連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第17週/土曜日版・2023/1/28) 感想 ※編集による“印象操作”を考えよう!

NHK総合・連続テレビ小説『舞いあがれ!』
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第17週『大きな夢に向かって』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
2013 年夏。舞(福原遥)が IWAKURA に入社して4年が経ち、取引先から信頼される営業のエースになっていた。会社の業績も右肩上がりで発注も増え、社長のめぐみ(永作博美)は機械を増やすか悩む。一方、貴司(赤楚衛二)は八木(又吉直樹)から古本屋・デラシネを託され、短歌を作り続けていた。そして舞は、浩太(高橋克典)の夢を実現すべく、航空機産業支援セミナーに参加しようと提案する。舞の熱意をめぐみも理解し、その提案を受け入れる。IWAKURA の飛行機部品作りの最初の一歩を、舞は踏み出す。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
原作:なし
脚本:桑原亮子(過去作/心の傷を癒すということ) 第1~7,12~17週
嶋田うれ葉(過去作/朝ドラ「エール」) 第8,9週
佃良太(過去作/星とレモンの部屋) 第10,11週
演出:田中正(過去作/ウェルかめ、ひよっこ、なつぞら) 第1,3,4,5,7,13~15週
野田雄介(過去作/スカーレット、マッサン、六畳間のピアノマン) 第2,8,10,17週
小谷高義(過去作/スカーレット、おちょやん) 第6,12週
松木健祐(過去作/ひよっこ、いだてん、晴天を衝け) 第9,11週
原田氷詩(過去作/ちりとてちん演出補、スカーレット 24週のみ共同演出、おちょやん 17週のみ) 第16週
音楽:富貴晴美(過去作/花嫁のれんシリーズ、西郷どん、それでも恋する)
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時(過去作/おちょやん)
管原浩(過去作/これは経費で落ちません!、いいね光源氏くんシリーズ)
※敬称略
ドラマ以外でも"印象操作"をやることはある…
あがだ、お元気と? おいが管理人の “みっきー” です!
(皆さん、お元気ですか? 私が管理人の “みっきー” です!)
ほんなこて、さんかけん、風邪ば引かんごてねー。
(本当に、寒いから、風邪を引かないようにね)
タイトルに書いた「演出の “印象操作” について勉強しよう!」について、冒頭に少しだけお話します。
まず、「印象操作」とは、送り手が相手に与える情報を意図的に取捨選択したり、作為的な伝え方をすることで、受け手の印象をコントロールすることです。
一見、悪い意味にしか聞こえない「印象操作」ですが、次のようなことが実際にありました。
ある企業の「創業100周年記念イベント」で放映する「100年の歩み」と題した映像制作の時です。
制作費を抑えるために「75周年の時に作った映像を使い回してほしい」と、なったわけです。
しかし、「75周年の時は非上場で、今は上場企業になったので、以前の‘僕たちの会社’のイメージを消して‘みんなの会社’のビデオにつくってほしい」ってわけです。
そう、これが「印象操作」です。
そこで私がディレクターとしてやったのが、既存のナレーションと音楽を全部外して、映像もブツ切れの素材に解体し、史料編纂室に1週間こもってストーリーの再構築をやって、新規の音付けをやったわけです。
これによって「創業者たちが成功した会社」を消して、「株主様たちが潤う会社」への塗り替えに見事成功したわけです。
というわけで、作品の “方向性” や “意図” が明確ならば、プロなら如何様にも “印象操作” ができるってことです。
なぜ「土曜日版」で必死に"意味合いのすり替え"をやるのか?
冒頭で「印象操作」の話をしたのは、今年に入ってからの「土曜日版」は必死に「印象操作」をやっているからだ。
まあ、正しくは「印象操作」でなく、既に見せた映像のことだから「意味合いのすり替え」ではあるが(笑)
しかし、このことからも作り手たちは「本編」で伝えてしまったことが、本来今作が伝えたかった “方向性” や “意図” と大幅に違う… と弁解していることだと思う。
一つ目の見どころ"貴司のくだり"を徹底解説!
