」としては残念ではある。
まあ、そもそも “物語” の色が濃いために、東京・新宿の公園で男性の遺体を発見したという “事件” も、半グレ集団の “事件” も、事件らしく感じないのが… なのだが。
テーマ性を持った作品としてなかなかの秀作
それでも、偶然だが昨年末に投稿した『他人事じゃない!公的支援が停止する年末年始。生活に困っている人たちの相談先一覧』 で取り上げた…
最近のシングルマザーの貧困問題と生活支援問題に事を発した、NPO談大の炊き出し慈善活動と、それを利用する犯罪という現実味のある話と、漫画家とジャーナリストの男女が入れ替わって覆面活動するミステリーを上手く組み合わせた社会派ドラマとして面白かった。
美智子「一番の悪は 私なのかもしれませんね」
この美智子(大島さと子)の台詞で “私は” と単独に含みを持たせて、「私たちは ずっと 読者をだまし続けてた…」で “私たち” に変化して。
終盤で、スーパー「KEIHIN」パート従業員・古川すみれ(智順)の目の前に立つのが美智子(大島さと子)から鬼塚(工藤俊作)へ切り替わって「この世界は美しく 人生は喜びに満ちている」と、“本当のノエル美智” から再び教えられ “本当の鬼塚一誠” と新たな人生を歩んでいく “二人の女性” を描いた展開は映像的にもお見事だった。
まだまだ男性社会と言われた業界には女性がいなかった90年代前半では、今では考えられない性差別があった時代だからこその、美智子と一誠の計り知れない人間の迷宮の末の選択と、二人と同世代で “ヒロコママ” という人生を選んだ人間との対比も、テーマ性を持った作品としてなかなかの秀作だと思う。
あとがき
いつもの『相棒』とはだいぶ趣が違っておりましたが、私服の内村警視庁刑事部長(片桐竜次)や中園参事官(小野了)も登場して面白かったです。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17627/
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