Get Ready! (第1話/初回25分拡大・2023/1/8) 感想

TBSテレビ系・日曜劇場『Get Ready!』
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第1話/初回25分拡大『前代未聞の闇医者チーム登場』の感想。
「エース」こと波佐間(妻夫木聡)は、パティスリーのパティシエとして働くが、裏の顔は法外な報酬と引き換えに違法な手術をする闇医者チームの執刀医。ある日、副総理の羽場(伊武雅刀)が脳神経を断裂して大学病院に運ばれた。一命は取り留めたものの院長の剣持(鹿賀丈史)から「もう自身の足で歩くことはできない」と告げられ憤慨する羽場の前に、エースの手術の条件を提示する交渉人・ジョーカー(藤原竜也)が現れる。交渉が成立するかと思った矢先、そこにエースが現れ、羽場に「お前に生き延びる価値はあるのか」と問いかける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:飯野陽子(過去作/救命病棟24時・第1,5シリーズ、ヤンキー母校に帰る) 第1話
山田能龍(過去作/新宿セブン、八月は夜のバッティングセンターで。) 第1話
川邊優子(過去作/ハケンの品格 第2シリーズ、金田一少年の事件簿2022)
金沢知樹(過去作/半沢直樹2022、新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~)
渡辺啓(過去作/BAD BOYS J、警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~)
演出:堤幸彦(過去作/TRICKシリーズ、ヤメゴク、視覚探偵 日暮旅人) 第1話
武藤淳(過去作/クロサギ2006、花より男子2、TOKYO MER)
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、最愛、石子と羽男)
音楽:ノグチリョウ(過去作/逃亡料理人ワタナベ、ケイ×ヤク-あぶない相棒-)
パティシエ監修:辻口博啓(過去作/ショコラ・ドキュメンタリー映画「LE CHOCOLAT DE H」)
※敬称略
期待していただけに「完全に拍子抜け」
オブラートに包むのも面倒だからハッキリ書くが、期待していただけに「完全に拍子抜け」である。
というのも、私にとっては大変珍しいこととして、今作の番宣はほぼ全部見たのだ。
そして、オリジナル脚本を大々的に謳(うた)っていること…
脚本が個性が異なる複数名担当なこと…
メイン監督演出がクセとアクの強い堤幸彦氏であること…
手掛けるスィーツが美しくて美術館があるほどの辻口博啓氏がパティシェ監修なこと…
日向亘さんが自身が得意なルービックキューブを天才ハッカー “白瀬剛人” 役のキャラ設定に生かしたいと提言したことなどなど…
オリジナル脚本の割に、随所に「ブラック・ジャック」が…
番宣から、嫌な予感はしていたのだ。
オリジナル脚本だ、ダークな医療ドラマだと表明していたが、「エース」こと波佐間(妻夫木聡)のキャラクター意匠(造形意図)、特にヘアスタイルは手塚治虫先生の漫画『ブラック・ジャック』の主人公 “ブラック・ジャック” のままだし…
ブラック・ジャックの本名は間 黒男(はざま くろお)で、今作の主人公の苗字と酷似。
今作の主要登場人物4人の通称が、トランプにちなんでいるのも一緒。
その上、メイン監督の堤氏は、本木雅弘さん主演の単発スペシャルドラマ『ブラック・ジャック』(TBS/2000,2001)の演出担当でもある。
更に、妻夫木聡さんは、金曜ドラマ『ブラックジャックによろしく』(TBS/2003,2004)にも出演してるし。
もうやめておこう、要するに偶然なんてレベルではないわけで(失笑)
というわけで(どういうわけ?)
手術シーンの初期の『仮面ライダー』を彷彿させるチープ感や、『必殺仕事人』とは比較にならなスッキリ感のない中途半端なダークな世界観、当然だが名作『ブラック・ジャック』の足元にも及ばないキャラ設定やストーリーの雑さ、そして何よりも「既視感なんて糞食らえ!」と開き直ったような独創性の欠如は、大目に見ることにした。
無駄と意味不明な「6つ」を丁寧にご紹介
「大目に見る」とはいえ、「25分も拡大」しているせいもあって、とにかく “無駄” と “意味不明” が多過ぎる。
第一に、いくら第1話だとしても「説明過多」が半端なさすぎ!
