100万回 言えばよかった (第3話・2023/1/27) 感想

TBS系・金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第3話『家族という罠』の感想。
譲(松山ケンイチ)に促され、警察署に出向いた悠依(井上真央)。そこで初めて、直木(佐藤健)が女性殺害現場のマンションの防犯カメラに写っており、事件との関連を疑われていることを知る。悠依は、直木のことをよく知らない自分を痛感。家族のことなどをちゃんと聞くべきだったと後悔しながらも、彼は人殺しなんて絶対にしないと断言し、譲に「真相を突き止めたい」と訴える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:安達奈緒子(過去作/透明なゆりかご、コード・ブルー3、きのう何食べた?、朝ドラ「おかえりモネ」)
演出:金子文紀(過去作/恋つづ、逃げ恥、俺の家の話) 第1,2話
山室大輔(過去作/天皇の料理番、グランメゾン東京、テセウスの船、アトムの童) 第3話
古林淳太郎(過去作/理想ノカレシ)
音楽:河野伸(過去作/おっさんずラブ、恋つづ、知ってるワイフ、俺の家の話)
主題歌:マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」
※敬称略
衝撃的な直木の過去を描いたシビアなヒューマンドラマに
前々回の感想では…
今作はラブコメや胸キュンの類の恋バナではなく、残された時間を考えるようになる(なった)世代の女性(男性も)たちに向けて「“やり残したこと” をどうするのか?」を問いつつ、人生の応援歌でもあるようだ… と、書いた。
更に前回の感想では…
ラブコメや胸キュン系の恋バナよりも、サスペンスやミステリーの要素を押し出してきた… と、書いた。
そして今回を見て感じたのは、衝撃的な直木(佐藤健)の過去を描いた、シビアなヒューマンドラマ風になってきたってことだ。
避けて通れない社会問題の一つ「きょうだい児」
流石に、直木の過去は “ドラマ” だとしても、大げさにいえば驚愕な内容だ。
とはいっても、数年前から社会が見過ごしてきた “生きづらさ” が問題視され始めている、障がいのある子の兄弟姉妹を表す「きょうだい児」のことだから、“リアル” で考えれば避けて通れない社会問題の一つでもある。
ここで「きょうだい児」のことを深く論じるつもりはないが、もしも今作とこの感想で興味を持ったら「きょうだい児 生きづらさ」で検索するとよいと思う。
序盤の"幽霊コント"が中盤以降の"30代の恋バナ"が際立つ
さて、今作の感想に戻る。
まず、構成の妙を感じるのは、序盤の直木のことが見える男で、直木と同じ成仏できず現世に留まっている幽霊・樋口(板倉俊之(インパルス))の台詞…
樋口「ヘタなダジャレとか言っちゃうと微妙に重くなるけど」
と軽く言い訳しておいて、現実世界よりも、幽霊の過去のほうが “微妙” どころか、とんでもないくらいに空気を重くする内容に転換すること。
いやいや、恐らく脚本や演出はそんなつもりはないと思うが、序盤に直木と樋口の “幽霊コント風” があったからこそ、中盤以降の “30代同志の恋バナ” が際立ったと思う。
そして、直木の過去が描かれたからこそ、ラストの悠依(井上真央)の告白と直木の涙がドラマチックに見えたのだと思う。
そう、重たい空気、妙な空気を、軽やかな空気、温もりのある空気へ見事に変えたのだ。
やはり、緻密に計算され、正しく作り込まれた作品を見ると、「日本のドラマもまんざらじゃない」と一安心だ…
あとがき
いやあ、俳優さん自身の個性もありますけど、どんどん “怪しいキャラ” が増えて、むしろ怪しさが交通渋滞…(笑)
でも、安達奈緒子さんの脚本、金子文紀さんや山室大輔さんらの演出なら、ちゃんと交通整理をしてくれると期待します。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17612/
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