連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第16週/土曜日版・2023/1/21) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『舞いあがれ!』
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第16週『母と私の挑戦』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
浩太(高橋克典)の遺志を継ぎ、社長となっためぐみ(永作博美)。舞(福原遥)はパイロット内定の話を辞退し、めぐみとともに会社の立て直しに取り組む。
経費削減や人員整理を行い、融資元の信用金庫から返済期限の延長を得る。
そのことを舞は祥子(高畑淳子)に電話で報告すると、祥子の家に住み込んでいた朝陽(又野暁仁)が、初めて友達を連れて来て、学校にも行こうとしていると聞く。それぞれが前に進みだしている。舞は笠巻(古舘寛治)からネジの作り方を一から習う。そして悠人(横山裕)が帰宅し、めぐみにある提案をする。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:桑原亮子(過去作/心の傷を癒すということ) 第1~7,12~16週
嶋田うれ葉(過去作/朝ドラ「エール」) 第8,9週
佃良太(過去作/星とレモンの部屋) 第10,11週
演出:田中正(過去作/ウェルかめ、ひよっこ、なつぞら) 第1,3,4,5,7,13~15週
野田雄介(過去作/スカーレット、マッサン、六畳間のピアノマン) 第2,8,10週
小谷高義(過去作/スカーレット、おちょやん) 第6,12週
松木健祐(過去作/ひよっこ、いだてん、晴天を衝け) 第9,11週
原田氷詩(過去作/ちりとてちん演出補、スカーレット 24週のみ共同演出、おちょやん 17週のみ) 第16週
音楽:富貴晴美(過去作/花嫁のれんシリーズ、西郷どん、それでも恋する)
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時(過去作/おちょやん)
管原浩(過去作/これは経費で落ちません!、いいね光源氏くんシリーズ)
※敬称略
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
"サクセスストーリー"へのすり替えに成功した土曜日版…
「週5放送」の本編の感想が、殆どツッコミと苦言で、「こうしたらよかったのに… 講座」すら開設できなかったから、この「土曜日版」では最初に褒めポイントだけ書いちゃおう!
まず、全体の編集が最適化された… というか、「そもそも描く必要のないパーツ」の要素を極力薄めているため…
ちゃんと「前社長で父が亡くなって経営危機に直面した “IWAKURA” を、新社長の母と新たに加わった営業の娘が頑張って、立て直しに大きく一歩を踏み出した」という “サクセスストーリー” へのすり替えに成功した…
おっと、褒めているのだから、印象操作に成功した!(褒めてない! 苦笑)
本来は、このくらいの表現でよかった
本編を全部見た人なら分かると思うが、取引先相手も悪役になっていなし、社員たちの結城章(葵揚)への対応も修正されており…
まさしく「“IWAKURA魂” が集結して、主人公と新社長・めぐみ(永作博美)と協力して浩太(高橋克典)の遺志を継ぎました」の朝ドラへ見事に塗り替えられている。
いや、嫌味で言っているわけではない。
本来は、このくらいの表現でよかったと思う。
わざわざ、「そもそも描く必要のないパーツ」を盛り込んで、更に “そこ” にメリハリをつけちゃうから、妙な印象になっただけなのだ。
「週5放送」分を「15分間」のダイジェスト版にするだけで、これだけ印象が違うのだから、もっと本編で工夫できたと思う。
それこそ、本編の感想で書いたように、台詞やナレーションで誤魔化せた範囲なのだから。
ホント、サクセスストーリーしては悪くないのだから、もったいないことをした… と思う。
「そもそも描く必要のないパーツ」について
では、先延ばしにしていた「そもそも描く必要のないパーツ」について触れてみる。
そもそも…
浩太社長の経営の失策、巨額な借金、信用金庫、融資、リーマンショック…
これらすべて「描く必要のないパーツ」だったと思う。
今回のサクセスストーリーを構築するのに必要不可欠だったのは「父であり、夫であり、社長の浩太の急死」、それだけだったのだ。
浩太社長が急死するだけで、IWAKURAが傾いて、ズルズルと窮地に落ち込む中で、妻が、娘が… で、よかっただけなのだ。
メインの脚本家は"終点(回収)"を描くのが…(困)
しかし、今作は「そもそも描く必要のないパーツ」を盛り込んだ。
ここで、もう少し掘り下げる。
これらの「そもそも描く必要のないパーツ」は、考察ファンが好きな「伏線と回収」に例えれば “伏線” のための “始点(始まり)” だ。
“始点” を描いたら <セット> である “終点(回収)” を作らないとバランスがよろしくない。
でも、今作のメインの脚本家は特に “終点(回収)” を描くのがうまいとはいえない)と思う。
過去の出来事を新しい出来事で上書きしているだけ!
例えば、信用金庫。
信用金庫は “IWAKURA” の味方だったのに、敢えて悪役風に描いた時があって、それが浩太の死直後だから “ワル” の印象が強く残る。
で、強く残った “始点” を作っておきながら、生命保険の時はさらりと流して、悠人(横山裕)の融資の時はスルーしちゃう。
このことは、生命保険のことは描くのに、遺産相続で回収しないのも似たようなもので。
更に、章にいちゃんの経緯も中途半端… なのだ。
要するに、“メイン” は、始点と終点、伏線と回収というセットとしての描写をやらずに、過去の出来事を新しい出来事で上書きしているだけではないか? と、思う。
だから、生保、借金、融資、章にいちゃん、リーマンも “ほぼ過去の遺物” になってしまい、結果的に「そもそも描く必要のないパーツ」に見てしまうのだ。
まあ、終わったことだが。
あとがき
「過去の出来事を新しい出来事で上書きしているだけ」ってことは、言い換えれば「騒動で騒動を重ね塗り」しているだけなのですよ。
それは、前作で散々言ってきた「騒動至上主義」と同じこと。
決して、全部が悪いわけでなく、むしろ悪くないのですから、あと少し台詞やナレーションを活用したらよいと思います。
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/17587/
【これまでの感想】
第1週『お母ちゃんとわたし』
1 2 3 4 5 土
第2週『ばらもん凧(だこ)、あがれ!』
6 7 8 9 10 土
第3週『がんばれ!お父ちゃん』
11 12 13 14 15 土
第4週『翼にかける青春』
16 17 18 19 20 土
第5週『空を飛びたい!』
21 22 23 24 25 土
第6週『スワン号の奇跡』
26 27 28 29 30 土
第7週『パイロットになりたい!』
31 32 33 34 35 土
第8週『いざ、航空学校へ!』
36 37 38 39 40 土
第9週『私らはチームや』
41 42 43 44 45 土
第10週『別れと初恋』
46 47 48 49 50 土
第11週『笑顔のフライト』
51 52 53 54 55 土
第12週『翼を休める島』
56 57 58 59 60 土
第13週『向かい風の中で』
61 62 63
総集編(前編)
第14週『父の背中』
64 65 66 土(第13,14週分)
第15週『決断の時』
67 68 69 70 71 土
第16週『母と私の挑戦』
72 73 74 75 76
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