この「土曜日版」の見どころは、大きく二つある。
一つ目は、ず~っと「今週、必要なの?」と思っていた古本屋「デラシネ」の貴司(赤楚衛二)のくだり。
厳密な精査はしていないが、「本編」にあったほぼ全カットを残してあったと思う。
逆に、その前後を上手くカットしたために、「貴司の夢」、「貴司の挑戦」が強調され、その結果として「先代社長の夢」、「先代社長の挑戦」との重なりが分かりやすくなったから、ぼわ~んとしていた主人公・舞(福原遥)の言動とのつながりも明確になった。
やはり「本編」の印象では、「本業が忙しいのに油を売ってる場合なの?」と思わざるを得ない主人公だったのだ。
でも「土曜日版」の印象では、“みんなのためには人一倍頑張るヒロイン” らしく、貴司の手伝いをしにやって来たという “すり替え” に成功したと思う。
二つ目の見どころ"お父ちゃんの夢"、"舞の夢"を徹底解説!
二つ目の注目ポイントは、本編で何度聞いたか分からない「お父ちゃんの夢」、「浩太さんの夢」、「先代の夢」、「浩ちゃんの夢」についてだ。
まず、「本編」では、“お父ちゃんの夢” が、まるで “舞ちゃんの夢” と同義に使われていた。
まあ、娘としての主人公の心情を重んじれば、「父の夢は娘の夢でもよくなくない?」は分からなくもない。
しかし、この感想ではツッコまないが、やはり、いくら父が夢半ばで亡くなったとしても、私が父の夢を受け継ぐ展開はあまりにもとうとう過ぎると思うのだ。
でも、「土曜日版」では従業員たちの映像を多めに盛り込むことで “夢” の印象を薄めて、“挑戦” や “チャレンジ” へのすり替えに成功した。
そしたら「土曜日版」では、作業服を着てリーダーとしてチャレンジしている浩太の回想シーンと、あれこれ取り組む舞の姿を多めに盛り込むことで、「お父ちゃんの夢 かなえたい!」が “舞の夢” となっており、それが “舞の挑戦” であるように、すり替えてもいる(苦笑)/p>
この「印象操作」なら、前回の感想に描いたような、池井戸 潤さん原作のドラマ『下○ロケ○ト』や 『陸○』のような “舞ちゃんのサクセスストーリー” に見える(お世辞だが…)
新たな夢に挑戦するヒロインのサクセスストーリー&お仕事ドラマに見える!
要するに、「土曜日版」だけなら一つ目の「貴司の夢」と「貴司の挑戦」との積み重ねが功を奏して、新たな夢にチャレンジするヒロインのサクセスストーリー&お仕事ドラマに見える! ってこと。
もちろん、ナレーションによる補強や補完も適度にされており、>スタッフの “出来ることはやりました感” がひしひしと伝わってきた。
あとがき
もしも、予想通りに「土曜日版」の内容こそが本来今作が伝えたかった “方向性” や “意図” だとすると、それって一体 “どこ” にあるのでしょう?
脚本の中にあるなら、「土曜日版」の編集担当以外の演出担当が “それ” を理解しないで撮影と編集をしていることになります。
また、脚本の中にないから現場が迷走したなら、制作統括の頭の中にだけあるってこと?
それとも、当初の企画段階には “あった” けど、実際に脚本が動き出したら消えちゃったってこと?
とにかく、5分の1のダイジェスト版「土曜日版」で見えるものが「本編」では意味不明に変わるって???
実は「土曜日版=本編」で、「本編=土曜日版の希釈版」だったりして(笑)
「土曜日版」の内容に期待を込めて。来週から気持ちを入れ替えて応援しようと思います。
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/17614/
【これまでの感想】
第1週『お母ちゃんとわたし』
1 2 3 4 5 土
第2週『ばらもん凧(だこ)、あがれ!』
6 7 8 9 10 土
第3週『がんばれ!お父ちゃん』
11 12 13 14 15 土
第4週『翼にかける青春』
16 17 18 19 20 土
第5週『空を飛びたい!』
21 22 23 24 25 土
第6週『スワン号の奇跡』
26 27 28 29 30 土
第7週『パイロットになりたい!』
31 32 33 34 35 土
第8週『いざ、航空学校へ!』
36 37 38 39 40 土
第9週『私らはチームや』
41 42 43 44 45 土
第10週『別れと初恋』
46 47 48 49 50 土
第11週『笑顔のフライト』
51 52 53 54 55 土
第12週『翼を休める島』
56 57 58 59 60 土
第13週『向かい風の中で』
61 62 63
総集編(前編)
第14週『父の背中』
64 65 66 土(第13,14週分)
第15週『決断の時』
67 68 69 70 71 土
第16週『母と私の挑戦』
72 73 74 75 76 土
第17週『大きな夢に向かって』
77 78 79 80 81
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