連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第2週/土曜日版・2022/10/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『舞いあがれ!』
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第2週『ばらもん凧(だこ)、あがれ!』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
母・めぐみ(永作博美)が帰阪したため祖母・祥子(高畑淳子)と長崎・五島で暮らすこととなった舞(浅田芭路)。何をするにも臆病な舞に、祥子はなんでも自分でできるように導いていく。
島では、祥子が作ったジャムも扱う土産物店の店員さくら(長濱ねる)や、祥子が操縦する船を作った船大工の木戸(哀川翔)、めぐみの同級生で役場に勤める浦信吾(鈴木浩介)、その息子・一太(野原壱太)と仲良くなっていくが、失敗したり、熱を出すことを気にしながらの生活が続く。
そんなある日、信吾の妻の莉子(大橋梓)が、舞以外に誰もいない場で産気づき、舞は急を知らせるために全速力で走る。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:桑原亮子(過去作/心の傷を癒すということ) 第1,2週
嶋田うれ葉(過去作/朝ドラ「エール」)
佃良太(過去作/星とレモンの部屋)
演出:田中正(過去作/ウェルかめ、ひよっこ、なつぞら) 第1週
野田雄介(過去作/スカーレット、マッサン、六畳間のピアノマン) 第2週
小谷高義(過去作/スカーレット、おちょやん)
松木健祐(過去作/ひよっこ、いだてん、晴天を衝け)
音楽:富貴晴美(過去作/花嫁のれんシリーズ、西郷どん、それでも恋する)
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時(過去作/おちょやん)
管原浩(過去作/これは経費で落ちません!、いいね光源氏くんシリーズ)
※敬称略
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
本編の感想では書かなったコアな深掘りもしてみよう
あがだ、お元気と? おいが管理人の “みっきー” です!
(皆さん、お元気ですか? 私が管理人の “みっきー” です!)
今週は、遂に今作では “初” の「こうした方が良かったのでは?」と称賛以外を投稿しました。
ということで、「いいね」ばかりで満足しない “骨太の朝ドラ好き” が当ブログに集結しつつあると思っております。
ではでは、早速、今週を振り返りながら、本編の感想では書かなったコアな深掘りもしてみようと思います…
今作で初めて "騒動" について考えてみる
さて、私は今作の感想で、敢えて意図的に使ってこなかった単語を今回で “初” 書いてみる。
それは「騒動」という単語。
「騒動」は、前作では「騒動至上主義」で何度も登場した “悪しきイメージ” がついて(つけたのは私か!?)しまったが、そもそもの “騒動” は主人公が前進するために必要不可欠な “試練” であり、“葛藤” や “試行錯誤” を描くための重要な脚本や演出のパーツである。
だから、「騒動」を「騒動=多人数が騒ぎたてて秩序が乱れること、揉め事」で終わらせずに、みんなの大好物? である “回収” に結び付けられるかどうかが、脚本家や演出家の腕の見せ所であり…
“ドラマ” として “伏線と回収” がしっかり盛り込まれた上で “物語” が前進するかどうかが、作品の良しあしを左右する。
まず、そこに注目して「土曜日版」を見ると、私には明らかに “脚本家や演出家の腕の見せ所” を視聴者に自信たっぷりに提示している編集になっていたと感じた。
それは、次の分析によるのだが…
舞の騒動の度に祥子の名言があり、生きた授業になっている
「土曜日版」の序盤では、下記の “騒動” が、まるで箇条書きのように描かれ、その騒動の度に祖母・祥子(高畑淳子)が舞(浅田芭路)に「相田みつをの名言や格言」のような名台詞を繰り出しながら、“生きた授業” をやっていったのが分かる。
●食器洗いの “騒動” では…
祥子「こん島では 自分のことは自分でやる」
朝寝坊の “騒動” では…
祥子「自分のことは自分でって言ったばい」
●また発熱しまって往診に来てもらった “騒動” では…
祥子「できんなら できることば探せば よかとよ」
●ビワのジャムを瓶に入れる際にこぼしてしまった “騒動” では…
祥子「失敗ばすっとは悪かこっちゃなか」
主人公に降り掛かった “騒動” に、祖母が “助言” を与え、祖母の言葉を信じて次からの “騒動” には次々と上手く “対応” し、その舞の姿が、娘のめぐみ(永作博美)と仲たがいをしてた祖母にフィードバック。
