罠の戦争 (第3話・2023/1/30) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・新 月10ドラマ『罠の戦争』
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第3話『ついに激突! 憎き大臣の弱みを暴け』、EPG欄『遂に宿敵と激突!決死の罠で大臣から全て奪え!激動の展開へ』の感想。
鷹野(小澤征悦)から総選挙の時期が早まりそうだと聞いた亨(草なぎ剛)は、犬飼(本田博太郎)の政治生命を絶つ好機に奮い立ち、事務所資金の裏帳簿のコピーを調べる。すると、犬飼の息子・俊介(玉城裕規)が方々で引き起こす暴力沙汰の示談金のため、事務所資金が私的流用されていたことが判明。亨はある疑惑を胸に、犬飼の運転手・牛尾(矢柴俊博)に目をつける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:後藤法子(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、都市伝説の女)
演出:宝来忠昭(過去作/嘘の戦争、姉ちゃんの恋人、家政夫のミタゾノシリーズ)
三宅喜重(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密、姉ちゃんの恋人) 第1~3話
音楽:菅野祐悟(過去作/半分、青い。、テセウスの船、危険なビーナス、日本沈没-希望のひと-)
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」
ナレーション:柳沢三千代(過去作/アニメ「それいけ!アンパンマン シリーズ」カレーパンマン声優)
プロデューサー:河西秀幸(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、GTOシリーズ)
三宅喜重(過去作/銭の戦争、嘘の戦争、10の秘密)
※敬称略
"仇討ち"の色を薄めて、次回からの展開の足掛かりを作った
若干、極秘事項をしゃべるならもう少し秘密裏にやったほうが不審に思われないと思うが(笑)
しかし、「誰か聞いてない?」と思わせることも、今作を面白くさせる重要な要素だから、“ドラマ” としては正しいと思う。
そして、“連ドラ” としては過去の2話よりも “仇討ち” の色を薄めて、次回からの展開の足掛かりを作ったという感じだろうか。
虻川からのパワハラに決着した梨恵だからこその優しさ…
今回は、とにかく心に響いた台詞が多かった。
例えば、私設秘書・蛍原梨恵(小野花梨)が聞き込み調査をしている時に蛯沢眞人(杉野遥亮)に対して「植物博士」と呼んだ場面で…
梨恵「誰かの目指してた夢 笑ったらだめだよね」
今回の内容に直接は関係のない台詞ではあるが。
ただ、今回で全編にわたって踏襲させて描かれていたのは一種の “誰かの目指していた夢” であり、それを実現させるための野望や欲望が生み出した “化け物” が ‘罠の戦争’ を動かしているわけで。
その意味で、前回で虻川勝次(田口浩正)からのパワハラにようやく決着をつけた梨恵だからこその優しさが垣間見られる、今作のオアシス的ないい台詞だと思う。
立候補者、政治家、その家族の心情をうまく言い当てた台詞
もう一つ紹介したいのが、中盤で鷹野聡史(小澤征悦)が鷲津夫婦にこぼした愚痴…
鷹野「選挙期間中 通学路に
おやじのポスター貼られんのが すんごい嫌で。
だって あれ 指名手配か政治家だけでしょ。
あんなに 顔写真 街じゅうに貼られんの」
この時点では「なるほど、確かに…」と思って聞き流した台詞だが、のちの展開で主人公・鷲津亨(草彅剛)が選挙戦に出馬する展開になった時に「なるほど、そうきたか!」と。
だって、主人公が立候補すれば、正に “指名手配犯 or 政治家” のような怒涛の二択の人生のどちらかになって、その後も世間に顔をさらし続けて生きていくことは確実になるわけだから…
なかなか立候補者、政治家、その家族の心情をうまく言い当てた台詞だと思う。
残念だが、人は"誰かの力になる"よりも"保身"になりがち…
そして、どうしても取り上げたい台詞が、亨の妻・鷲津可南子(井川遥)が何気に言った次の台詞…
可南子「誰かの力になりたいって思うことが
政治の始まりなのかもですね。
難しいですよね 誰かの力になるって」
「今の政治家たちに聞かせてやりたい」なんて、青臭いことは言いたくないが。
でも、今回の様々な “政治にかかわる人たち” の言動を見ていると、確かに “誰かのためになりたい” が政治活動の原動力になっていることや、その原動力を維持拡大するために “ヤバイこと” に手を染める輩がいることが分かってくる。
そして、人は “誰かの力になる” よりも “保身” になりがちなことも。
こうなると、主人公の “誰かの力になりたい” が政界進出につながるのか、益々目が離せない…
さり気ない場面にも最適な演出と繊細な演技があるから…
さて、ちょっとだけ当ブログらしく演出的なことにも触れてみたい。
今回にも印象深いシーンが幾つもあったが、その中でも地味で短いシーンではあったものの、とても印象深い場面があった。
それが、亨と運転手の牛尾(矢柴俊博)が世間話をする定食屋でのでの昼食シーンだ。
48歳の草彅剛さんと 51歳の矢柴俊博さんの2ショットの1対1のサシの芝居合戦だ。
亨も牛尾も表と裏の顔を巧みに使い分けて、騙しつつ隠しつつ本音を吐露する難しい演技。
僅か 1分間にも満たない会話劇ではあるが、亨の底知れぬ思いを牛尾の言葉が亨から次々と引き出してくる感じに、心がざわめいた。
亨はメッチャ複雑な心情なのに、草彅さんの芝居からは不思議と一点の曇りもない清々しささえ感じる。
ある意味でつかみようのない亨の心情を引き出すのがこのシーンでの牛尾の役割で、それを矢柴さんの好演が見事に映像化させた。
カット割りも奇を衒わずに、単純に二人をカットバックして互いの心情を重ねる手法だから、余計に芝居を楽しむことができた。
やはり、さり気ない場面にも最適な演出と繊細な演技があるから、今作は見応えがあるのだと思う。
あとがき
鷹野「権力をふりかざすやつと闘いたいなら お前も力を持て」
この↑鷹野の一言が、主人公にとっても視聴者にとっても最も強烈な一撃だったかもしれませんね。
「仇討ち」と「返り討ち」の攻防戦といいましょうか、「やったら、やりかえす」のエンドレス感が何とも心地よいです。
“連ドラ” として、先が楽しみな展開なのもよいですし。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17619/
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