初期設定の紹介は必要不可欠だとは思うが、くどくて、回りくどいから、分かりにくい。
で、分かったところで大したことないことばかりで、中盤で飽きてしまった。
二つ目は、「千代田医科大学附属病院」のくだりが邪魔すぎ!
まだ、大学病院と、闇の医療チーム「仮面ドクターズ」が裏でつながってるとかで、連携しているならともかく、第1話を見た限りでは、若き天才ハッカー「スペード」こと白瀬(日向亘)がターゲットを見つければ病院なんて1つの限定する必要ないわけで。
限定する必要があるなら、最初から裏からサポートしているとか描いた方がスッキリしただろうに。
三つ目は、「パティシェ」のくだりの不要さ。
期待の若手俳優・當真あみさんが、洋菓子店「カーサブランシェ」に足しげく通う女子高生「嶋崎水面」で出演しているから見てはいるものの、主人公の “裏設定” としての面白みや、全体のダークな雰囲気とメリハリをつけるために必要なのは理解しても、明らかに無駄の極致。
いやいや、これなら、最低限として交渉人「ジョーカー」、若き天才ハッカー「スペード」、凄腕オペナース「クイーン」の4人分の表と裏の顔を第1話で紹介しないと、初期設定の説明にはならないと思うが。
四つ目は、1話完結を謳(うた)いながらも、1話に複数案件を盛り込んだことで内容が薄まったこと。
前半の副総理の羽場(伊武雅刀)のネタは「仮面ドクターズ」の紹介パートとしては今一つピンと来なかったし。
後半の資産運用会社・CEOの渋谷(池松壮亮)のくだりは、ネタとしては悪くないが、とにかく無駄な描写が多過ぎて中身がスッカスカ。
まあ、これは放送時間拡大が最大の失敗の原因だから、どうしようもないともいえるが。
そして、五つ目は私にとっては致命的に感じた「仮面ドクターズの行動原理のロジック」の不明瞭さ。
簡単にいうと、なぜ仮面ドクターズは “交渉係” がわざわざ患者のところに出向いて営業しているのに、“執刀医” の気分次第で結果が左右するのか分からないし、患者の「生きる価値があると思うか?」の答え次第でも結果が変わるみたいな曖昧な交渉と実行を繰り返すのかが理解しにくいのだ。
これ、シンプルに、お金次第でどんな病気も治しちゃう闇の医療チーム「仮面ドクターズ」がいて、悪事で金儲けした奴らが「いくらでも支払うから命を助けてくれ~」と治療を懇願しにやって来るけど、「助けたいのちを有効に使って生きないと体内に埋め込んだ爆弾を爆発させるぞ!」と脅して、裏社会から世直ししていくような、単純な「令和の義賊の話」で良かったのでは?
そして、敢えての六つ目は、警察のくだりがほぼ意味がないこと。
これ、前段で描いたような単純な「令和の義賊の話」なら、警察が動くのは理解できるが、現状で警察を描いたところで、視聴者のほうがまだまだ「仮面ドクターズ」を理解しにくいのだから、描いたって意味がないと思う。
まあ、この件については前期のTBSドラマ『クロサギ(2022)』の警察パートと同じだが(苦笑)
ゲストが演じるキャラクターを掘り下げる以前にやるべきこと
とにかく、もう一度書くが期待していただけに「完全に拍子抜け」である。
ハマった人はいると思うが、私の心には刺さらなかった… これが正直な感想。
「おまえに生き延びる価値はあるのか?」と “生きることの意味や価値” を視聴者に問う “ドラマ” を目指しているのかもしれないが、それならまずは主人公の “人間性” をもっと掘り下げて描くべき。
ゲストが演じるキャラクターを掘り下げる以前にやるべきことをやっていないのは、“連ドラ” として “ツカミ” に失敗したと同義だと思う。
一時も早く、主人公、そして「仮面ドクターズ」そのものを丁寧に掘り下げて描いてほしい。
あとがき
荒唐無稽な医療ドラマという意味で、昨年1月期に放送されたドラマ『逃亡医F』(日テレ/2022)を思い出してしまいました。
あっちは、日テレの「土曜ドラマ」枠なので “枠らしい” ともいえますが、今作ってTBSドラマの看板枠「日曜劇場」ですよね。
もう少し、頑張ってほしかったです。
なんとなく予想通りに、脚本家が5人もいるので「船頭多くして船山に上る」になりそう…
※ちょっとの間、コメント欄は封鎖します。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17543/
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