連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第8回・2022/10/12) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『舞いあがれ!』
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第8回〔全?回〕/第2週『ばらもん凧(だこ)、あがれ!』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
舞(浅田芭路)は、祥子が瀬渡しの仕事で乗っている船の名前がめぐみ丸という母の名前がつけられていることを知り、なぜ母と祥子が14年間も音信不通になっていたのかを祥子から聞き出す。そして祥子は本当はずっとめぐみと会いたかったこと。舞や悠人と会いたかったこと。そして今、舞と一緒に暮らせて嬉しいことを語る。そんな祥子は、磯釣りの客を船で連れていく。舞は生き生きと船を操縦するおばあちゃんの姿に感心する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:桑原亮子(過去作/心の傷を癒すということ) 第1,2週
嶋田うれ葉(過去作/朝ドラ「エール」)
佃良太(過去作/星とレモンの部屋)
演出:田中正(過去作/ウェルかめ、ひよっこ、なつぞら) 第1週
野田雄介(過去作/スカーレット、マッサン、六畳間のピアノマン) 第2週
小谷高義(過去作/スカーレット、おちょやん)
松木健祐(過去作/ひよっこ、いだてん、晴天を衝け)
音楽:富貴晴美(過去作/花嫁のれんシリーズ、西郷どん、それでも恋する)
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時(過去作/おちょやん)
管原浩(過去作/これは経費で落ちません!、いいね光源氏くんシリーズ)
※敬称略
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
今回も「よく作り込まれているなぁ」と感心しきり
あがだ、お元気と? おいが管理人の “みっきー” です!
(皆さん、お元気ですか? 私が管理人の “みっきー” です!
今回も、これといった苦言もなければ、改善希望もありません。
むしろ、今回も「よく作り込まれているなぁ」と感心しきりです。
注目すべきは「15分間の構成」のうまさ
さて、今回の見どころはいくつもあるが、やはり注目すべきは「15分間の構成」のうまさだ。
今回で描かれたのは、ざっくり挙げると次の5つのパートになる。
●「めぐみ丸」の船名の由来
●東大阪の岩倉家
●瀬渡しの客との事件
●主人公の図画工作の授業
●主人公と祖母とばらもん凧
前回の感想に書いた通り、前回の映像で「めぐみ丸」を視聴者に見せていたし、そもそも磯釣り客の件は続いているのだから、今回も磯釣り客の件から始めるのが普通だ。
だから、当然のことながら、その後に起こる失態のための “ネタフリ” をした。
そのまま、舞(浅田芭路)が祥子(高畑淳子)の “お客様の安全が第一” という信念から “めぐみ丸” につなげるかと思いきや、主題歌明けに東大阪の岩倉家でこんなやり取りが描かれた。
浩太「そない心配せんやて 舞は 大丈夫やて」
めぐみ「けど 心配だけやない。どっかで ホッとしてて…」
母親になっためぐみ(永作博美)が14年前は母親を見返してばかりだった自分を振り返り、先日の帰省で老いた母に接した思いを夫・浩太(高橋克典)に語った。
この「東大阪の岩倉家シーン」が前段にあるから、次の「めぐみ丸」の船名の由来が、祥子とめぐみの “母子関係” を更に深く描くシーンとして効果的になった。
もちろん、「ネタフリ → 船名の由来 → 東大阪」でも不可能ではないが、こっちだと「一方、東大阪の両親は…」という感じになって、やや箇条書きに見えてしまう。
しかし、「ネタフリ → 東大阪 → 船名の由来」にした方が、ネタフリと船の構成上の距離が離れるので、ネタを回収した時の納得感がお大きく得られるメリットがある。
