すきすきワンワン! (第2話・2023/1/30) 感想

日本テレビ系・シンドラ『すきすきワンワン!』
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第2話『犬と元カノ』』、EPG欄『つらい恋 犬の瞳に 励まされ』の感想。
元カノ・澪央(桜田ひより)への未練を断ち切るため、天(浮所飛貴)の協力の下、借金返済という名目で澪央に会いに行く炬太郎(岸優太)。しかし、そこで厳しい現実を突きつけられる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:水橋文美江(過去作/朝ドラ「スカーレット」、死にたい夜にかぎって、古見さんは、コミュ症です。)
演出:中島悟(過去作/デカワンコ、世界一難しい恋、俺の話は長い、新・信長公記) 第1,2話
丸谷俊平(過去作/もみ消して冬、俺の話は長い、#リモラブ、ハコヅメ)
音楽:青木沙也果(過去作/この初恋はフィクションです、ユニコーンに乗って)
主題歌:King & Prince「We are young」
制作協力:オフィスクレッシェンド(過去作/世界一難しい恋、もみ消して冬、俺の話は長い、ジャパニーズスタイル)
※敬称略
今回も、当ブログなりに演出を紐解いてみたい
今回の感想を書く前に、まだご存じでない人もいらっしゃると思うのでプチ告知を。
第1話の感想について、今作のメイン監督で第1話の演出を担当された中島悟氏からコメントをいただいた。
今作の “ローアングル(低いカメラ位置からの撮影)” について、ご自身が解説してくださっているので、よかったらご一読を。
演出家・中島悟さんから拍手コメントをいただきました:「すきすきワンワン!(第1話)」の演出について
というわけで、第2話の演出担当されている中島氏が読んでくださることも臆せず、当ブログなりに演出を紐解いてみたい。
もちろん、内容に対しては「感動した!」や「泣けた!」もあるし、「出演者の演技がよかった!!」もあるが、ここは当ブログらしく書いてみる。
炬太郎の家の「一軒家」を丸々利用したロケ撮影の面白さ
まず、前回以上に感じたのは、炬太郎(岸優太)の家のシーンの撮影の面白さだ。
面白さというのは語弊があるかもしれないが、やはり「一軒家」を丸々利用したロケ撮影の映像は、スタジオセットとは違った趣や現実味がある。
特に “自然光” が入り込む室内でのシーンは、撮影時期を考えると刻々と日が落ちてしまう時期ではあるにもかかわらず、明るい陽射しを利用した “生活感” がにじみ出ていた。
そんな撮影がたいへんな一軒家ロケでの工夫が見えたのが、下図のシーンでいうなら二人の背後に見える「小窓についた襖に映る木々の影」だ。

©日本テレビ
序盤での家の中まで光が差し込むシーンの襖には木々の影はないが、日差しが入らないシーンでは襖に外から照明が当たって影が映るようになっている。
これによって、「太陽の向きが変わる=時間が経過している」を表すと同時に、映像的な奥行き感を創出している。
そう、実際に光が差し込む場合は光の向きや陰によって奥行きは出るが、日差しがないと映像的にのっぺりとした感じになってしまう。
しかし、奥に明るい所を作ると自然と「手前と奥」を意識するから人物との距離感を含めて “リアル” に見えるとうわけだ。
因みに、ラストシーンでは天井の室内灯があるから、影は要らない… ということ。

©日本テレビ
炬太郎と澪央は「下手(画面左)向きへの目線や移動」が多い
もう一つ興味深いのは、登場人物の顔の向き。
以前に下記の投稿をしたので、まだ読んでいない方は読んでいただきたいのだが。
[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~

©ディレクターの目線blog
実は今回の炬太郎は「下手(画面左)向きへの目線や移動」が多い。
それは私の解説図を見れば分かるように、炬太郎は人生だけでなく元カノ・澪央(桜田ひより)に対して絶望や敗北を抱いているからだ。
しかし、実は澪央も「下手(画面左)向きへの目線や移動」が多いのだ。
例えば、前半にあった「二人が電話で話すシーン」なんて、二人とも “下手目線” になっており、映像の掟に当てはめると、正に二人はかみ合っていないことを示しているのだ。

©日本テレビ

©日本テレビ
他にも、該当するカット、シーンはたくさんあるが、一つだけ挙げるなら、ラストシーンでの炬太郎は “常に下手(画面右)向き” だということ。
最近は登場人物の向きを意識しない演出やカメラが多い中で、やはり知っておいてほしい演出ポイントなのだ。
炬太郎が澪央にお金を返して自宅に帰るシーンにグッときた
今回で、グッときた場面が終盤で、 炬太郎が澪央にお金を返して自宅に帰るシーンだ。
天(N)「本当は 泣きたかったんじゃないかな」
恋の終わりを涙をこらえて歩く炬太郎に、主人公のモノローグではなく、天(浮所飛貴)のナレーションが被さる。
これによって、炬太郎が孤独や悲しみといった “負の感情” を引きずったままで終わりそうな展開を、天の “共感する優しさ” を盛り込むことで…
そして更に帰宅後に炬太郎を出迎える天で<何でもない日を特別な日にした>を描くことで…
視聴者がざわざわした気持ちを引きずらずに眠りにつけるような脚本や演出の心遣いがあるように思う。
あとがき
今回も、こってりと演出を中心に書きましたが、ホントはもっとあるんですよ。
例えば、前回でも「低いカメラ位置は、視聴者がその場にいる雰囲気を与える」的なことを書きました。
下図のカラオケのシーンもローアングルが多かったですよね。

©日本テレビ
更に、季節の変化を表現する目的もあったでしょうが、炬太郎と澪央の二の腕から手首までがしっかり見えます。
これによって男女の体格差だけでなく、張った筋による躍動感や、生身の人間っぽさが表現されていてドキッとしました。
「ジャニーズだから…」、「アイドルドラマだから…」、「お涙頂戴でしょ?」と毛嫌いせずに、みんなに見てほしい作品です。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17621/
【これまでの感想】
第1話
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