連続テレビ小説「舞いあがれ!」 (第4回・2022/10/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『舞いあがれ!』
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第4回〔全?回〕/第1週『お母ちゃんとわたし』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
舞(浅田芭路)が初めて祥子の家を訪れた日。船大工の木戸(哀川翔)や港に売店を持つさくら(長濱ねる)がやってきて、にぎやかになる。祥子に紹介され挨拶をする舞は居場所ない感じだったが、そこへ診療所へ行っていためぐみが帰って来る。さくらが持ってきたタコを興味津々で触りはしゃぐ舞だが、めぐみに注意されてしまう。その様子に祥子は違和感を感じる。翌日、舞はまたもや熱を出し、診療所の医師・谷先生に診察してもらう
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:桑原亮子(過去作/心の傷を癒すということ) 第1週
嶋田うれ葉(過去作/朝ドラ「エール」)
佃良太(過去作/星とレモンの部屋)
演出:田中正(過去作/ウェルかめ、ひよっこ、なつぞら) 第1週
野田雄介(過去作/スカーレット、マッサン、六畳間のピアノマン)
小谷高義(過去作/スカーレット、おちょやん)
松木健祐(過去作/ひよっこ、いだてん、晴天を衝け)
音楽:富貴晴美(過去作/花嫁のれんシリーズ、西郷どん、それでも恋する)
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時(過去作/おちょやん)
管原浩(過去作/これは経費で落ちません!、いいね光源氏くんシリーズ)
※敬称略
作品の 粗探しや重箱の隅を楊枝でほじくる こと、スタッフの人格否定や俳優の個人攻撃 が 目的ではない ことをご理解ください。
騒動ありきで展開せず、登場人物の感情で物語が動いている
皆さん、お元気と? 管理人の “みっきー” です!
第4回の感想に入る前に、昨日が忙しくて第3回の感想でじっくり書けなかった部分についてちょこっと補強させてくださいな。
“連ドラ”、特に “朝ドラ” の序盤の場合、ヒロインが住居地を変えるのは大きな “転機” であり、前作では “騒動” として描かれましたよね。
だから、今作の “引っ越し” が意外なくらいに医師のアドバイスから夫の助言を経て、母との(あるであろう)確執などに引っ掛かることなく “淡泊に” 帰郷したのが印象的でした。
だって、普通は、自分の家業の手伝いもあるし、我が子の引っ越しや転校もあるわけだから、数か月の憂慮があって、第1回が「1994年4月」なら、帰郷は「夏休み~二学期」あたりが妥当ですよね。
でも、劇中の実家のカレンダーは「1994年4月」のままなので、1か月も要しないで決めちゃったってこと。
ただ、むやみに引っ張ったところで「幼少期」の放送尺はおよそ最初の2週間だろうから、テンポよく進めたのは得策だと思います。
更に、テンポの良い中に、朝ドラとしてはお約束アイテムの “年賀状” を使って、母・祥子(高畑淳子)が娘のめぐみ(永作博美)を受け入れる準備ができていたことをサクッと説明。
そして、台所で湯飲みから茶を飲みながら、母と娘のわだかまりがほどけてくるのを、母子の笑顔で表現しましたね。
やはり、演技力のある俳優さんだからこそ、台詞でなく芝居で魅せたということだと思います。
とにかく、騒動ありきで展開せずに、登場人物の感情で物語が動いていることに好感を持ちます。
「みじょかねえ」なんて方言を聞くだけでうれしくなる
さくら「ばえー! みじょかねえ」
こんな早い段階で登場するとは思わなかった…
それが、祥子が作ったジャムを自分の港にある売店で売っている “さくら” 役の長濱ねるさんだ。
けやき坂46および欅坂46の元メンバーで、まじめなのにホワッとした感じが、朝ドラの脇役に似合うなと昨年あたりから思っており、彼女が長崎県長崎市出身だから、是非とも今作に出演して欲しいと薄々思っていた注目人物だったから。
そんな中で「みじょねえ」なんて方言を聞くだけでうれしくなる。
せっかく、五島列島に帰郷した設定なのだから、俳優さんは大変だと思うがもっと方言を活かしてほしい…
一太の「ひょうたん踊り」について
さて、先ほど五島列島を活かした方が良いと書いたが、今回では一太(野原壱太)を介して、長崎県に数多く残る「河童伝説」の一端が描かれた場面があった。
「ひょうたん踊り」である。
簡単に書くと…
