一橋桐子の犯罪日記〔全5回〕 (第5話/最終回・2022/11/5) 感想

NHK・土曜ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』
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第5話/最終回〔全5回〕『許されぬ罪の重さぞ』の感想。
なお、原作となった… 小説・原田ひ香「一橋桐子(76)の犯罪日記」は、最終回を鑑賞後に既読した。
一橋桐子(松坂慶子)の犯罪計画は、毎回あらぬ方向に進み、ことごとく失敗。見かねた闇金業の寺田(宇崎竜童)が、最後の犯罪として、なんと「殺人」計画を提案する。実は寺田は癌に侵されており、どうせ死ぬなら悪人らしく死にたい、だから俺を殺してくれというのだ。殺人は嫌!と拒否した桐子だが、寺田の気持ちや、応援してくれる仲間たちとの日々を振り返り、気持ちが揺らぐ…。桐子が犯罪計画の果てに見た景色とは…!?
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・原田ひ香「一橋桐子(76)の犯罪日記」
脚本:ふじきみつ彦(過去作/バイプレーヤーズ1,2、きょうの猫村さん、阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし。)
演出:笠浦友愛(過去作/炎上弁護人、ミス・ジコチョー、ノースライト) 第1,2,最終話
黛りんたろう(過去作/鼠、江戸を疾る、ぬけまいる、半径5メートル) 第3話
加地源一郎(過去作/) 第4話
音楽:長谷川智樹(過去作/華の別れ、成田離婚)
※敬称略
この桐子の台詞が、今作のキーワードだったかも…
桐子「元気になったら 殺してあげる」
この “ムショ活” 中の桐子(松坂慶子)が、「殺人計画」に失敗した闇金業の寺田(宇崎竜童)に言った≪常に良くも悪くもポジティブ思考≫な台詞が、今作のキーワードだったような。
結局、主人公の自己肯定感の低さや常識外れなところに共感できれば、今作は楽しめたと思う。
従って、「犯罪を助長するようなドラマをNHKが放送するのはけしからん!」とか「妻が夫に高カロリー、高脂肪、高塩分の食事ばかりを食べさせてサイレントキラーで殺害を美化するのか!?」なんて気持ちは、これっぽちもない(笑)
そう、これはフィクション、創作物なのだから。
捨てられたと思い込む桐子に、救いの手が差し伸べられる…
だらだらと感想を書くような作品ではないが、最終回まで見た人しか伝わらないことを少し書いてみる。
やはり、今作で描かれたのは前回の感想で書いたように「袖振り合うも多生の縁」なのだ(分からない方は第4話の感想を参照ください)。
「捨てる神あれば拾う神あり」の諺もあるが、今作が興味深いのは、主人公は唯一無二の親友・知子(由紀さおり)に先立たれ “捨てられた” と思い込んで天涯孤独を恨み悔やんで “ムショ活” に励むわけだが、実は主人公は “捨てられていない” のだ。
偶然(私は “多生の縁” だから必然だと思うが)に出会った人たちが次々と救いの手を差し伸べるからだ。
だから、この世の中に増えている “孤独” を感じる人たちにとって、日常生活で何気で出会う人たち、道ですれ違う人たちも、もしかすると “多生の縁” だと思うと少しは気が楽になるかも知れないし、私も “多生の縁” を大切にしようと思う。
シリアスとコミカルの絶妙なさじ加減
また、今作が興味深い点に、シリアスとコミカルの絶妙なさじ加減がある。
それが可能になったのは偏に、主人公・桐子の人物設定の巧みさと、演者の松坂慶子さんが放つオーラにあると思う。
桐子が置かれた状況は、前述の通りに天涯孤独でお金もなくて刑務所のお世話になるしかないくらいに切羽詰まってシリアスだ。
周囲には「ムショ活、頑張れ!」の応援団まで登場するから、このまま高齢者の犯罪ドラマに進むかと思いきや、桐子の信じ難いほどのお人好しで世間知らずという “災い” が “幸い” して、ムショ活はことごとく失敗する。
そして、この「“災い” が “幸い” して…」は、多生の縁で桐子と出会うことになった先の寺田を筆頭に…
憧れの三笠(草刈正雄)、結婚詐欺のゆかり(木村多江)、犯罪の先生役の久遠(岩田剛典)、訳あり女子高生の雪菜(長澤樹)や雪菜の父で刑事・榎本(神尾佑)にまで波及して…
最終的には主人公本人が最も “災い” が “幸い” してムショ活をやめて、幸せな終の棲家と仕事を手に入れる展開は実に前向きで面白い。
やはり、天涯孤独と諦めずに、周囲の人たちと係わりを持つことこそが、“孤独に打ち勝つ有効な策” であり、積極的に世の中に出て行くことが “したたかに、しなやかに生き残る術(すべ)” だと再認識させられた。
あとがき
ドラマが面白かったので、今朝方に原作本をkindleで買って読んでみました。
やはり、原作はドラマ以上に初期設定、展開、結末が丁寧に作り込まれている印象でした。
この実写ドラマ版は原作にある “ちょっとピリッとしたエッセンス” を薄めて、ファンタジー要素を強めにしたという感じでしょうか。
まあ、そこが現実離れしていると評価されるかもしれませんが、その意味ならもう少し孤独な老人に対する公的サービスがあることも描くべきで、そこまでやっちゃうとリアルになり過ぎるので、これくらいの味付けで良かったと思います。
あまり世間で話題にならなかった今作ですが、これから老後を迎える人たちに「自分が天涯孤独になったらどうする?」と一石を投じた作品だと思います。
「老いることは悪いことばかりでない」と思わせてくれた秀作だと思います。
秋桜が印象的なラストシーンでしたね。
よろしかったら、下記の投稿でリアル秋桜を楽しんでくださいませ。
千葉県佐倉市、約50万本のコスモスが咲き誇る「佐倉コスモスフェスタ」に行って来た 10月8日~23日まで
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