拾われた男 LOST MAN FOUND[再/地上波初] (第3話・2022/10/25) 感想

NHK総合・ドラマ10『拾われた男 LOST MAN FOUND』
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第3話〔全10回〕[再/地上波初]の感想。
なお、原作となった… 俳優・松尾諭氏によるエッセイ『拾われた男』は未読で、NHK BSプレミアムやDisney+での放送・配信も未鑑賞。
諭(仲野太賀)は、山村(薬師丸ひろ子)の指令で事務所の看板女優・井川遥(井川遥)の運転手となる。“癒やし系”として世間に大人気の彼女は、実はプロレスを愛する“白熱系”だった。イメージとのギャップに悩みながら芝居をする井川を元気づけようと、諭はバイト先の同僚・杉浦(田辺桃子)が選んだ音楽を車中に流す。杉浦に好意を持たれているとはつゆ知らず、告白の失敗を恐れる諭は、彼女の気持ちを読めずに傷つけてしまう
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:俳優・松尾諭氏によるエッセイ『拾われた男』
脚本:足立紳(過去作/佐知とマユ、いつかティファニーで朝食を、六畳間のピアノマン)
演出:井上剛(過去作/朝ドラ「あまちゃん」チーフ演出、大河「いだてん」チーフ演出)
音楽/音楽監督:岩崎太整(過去作/スニッファー嗅覚捜査官、dele、全裸監督1,2)
制作・著作:ウォルト・ディズニー・ジャパン/NHKエンタープライズ)
※敬称略
フラメンコは杉浦の地団駄を踏む音が聞こえるような臨場感
井川遥さんがアイアンクローって(笑)
昨年放送された深夜ドラマ『スナック キズツキ』(テレ東/2021)の第6話で、「スナック キズツキ」のママ・トウコ(原田知世)が、毎日ホームヘルパーの仕事でストレスが溜まっている客・裕子さん(堀内敬子)に “地団駄タップ” を勧めて、裕子さんが再び頑張って働く… という展開を思い出してしまった。
正確には、フラメンコの場合は “タップ” ではなく、サパテアード(Zapateado:足技)だが…
フラメンコショーと男女のバトルをカットバックしつつ、諭(仲野太賀)の言動にバイト先の同僚・杉浦(田辺桃子)がどんどんヴォルテージを上げてキレるシークエンスは、正に杉浦の地団駄を踏む音が聞こえるような臨場感だった。
そういえば、あのスペインレストランは東京・恵比寿にある「サラ・アンダルーサ(Sala ANDALUZA)」(公式サイト)で、ドラマ『ハケンの品格2020』(日テレ/2020)で大前春子(篠原涼子)が退勤後に踊っていた「カンタンテ」のロケ地でもある。
まっ、他のドラマの話はこれくらいにして…
完全に予想を裏切る展開で次々と変化するから本当に面白い
やはり今作は劇中に登場した “癒しの斜め45度” ではないが、「想像の斜め上を行く」という言葉のように完全に予想を裏切る展開で次々と変化するから本当に面白くて、一瞬たりとも目が離せない。
特に、アメリカに旅立った諭の兄・武志(草彅剛)が外国人相手に時代劇の撮影って???
恐らく、暫く登場していなかった武志もぼちぼち絡んでくるのだろう…
濃厚過ぎる脚本と、計算され尽くした明瞭な演出
それにしても、濃厚過ぎる脚本と、計算され尽くした明瞭な演出の組み合わせが見事だ。
普通なら、主人公・諭の出世エピソードを主軸にして進行するために脇役を配置して動かすのに、今作の脚本は脇役という固定概念から逸脱しており、ほんの一瞬しか映らないような登場人物にもスポットライトを当てて魅せる。
だから、演出も、ありがちなドラマの主人公を中心にして自力でどんどん進んで行っちゃうことはなく、現実の社会のように主人公を含めて隣の人の言動によって波紋が広がるように変化が伝搬していく)ように作っている。
もちろん、俳優陣も素晴らしくて、特に女性俳優たちが演じるキャラたちが、これでもか言わんばかりに個性をさらけ出すのが面白い。
いやいや、決して松尾諭さんに仲野太賀さんが外見的に似ていないのに、不思議と本人と何度も重なって見えるのから、これもまた面白い。
月並みな表現になってしまうが、脚本、演出、俳優の三位一体が成せる秀逸な “ドラマ” だと言えると思う。
ギリシャ神話に登場する「荒武者ピラス」のこと…
最後に、既にあちこちで論じられていると思うが…
劇中の登場した「荒武者ピラス」は “ピーラス” のこと。
ピーラスの父は「アキレス腱」の名で有名な大英雄アキレウス。
アキレウスは大英雄ではあるが、トロイア戦争で踵(かかと)を英雄パリス(アポローンの説もある)に射られて死にいたった。
このことから、踵からふくらはぎの腱を英雄でも死にいたる “弱点” として「アキレス腱」と呼ぶようになったのだが。
そのアキレウスの息子が “ピーラス=ピラス” で、父を殺した英雄を妻の前で斬殺して父の敵を討つ。
そして、シェークスピアの悲劇『ハムレット』の中で、デンマーク王国の後継者であるハムレットが、劇中劇でトロイア戦争を描く際に “ピーラス” 役に言うのが…
「荒武者ピラス 心も黒く 鎧も黒く
木馬の腹にひそみいる闇夜の如きその姿
見よ 頭から爪先まで くまなく塗りたる 紅の色…」
これから父の敵を討とうという “ピーラス” をこんな感じで演じて欲しい… という感じなのだ。
従って、演技の基礎中の基礎を比喩している面もあるし、何者かを演じ(に化け)て自分を隠すという面のダブルミーニングになっているように思う…
あとがき
既に鑑賞済みの読者様たちのご協力で「先が見えない連ドラ」を満喫しております(謝)
制作に名を連ねている「ウォルト・ディズニー・ジャパン」がどこまで絡んでいるのか分かりませんが、このスタッフで “朝ドラ” を作って欲しいです。
それでも、足立紳さん2023年後期のNHK朝ドラ『ブギウギ』の脚本担当なので、ちょっと期待が高まります。
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