拾われた男 LOST MAN FOUND[再/地上波初] (第2話・2022/10/18) 感想

NHK総合・ドラマ10『拾われた男 LOST MAN FOUND』
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第2話〔全10回〕[再/地上波初]の感想。
なお、原作となった… 俳優・松尾諭氏によるエッセイ『拾われた男』は未読で、NHK BSプレミアムやDisney+での放送・配信も未鑑賞。
レンタルビデオ店でバイトを始めた諭(仲野太賀)は、同僚の田畑(松本穂香)に恋をする。田畑の好きなホラー映画を話題にしながら距離を詰め、告白に至るが答えは保留。一方俳優業では、先輩俳優の林(水澤紳吾)の伝手で戦争映画に出演することに。敗走する兵士役として初めて映画に映った自分を感慨深く見るが、ワンカットも映らず意気消沈する林の姿に俳優の厳しさも知る。そして、諭は、田畑のところへ返事を聞きに行くが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:俳優・松尾諭氏によるエッセイ『拾われた男』
脚本:足立紳(過去作/佐知とマユ、いつかティファニーで朝食を、六畳間のピアノマン)
演出:井上剛(過去作/朝ドラ「あまちゃん」チーフ演出、大河「いだてん」チーフ演出)
音楽/音楽監督:岩崎太整(過去作/スニッファー嗅覚捜査官、dele、全裸監督1,2)
制作・著作:ウォルト・ディズニー・ジャパン/NHKエンタープライズ)
※敬称略
演出で注目したのは、冒頭のタクシーの中という設定
内容については既にあちこちで語られているだろうし、変に触れるとネタバレのコメントが届くので敢えて深くは触れない…(泣)
だから、演出について書く。
まず、注目したのは冒頭の部分。
最初のシーンを「撮休中の停車しているタクシーの中」に設定したところに、脚本家や演出家が視聴者を飽きさせないようにしようとする心意気を感じた。
なぜ、心意気を感じるのかって?
だって、直後の恋バナのエピソードが「おんぶ」、「自転車の2ケツ」と ≪乗り物ネタ≫ だから、「タクシーの運転席と客席」でちゃんとプチ伏線と回収になってるから。
ドラマのファーストシーンは、視聴者を引き付ける大事なシーン。
だから、さり気ない “フック(良い意味での引っ掛かり)” があると、後半での回想シーンでの “兄弟での自転車チェイス” や、終盤の “売れっ子女優の運転手” にまでつながっていることも分かって、もう一度見ると余計にニヤッとしてしまう。
もちろん、この ≪乗り物ネタ≫ が、諭(仲野太賀)と同僚・田畑(松本穂香)の恋? の始まりである “京王線の駒場東大前駅の改札口” や、実家へ帰る “阪神電車” や、戦争映画ロケシーンでメガホンを持った助監督(山中崇)が乗っていた “水陸両用車ARGO” などにもリンクしていることは言うまでもないが。
人生はクローズアップで見れば悲劇だが…
ちょっと面白いと思ったのが、諭が憧れていた古橋さん(廣岡実夢)の彼氏の “乗り物” が普通の原チャリじゃなくて、黄色ナンバーのスクーターってのが、新車のチャリで喜んでる主人公には歯が立たない感じで泣けてきた(分かる人は分かるはず…)
また、この直後の時間経過後のレンタルビデオ店内のシーンで、 恋の始まりを予感させる諭と田畑のやり取りが、「コメディー・コーナー」で行われたのが、如何にも喜劇王のチャールズ・チャップリンの次の名言を表しているような…
人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇。
※頭木弘樹 訳「The Guardian」London,Dec.28,1977より)
今回を見て、思い出した音楽や映画がある
さて、少しだけ内容に触れてみる。
今回を見て、思い出した音楽や映画がある。
一つ目は、フランク・シナトラが主演したミュージカル映画『夜の豹』(米/1957)年、アメリカ)の劇中歌で有名になったが、オリジナルは1937年のミュージカル舞台『ベイブス・イン・アームス』で発表された「my funny valentine」(マイ・ファニー・ヴァレンタイン)。
元々は、ヒロインが主人公のダメ男に向けて歌う歌で、正に田畑が諭に歌っているような感じ。
もう一つは、劇中にも登場したフランシス・フォード・コッポラ監督の戦争映画の金字塔『地獄の黙示録』(米/1979)。戦時下の狂気を徹底的にリアルに描いた名作だが、生きるか死ぬかの演劇界を象徴する単語として「地獄の黙示録」を思い出した。
他にも、諭の実家に漂うコメディとホラーの要素は、黒沢清監督のホラー映画『スウィートホーム』にも通じるし、父親との確執や父親を乗り越えようとする息子の部分では、ギャング映画の名作『ゴッドファーザー』(1972)に通じるものもあると思う。
個々の部分がどのように連結していくのかは分からない…
まあ、わざわざ他の作品に例える必要はないが…
ただ、このように様々な要素が盛り込まれており、まだまだ個々の部分がどのように連結、連動しているのかは分からない。
例えば、秀逸だと思った幼少期の兄弟の自転車での追いかけっこから、アメリカにいる兄・武志(草彅剛)の話に切り替わったところは気になるが、全体の流れとしては面白いから、今後に期待しようと思う。
あとがき
劇中に登場したスプラッター映画『食人族』は私も大好きで、何度も劇場で見たし、今もVHSで持ってますよ。
自転車で追いかける兄の背中と、俳優の先輩・林(水澤紳吾)の背中を重ねて、自分に気合を入れるシーンは良かったです。
最後に、ポスターだけだと思っていた井川遥さんが絡んできたのに驚きました。
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