ザ・トラベルナース (第2話・2022/10/27) 感想

テレビ朝日系・木曜ドラマ『ザ・トラベルナース』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram、YouTube
第2話『資産家狙い!?嘘つきナースの企み!』の感想。
外食中の歩(岡田将生)が、脳梗塞で倒れた隣席の女性を勤務先へ救急搬送。その女性が病院の大スポンサーでもある資産家の日向子(キムラ緑子)だと分かる。静(中井貴一)は、一命を取り留めた日向子に食事のトレーニングを始めると言い、誤嚥(ごえん)を心配する歩と口論に。すると、着任したばかりのスーパー外科医・神野(六角精児)が、胃に直接栄養を送る胃ろうのオペを自ら行うと宣言する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:中園ミホ(過去作/ドクターX 1,2,3,4,6,7)
演出:金井紘(過去作/ラジエーションハウス1,2、信長協奏曲) 第1,2話
片山修(過去作/相棒シリーズ、家政夫のミタゾノ4、ドクターX 7)
山田勇人(過去作/ドクターX 3,6,7)
音楽:沢田完(過去作/ドクターX 1,2,3,4,5,6,7)
主題歌:DISH//「五明後日」
ナレーター:遠藤憲一
エグゼクティブ・プロデューサー:内山聖子(過去作/ドクターX大門未知子6,7、妖シェアハウス1,2、七人の秘書)
※敬称略
最初のCMまでのフラグの畳み掛けがお見事
私は “ドラマ” の本質的な面白さのための必修科目だとは思っていないが…
やるなら徹底的にやってきれいに魅せるくらいにやるべきだと思っているのが「フラグと回収」だ。
まず、冒頭の手打ちそば屋(ロケ地:松葉茶屋 調布店)で那須田歩(岡田将生)が食べているメニューを紹介するカットとして店内のお品書きが映るが、その時にちらりと一緒に移り込むのが「巷で噂の カレー丼 焼き鳥セット 700円」の上の「広島産 カキフライ 500円」。
その後も、新たに着任したスーパー外科医・神野(六角精児)の電話から “白トリュフ” を車椅子の掃除をしながら聞いている九鬼静(中井貴一)。
そのまま、脳梗塞で入院している資産家・二階堂日向子(キムラ緑子)の「孤独のグルメ」の本を見つけ、リハビリ用のスポンジハンドル付きのスプーンを視聴者に見せ。
更に外科部長代理・古谷(吉田ウーロン太)の「患者様と うまい寿司 食いに行くんだよ あの野郎」の愚痴で神野がグルメのためなら患者もオペも見捨てることを描き。
更に、今月末で閉店する赤羽のうな丼、紙面を見せない書字の文面などの “ネタフリ” まで、最初のCMまで一気に約14分で畳み掛けた。
あとは、ご存じの通り、順序良くすべて鮮やかに回収した。
更に「カリカリに焼いたベーコンと目玉焼き」の泣きの芝居と嘘で担当医・郡司真都(菜々緒)を味方につけ、「白トリュフのパイ」で神野を欺く。
正に、天乃院長(松平健)と日向子の台詞通りだ。
天乃「スーパードクターを出し抜いて
思いどおりに患者を治してしまうなんて」
日向子「この嘘つき!」
「またお越しくださいね」ではなく、「いってらっしゃいませ」
「看護」とは、“世話をする” の意味の「看(み)る」と、“かばいまもる” の意味の「護(まも)る」の漢字から成り立っている。
従って、九鬼がやっていたのは、患者の意思を無視した医師のやり方から患者を “かばいまもり”、自分で食べることができるように “世話をした” わけで、文字通り「看護」である。
また、私が “いいな” と思ったのが、最後に九鬼が退院して行く日向子を送り出す時の台詞だ。
九鬼「いってらっしゃいませ」
私の主な職場が「ホテル(Hotel)」で、看護師の妻の職場は「病院(Hospital)」だが、どちらの語源も、「旅人・客・宿主」を意味する [hospes]。
で、これから派生した単語に「手厚いもてなし」を意味する [hospitalis] があり、更に派生した [hospitality] は、ポティス(力・権力・所有)と、ホスティス(他人・外人・敵)という言葉が合体してできた言葉で、“客人を保護する” という意味なる。
従って、ホテルは客人を、病院は患者を送り出す時は、「またお越しくださいね」ではなく、「いってらっしゃいませ」が、本来の意味合いに合致しているのだ。
意外と知らない人が多いから、ちょっとだけ書いてみた。
もちろん、私の仕事としては「またご指名くださいね」なのは当然だが(苦笑)
「看護師コンビのドラマ」としては、ほぼ抜け目がない
話を今作に戻そう。
今作の主演は、岡田将生さんの単独ではあるが、ドラマとしては岡田将生&中井貴一、那須田歩&九鬼静の “異色で最強” の “令和の男性ナイチンゲールコンビ” が活躍するカタチになっている。
そのため、ちゃんと那須田の学習、成長する姿も描かれている。
従って、「一粒で二度おいしいドラマ」になっているのは、流石に抜け目のないスタッフ陣だ。
とにかく、徹底的に那須田歩&九鬼静の視点を通して病院全体を描きつつ、個々の看護理念に基づいた言動を丁寧に描きつつ、患者の心情も描いている。
「看護師コンビのドラマ」としては、ほぼ抜け目がない、流石だ。
褒めたいところは幾つもあるが、特に挙げるとすれば、やはり「カリカリベーコン」のくだりだろう。
お涙頂戴のシーンに作って視聴者まで見事に欺いてしまったのだから。
そして、患者にまで「嘘つき!」と気持ちよく言わせて退院させる華麗な看護、見事である。
あとがき
今期で10周年を迎えるテレ東の深夜の食テロドラマの草分け『孤独のグルメ』を、テレ朝が堂々リスペクトしちゃうのも良かったです。
とにかく、計算され尽くした脚本、視聴者を気持ちよいほどにだまして感動させる演出はお見事です。
更に、キムラ緑子さんの台詞無き芝居に、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』(NHK/2022)に続いてノックアウトされちゃいました。
※次回の放送は「21:00 - 22:00(通常 21:54)」の拡大スペシャルです
コロナ禍で、未だ仕事が激減中です。
Amazonと楽天市場からお買い物する際は、当ブログ内のバナーなどのリンク経由で買ってくださると、私にポイントが貯まります。
また、ブログを書き続けるモチベーションアップにもなります。
引き続き、皆様のご協力をお願い申しあげます。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/17361/
【これまでの感想】
第1話
- 関連記事
-
- クロサギ(2022) (第2話・2022/10/28) 感想 (2022/10/29)
- 連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第20回・2022/10/28) 感想 (2022/10/28)
- ザ・トラベルナース (第2話・2022/10/27) 感想 (2022/10/28)
- 連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第19回・2022/10/27) 感想 (2022/10/27)
- ファーストペンギン! (第4話・2022/10/26) 感想 (2022/10/27)