Get Ready! (第2話/15分拡大・2023/1/15) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『Get Ready!』
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第2話/15分拡大『金の亡者…息子は父の命を救うのか?』の感想。
ジョーカーこと国際弁護士の下山田(藤原竜也)は、息子を私立大学の附属小学校に裏口入学させるため、寄付金2億円を出すよう元妻・千秋(市川由衣)に迫られ、渋々ながら承諾。エース(妻夫木聡)らをあきれさせる。拝金主義の権化とうわさされる同校理事長の坊城(柄本明)と対面した下山田だが、その席に坊城の息子で副理事長の康之(三浦貴大)が現れ、裏口入学を拒否。その直後、坊城が末期がんと判明し…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:飯野陽子(過去作/救命病棟24時・第1,5シリーズ、ヤンキー母校に帰る) 第1,2話
山田能龍(過去作/新宿セブン、八月は夜のバッティングセンターで。) 第1,2話
川邊優子(過去作/ハケンの品格 第2シリーズ、金田一少年の事件簿2022)
金沢知樹(過去作/半沢直樹2022、新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~)
渡辺啓(過去作/BAD BOYS J、警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~)
演出:堤幸彦(過去作/TRICKシリーズ、ヤメゴク、視覚探偵 日暮旅人) 第1,2話
武藤淳(過去作/クロサギ2006、花より男子2、TOKYO MER)
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、最愛、石子と羽男)
音楽:ノグチリョウ(過去作/逃亡料理人ワタナベ、ケイ×ヤク-あぶない相棒-)
パティシエ監修:辻口博啓(過去作/ショコラ・ドキュメンタリー映画「LE CHOCOLAT DE H」)
※敬称略
洋菓子店、警察、病院のくだりって、本当に必要なの?
完全に、失望落胆、意気阻喪、戦意喪失… だ。
遂に、TBSドラマの金字塔ともいわれた『日曜劇場』も、ここまで落ちぶれたか。
もう、 冒頭から ‘落胆失望’ だらけだ。
もはや、洋菓子店「カーサブランシェ」のシーンは全話分撮影終了しているのか!
序盤から畳み掛けるように描かれた「洋菓子店」、「警視庁特務捜査課」、「千代田医科大学附属病院」の 3つのパートは、今作の根幹をなす物語には(敢えて “ほぼ” とは書かない)完全に無関係で不必要なくだりなのに。
あろうことか、その無駄パートで “堤幸彦ワールド” を強引に押し付けてくる所業をやるとは。
もう、この時点で、相当な視聴者がふるいに掛けられて抜け落ちてしまうのに… だ。
ここで説明しておくが、私は「今作の根幹をなす物語」は、天才執刀医を含む正体不明の闇医療チームが、命を助けることで悪行三昧だった患者を真人間に戻す勧善懲悪物語だと思いっている。
役名が不要なくらいの登場人物なら、最初から盛り込まずに
話を 3つの無駄パートに戻そう。
これ、大人の事情かもしれないが、手間暇かけてまで “役名が不要なくらいの登場人物” をやたらと増やすから、登場シーンを作らなければならなくなっているだけ。
最初から、“役名が不要なくらいの登場人物” なんてエキストラどほぼ同じなのだから、がっつりと盛り込む必要なんて無いのだ。
もちろん、演じている俳優さんたちには、これっぽちの罪はない。
良かったのは以下の2点だけ。あとは…
さて、本編の感想だ。
褒め忘れるといけないから最初に書いておこう。
●交渉人「ジョーカー」こと下山田(藤原竜也)が、普段「向日葵国際法律事務所」の国際弁護士として活動している様子を盛り込んだのは良かった。
●案件が一つだったのも良かった。
以上。
あれこれ書く前に、とにかく本題に入るまでが “長過ぎ” た。
もう、20分過ぎまで睡魔との戦いって感じ。
それを削るだけで「15分拡大」なんて不要だったのに。
まあ、これも大人の事情の編成会議の末の拡大放送だろうが、理由は何であれ視聴者が「長い!」と感じた瞬間に時間稼ぎでしか無い)のだ。
いや、作り手たちが「今作をヒューマンドラマ風にもしたい」から、序盤であれこれ盛り込んでいるのは理解はできる。
「人には、裏と表の顔がある」見たなことを描きたいのだろうが。
2人の脚本家で二つのことを同時に描こうとするから…
今作は、二つのことを同時に描こうとして欲張り過ぎている傾向があり、それを更に複数名の脚本家で1話を書いているから、全体の一貫性に乏しく、バランスもよろしくないと思う。