河童は全国的に古くから “川の神” と祭られており、特に旱魃(かんばつ)で田んぼに水が入らない時に百姓が “川の神” に水をくれたら娘を嫁にやると差し出したおかげで、雨が降って助かったというのは全国で共通した民話のストーリー。
それがのちに転じて、「ひょうたんは沈まない」ことから、“川の神” を祭る時は “ひょうたん” を人柱の代わりにささげるという風習があり、それが今の「ひょうたん踊り」につながっているとされている。
下記の「かっぱとひょうたん」は、長野県に伝わる民話がベースになっているが、いろいろ共通点があるので、興味があったら見て欲しい。
「絞め殺しの木」と呼ばれている "アコウの木"
劇中に「アコウの木」が登場した。
九州以南で多く見られるクワ植物で、イチジクの仲間である。
劇中の「アコウの木」がそうであったように、木の幹に気根を垂らした独特な樹形が特徴。
ガジュマルの木も同様だが、「アコウの木」の木の実を食べた鳥などが「他の木」の根元や枝にフンをすると、その中に別の「アコウの木」の種子が入っていることがあり、次第に元々あった木に「アコウの木」が絡まった状態で生育するため「絞め殺しの木」と呼ばれている。
植物学的には、熱帯雨林などでいち早く太陽の光に当たるための特性とされている。
ちなみに、長崎県の県の天然記念物に指定されている九州最大級の巨樹「樫ノ浦のアコウ巨木」(公式サイト)もある。
舞とめぐみ、めぐみと祥子を重ねて"母の情"を丁寧に描く
もう一つ、五島列島らしい描写について。
カトリック教会の典礼の際に歌われる日本語の聖歌集「典礼聖歌」の407番「マリアさまのこころ」が登場した。
言わずもがな、五島列島は「祈りの島」ともいわれる「潜伏キリシタン関連遺産」である。
だから、当然子どもたちにも教えは浸透しているという描写だ。
この辺をもう少し深読みしてみると…
「マリアさまのこころ」には “聖母マリアさま” と “わたしたち” のことが歌われている。
そして、今作では、舞(浅田芭路)とめぐみの母子関係に、めぐみと祥子の母子関係を重ねて描いている。
決して、大げさでこれ見よがしではないが、娘への思い、孫への思いを、さり気なく重ねることで “母親の情” を丁寧に紡いでいる。
この辺の描写も前作ではゼロだっただけに、余計に新鮮だし、老若男女問わず見る “朝ドラ” として親近感や共感性につながると思う。
黄色の長靴と「美人物・芸者博多人形」の対比が良かった
どうも、ロスはロスしているのだが(苦笑)、まだまだ無意識下で前作の亡霊がうろちょろしているから、「お下がり」という単語に敏感に反応してしまった(困)
舞の空色のセーターに、めぐみのピンク色の衣装、そして “お下がりの黄色の長靴” のコントラストが明るくて、日差しの強さよって作り出された濃い影の黒と、茶色の木材、白いカーテンと靴下が、実にすがすがしい。
舞の後ろにあった赤い和服を着た「美人物・芸者博多人形」の特徴である優雅さや艶っぽさと、可愛らしさと幼さを対比させた上で、映像の奥行き感まで創出した。
こういう演出の配慮がさり気なく出来ているのも、うれしくなるのだ。
磯での校外学習の当日の舞の衣装の色にも注目
さて、色の演出について、もう少し語ろう。
以前に夜ドラ『あなたのブツが、ここに』の感想にも書いたことだから、一部の読者様には重複してしまうが(謝)
磯での校外学習の当日、これまでピンク色の衣装が多かった舞だが、ロンTがオレンジ色で、長靴が黄色になった。
オレンジ色を身に着ける人の心理は「結果を出したい」、「モチベーションを上げたい」で、オレンジ色で何事も真剣に取り組む姿勢や意識の高さを表現 していると、カラーセラピーではいう。
一方の黄色は、「甘えん坊」、「かまってほしい」、「子どもっぽい」を表現する色。
ほら、今作の美術さん、衣装さんもちゃんと色の法則に則って仕事をしているのだ。
これも、前作ではほぼ無かったこと(涙)
あとがき
ひたすら “日常” を “普通” に描いているだけですが、説明不足もないし、クドさもなく、第4回目も好印象です。
いや、ちょっぴり心地よささえ感じ始めている… そんな感じ。
映像的には、どことなく2020年に惜しくも亡くなられた名匠・大林宣彦監督の尾道三部作『転校生』、『時をかける少女』、『さびしんぼう』を彷彿させる雰囲気もあって好きな作風です。
更に、私自身に妹がいるので “兄妹” の描写、とくに幼少期の妹とのやり取りなんかを思い出します。
とにかく、無難に進んでいるのが何よりです…
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