祥子の"舞と一緒の時間を何よりも大切にする気持ち"の描き方に注目
そして、そのネタの回収は描かずに、時計のアップを1回入れただけで視聴者だけにさり気なく気づかせて、劇中の登場人物たちには釣り客を忘れさせる… との展開だ。
この辺の “時間繋ぎ” やネタ回収の “展開” もうまい。
そこで私が注目したのは「めぐみ丸」の船名の由来のパートで描かれた “祥子の次の台詞を活かした構成” だ。
祥子「舞と悠人の顔ば 見たかった。
じゃけん 今 舞と一緒におって うれしか」
そう、祥子の、≪孫の舞と一緒にいられる時間を何よりも大切に思っている気持ち≫だ。
今回のエピソードには、この “祥子の気持ち” がアバンタイトルからラストシーンまで背骨のように貫かれているのだ。
まず、祥子の舞への思いの強さを感じて信じためぐみを描く。
そして、その気持ちが「ばらもん凧づくり」を知らぬ間に延長させることになって、結果として、釣り客に迷惑をかけることになるわけだが、今度は次の舞の台詞がこれまで祥子との暮らしで得たこと、そして一緒に「ばらもん凧づくり」をして学んだことを描く。
舞「おばあちゃん 失敗は 悪いことやないんやろ?」
今作はここで終わらずに次の祥子の台詞まで描いて、「先への期待感」につなげた。
祥子「もう少したいね」
見事である。
展開(流れ)が秀逸なのは当然だが、すべての登場人物の “相手への気持ち” まで丁寧に描かれている。
その上、舞、めぐみ、祥子の移り変わりに加えて、主人公・舞の成長まで見て取れる。
舞が相手の話の"聞き上手"で、"引き出し上手"なのがいい
更に褒めたいのは、舞が相手の話に対して「聞き上手」であり、更に「引き出し上手」である点をさらりと盛り込んでいる点だ。
前回ではさくら(長濱ねる)がついつい彼氏とののろけ話をしゃべってしまったシーン、今回では今まで胸にしまっておいた祖母&母親としての気持ちを舞に吐露したシーンがそれに該当する。
"アップ"と"引き"の使い方や、カメラアングルの選択も秀逸
他にも、映像的には “アップ” と “引きの画” の使い方、カメラアングルの選択も秀逸だ。
例えば、8分過ぎ、祥子が押し入れの中からばらもん凧の段ボール箱を取り出すシーン。
カメラを押し入れの奥に置いて、祥子がのぞき込むようなアングルのカットになっていた。
このことで、箱を開けた時の祥子のハラハラドキドキ感も伝わると同時に、段ボール箱が平べったいこともわかるようになっている。
そして、次のシーンは薄べったい段ボール箱を俯瞰で捉えて、平たく大きな箱であることを見せる。
このカメラの視点が、なんとなく才津家のご先祖様にも感じるし、二人を見守る “島のみんな” を代表する視点にも感じる。
また、12分過ぎで舞が祥子の手をそっと握るアップ、祥子が舞を抱きしめるミディアムショット、そして夕景の港の引きの画は、三段階で二人を見守る “島のみんな” を代表する視点を象徴しているようにも思う。
劇伴と語りが少なめだから、映像に集中できる
ついでに、もう一つ褒めておきたいのは、「引き算」に成功している “劇伴” と “語り” の少なさだ。
きっと意図的に “劇伴” と “語り” は少なくしていると思う。
そして、あくまでも主人公が子どもだから “自然体” を見せつつ、ロケ地の “五島” も見せたいから、あえてドラマ仕立ての演出は引き算していると思う。
そのおかげで、映画のような、ゆったりとして雰囲気が、舞と祥子のやり取りに集中できるというわけである。
あとがき
この制作スタッフは、前作の放送中に撮影を始めています(2022年4月~)から、相当気合を入れて作り込もうとしているように感じます。
まさか、ここへきて祥子が失敗して、舞が祥子を元気づけられるまで成長するとは思いませんでした。
でも、決してあっという間に成長したわけでなく、ちゃんと描かれた過程に説得力があるので感動的でした。
この調子で進んでほしいです…
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