そして、この「騒動(失敗) → 助言 → 対応(変化)」の繰り返しによって、舞自身の成長を描きつつ、同時並行で祥子にしかできない役割と、めぐみの母としての変化、めぐみと祥子の母子関係の変化まで盛り込んだ。
今週は、見事な「伏線と回収」で成り立っていた
ここで注目したいのは、これら “4つの騒動と助言” を受けた舞に、「伏線を回収するつもりですよ」と次のように宣言させていることだ。
舞「おばあちゃんとか お母ちゃんみたいに
何でもできるようになりたい」
そして、見ても分かるように、まるで「生きた授業」のように、教える側も、教わる側も、生き生きと過ごしながら、祖母、母、孫の “役割と可能性” を最大限に引き出して、“回収” したのだ。
私は、この一連の描写は、「学びの先にこそある… 生きる力」を描こうとしているように見えた。
日々の小さな “学び” の積み重ねが “生きる力” になっていく。
このことは、上記の3人だけでなく、一太(野原壱太)たちにも共通して描かれていることは言うまでもないが…
週5放送の「本編」の "スゴさ" が良く分かる
先週も同じだったが、「土曜日版」を見ると、週5放送の「本編」の “スゴさ” が良く分かる。
きっと、「本編」では気づかなかった読者様でも「土曜日版」を見れば、第2週の構成が、すべて “伏線と回収” の丁寧な積み重ねによって組み立てられていたことが、改めて認識できたと思う。
いや、「本編」で “回収” を強調しないのが、粋で洒落ていて垢抜けた感じのいい作品なのだ。
「伏線だ、回収だ」と寄って集って騒ぐような作品は、安っぽくて野暮ったくて素人っぽいだけなのである。
削除した部分が分からないくらいの、良い編集
それにしても、削除した部分が分からないくらいに良く編集されている。
もちろん、削除されているのは、大きく以下の2つの部分だ。
●映像的な効果を利用した抒情的な描写の部分
●舞と島の人たちの人間関係を描いた部分
要するにドラマとしての見栄えや広がりをつくり出すための “装飾” 的な部分であり、むしろ “装飾” が施されているのに、そこが無駄や邪魔にならずに、全体の一部として機能させている “本編” が “スゴイ” ってことなのだ。
意外と世間で賛否両論ある「今作のドローン撮影」について
さて、「土曜日版」の感想から少々離れて、意外と世間で賛否両論ある「今作のドローン撮影」について触れてみようと思う。
私は、「1話の中で何度もドローン撮影を使うのは野暮」と言い続ける反面で、「明確な意図が伝われば使う価値はある」との考えで。
今作においては、舞の成長を見守るご先祖様の “守護神” にも感じるし、舞や子どもたちの誕生・心・病・命を見守る “キリスト教” 的な “祈りの聖地” って感じるし、更に舞が未来になるであろう “パイロットの目線” にも感じるから、良いと思っている。
ただ、反対派の多くは「引き過ぎる!」を問題視しているようだ。
要するに対象物(例えば、主人公)が見えないくらい小さく映して意味があるのか? ってことだろう。
これについては、一定の理解は示したい。
しかし、演出家が撮影部にドローン撮影を依頼する時は、恐らく普通では撮影できない視点からの「超ロングショット(遠くから対象物を撮影したカットのこと)」を撮影したい時だと思う。
毎週日曜日に放送中の人気バラエティ番組『ポツンと一軒家』(朝日放送テレビ)を見ても分かるように、ドローン撮影の醍醐味は「どれだけ対象物と状況(風景や環境)を同一画面に盛り込めるか?」である。
それを考えれば、五島列島の自然を余すことなく画面に盛り込みながら、決して「風景・情景カット」に終わらせずに、「強い意味のあるカット」にしている点で、今作のドローン撮影は意味も価値もあると思う。
もしも、今作のドローンに限らず撮影に興味をお持ちなら、NHK大阪局が発信している下記を読めば、千葉県生まれで30代半ばの女性カメラチーフだからこその今作の撮影についての意気込みが伝わってくると思う。
「舞いあがれ!」撮影チーフの"ここに注目!" | 関西ブログ
あとがき
「土曜日版」を見ると、今作の骨格が見てきますね。
作品を深く理解しようと思うなら、「土曜日版」も合わせて見ると、何が骨格でどこが枝葉なのか見えてきますから。
第1週の「土曜日版」の感想にも書きましたが、「20分」に拡大したら、もっと濃厚なダイジェスト版になると思います。
いやぁ、もったいないです。
子役時代を3週目で続けるのは珍しいですね。
まあ、これまも「2週間で終わり?」と思う朝ドラが多かったので悪くないですが、その分、切り替わった時の不安が…
これって “ちむどんどん後遺症”
でしょうか(苦笑)
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【これまでの感想】
第1週『お母ちゃんとわたし』
1 2 3 4 5 土
第2週『ばらもん凧(だこ)、あがれ!』
6 7 8 9 10
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