一つ目に描こうとしているのは、前述の通りのヒューマンドラマだろう。
ことわざを用いれば、「悪に強きは善にも強し」を描いて、人間ドラマにしようと試みている。
意味は、大きな悪事を犯すような悪人ほど、一度悔い改めれば善良な人間になるということ。
これのために、今回では、裏口入学などを盛り込んだ。
しかし、描くこと自体は間違っていないが、ここを強調し過ぎると「裏口入学で金を集め脱税している大悪党の犯罪者」の命を救って改心させたところで、根本的な問題解決にはなっていないのでは?という強烈なモヤモヤ感が襲ってきてしまうのだ。
勧善懲悪ドラマなのに、オペするしかない設定だから
そこを薄めようと作り手たちが描こうとしているのが、二つ目の勧善懲悪ドラマの要素だ。
また、ことわざで例えると「悪人あればこそ善人も顕る=悪人がいてこそ善人が目立つ」ってこと。
これにならって、悪をより悪に、善をより善に描くことで、主人公たちの行動が “世のため、人のため” に見えるというわけだ。
ただ、今作のそもそもの設定には “世のため、人のため” に見せるために失敗していると思う節がある。
それは、本来なら、対象者の悪行と善行の両方を描いた上で、主人公たちが対象者を「オペで助ける or 助けない」を選択してこそ “世のため、人のため” に見えるのに、今作の設定では「オペで助ける」しか選択肢が無いのだ(苦笑)
そう、要するに “この初期設定” では、主人公たちは「悪人を助けるしかない」のだ。
もっと、主人公たちの行動理念などを明確にしたらいいのに
では、なぜ「失敗している節がある」と曖昧な表現にとどめたのか?
答えは簡単で、主人公たち “仮面ドクターズ” の行動理念を明確に提示して、仲間うちでの行動原理を定めて、行動原則に従って動いているように強調して見せれば良いのだ。
簡単にいえば、「彼らは何のために集まり、何をしようと考え、どうやって目的を達成しようとしているのか」を、本当は遅いが、今からでも描けばいいのだ。
例えば、「主人公たちは自分たちの理想の医療ができる病院設立のために集まって、同じ理想を掲げる悪人たちの命を助ける代わりに金を集め、結果的に多くの人たちのウィンウィンの関係を築く」みたいなことだ。
きっと、作り手たちは「それは “縦軸” にしておりますが…」と言い訳するだろう。
しかし、その “縦軸” があまりにも曖昧に描かれているために、モヤモヤが晴れない… というわけ。
今作を陳腐化して見せている大きな落とし穴は…
さて、最後に書いておきたいのは、「今回」を見て感じた、今作を陳腐化して見せている大きな落とし穴についてだ。
それは、「警察も、大病院も “仮面ドクターズ” の存在を認めている世界」と序盤で描いたのに…
「城和学院大学の理事長・坊城(柄本明)と坊城の息子で城和学院大学の副理事長・康之(三浦貴大)は “仮面ドクターズ” を知らない世界」のダブルスタンダードになっていたことだ。
これだって、前述した主人公たち “仮面ドクターズ” の行動理念、原理、原則を別の角度から描く一つとして、坊城や息子が「お前があの噂の…」、「お前たちこそ金の亡者…」みたいに反論した方がよかったのでは?
だって、今回の対象者の親子は医療関係者なのだから。
いやいや、そもそも彼らの理念などから考えても、第1話の2人の対象者も副総理と資産運用会社CEOで “ただのお金持ち” だったわけで。
むしろ一部のお金持ちの間では「金を積めば命を助けてくれる闇医者チーム」として存在が噂になっている設定にしておけば、今回だって坊城が「お前たちが来るのを待ってたぞ、いくらでもやるから早く助けろ!」と坊城の悪人ぶりを更に強調もできたと思うが。
やはり、「闇医療チーム」という設定を、どの範囲の人たちにまで “闇” として描くのかの統一性が担保されていないから、面白味に欠けるのだと思う。
まあ、とにもかくにも、「警察もと大病院が “仮面ドクターズ” の存在を認めている世界」を強調すればするほど、「闇医療チーム」という設定が意味のないものになっていくとは思う。
あとがき
TBSは、前期の『クロサギ(2022)』でも、詐欺師集団と警察の “縦軸” を盛り込みましたが曖昧に描いた結果、スッキリしなかったです。
どうやら、何とかして “縦軸” で視聴者を引っ張りたいけど、うまく活用しきれていないようですね。
だったら、やめて、普通に、存在が噂されている医療チームの活躍を描く医療ドラマで良かったような…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17565/
【これまでの感想】
第1話
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