夜ドラ「あなたのブツが、ここに」〔全24回〕 (第23回・2022/9/28) 感想

NHK総合・夜ドラ『あなたのブツが、ここに シングルマザーのキャバ嬢、宅配ドライバーになる』
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第23回〔全24回〕の感想。
咲妃(毎田暖)とのことで悩み、会社に行けずいた亜子(仁村紗和)のもとに、峯田(佐野晶哉)がやってくる。峯田は亜子を励まそうとドライブに誘う。亜子は、峯田のおかげで立ち直り、再び祐二(平埜生成)と直接あって話をつけることにする。マルカ運輸にはコロナにかかり長らく休んでいた社長の葛西(岡部たかし)が会社へ復帰する。副社長の聖子(山崎静代)は入れ替わりに帰ろうとするが…
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:櫻井剛(過去作/表参道高校合唱部!、4分間のマリーゴールド)
演出:盆子原誠(過去作/カーネーション、とと姉ちゃん、おちょやん) 第1,5,最終週
梛川義郎(過去作/純と愛、べっぴんさん、おちょやん) 第2,4週
佐原裕貴(過去作/おちょやん) 第3週
音楽:森優太(過去作/ホリミヤ)
制作統括:櫻井壮一(過去作/西郷どん、おちょやん、阿佐ヶ谷姉妹の~)
※敬称略
"例の当たりくじ付きの青いアイス"を食べる亜子とミネケン
朝ドラ『ちむどんどん』の感想が連日愚痴ばかりだから、今作の感想は丁寧に書こうと思う。
まず、アバンタイトルの峯田(佐野晶哉)が亜子(仁村紗和)をドライブで埠頭へ行ったシーン。
突然だが、このシーンを見て思い出したことがある。
もう20年以上前の昔の話だ。
入社3年目の若手社員がホテルの仕事を辞めてレコーディング関係に移ろうか迷っていた。
偶然、彼と同じ現場になって、日比谷ホテルからお台場のホテルに出向いた帰り道、東京湾を眺められる埠頭に機材車を止めて話したことがあった。
いつもの都心にある事務所や現場とは違うちょっと離れた場所、それも海風に当たって話すと、自然といろんなわだかまりが取れて、本音を話せるものだ。
このシーンも、あのまま野球グランドでも、軽バンの車中でも撮影できるが…
埠頭で海風に当たりながら “例の当たりくじ付きの青いアイス” を亜子とミネケンが食べることで、ミネケンが悩みに悩んだ末にマルカ運輸に戻って来た “心の闇から抜け出した人” の “先輩” として “闇の真っただ中” の亜子に “当たりくじ” を引かせたような気がするような映像に見えた。
ロケハン(ロケーション・ハンティング=撮影場所を探すこと)のうまさが光るシーンだ。
驚愕な台詞であると共に今作を"連ドラ"として凝縮した台詞
峯田から自分にとっての “当たりくじ” が何であるのかを悟って立ち上がった亜子が、 元夫・祐二(平埜生成)と直接あって話をつけるシーンで、亜子が祐二に言った台詞…
亜子「あんたがクズで ほんまによかった。(中略)
私な 今が一番幸せやねん!
あんたもコロナも 来てくれてよかったわ。ありがとう!」
自分に降りかかってきた “不運” をすべて “不幸” として受け入れずに、“不運” は “不運” として受け入れて、結果を “幸せ” と受け入れる。
ショッキングな台詞であると共に、今作を “連ドラ” として凝縮した台詞だ。
この台詞を最終回でなく、最終回直前に採用することで、ひとまずこれまでを “まとめ” ている台詞としても利用している。
なかなかうまい構成であり、見事な脚本だ。
亜子と咲妃の成長をとても簡潔に、且つ丁寧に描いた
亜紀と咲妃(毎田暖)が和解するシーン。
咲妃「ただ ガッカリしただけやのに…(中略)
誰に怒ったらええんか分からへんくて…」 亜子「ママはもう ビクともせぇへん」
素晴らしい!
9分間で、15分×22回で描いてきたことを、的確にまとめてきた。
亜子の母親としての成長だけでなく、咲妃のシングルマザーの子どもとしての成長まで一瞬に盛り込んで一気に解決。
見事である!
決してご都合主義ではなく、きちんと筋道が立っていて、納得のまとめだ。
前シーンでさり気なく挿入された “祐二のくやしさ” が効果的に使われていたのも、映像的な作り込みとして感心してしまった。
ちなみに、この母子のシーンで流れていた英語の歌詞の劇伴の曲名は「Life」。
サントラ盤がデジタル配信されており、どの楽曲も良いので、気になった方は下記のリンクを参照していただきたい。
オリジナル・サウンドトラック 夜ドラ あなたのブツが、ここに [ 森優太 ]
亜子夫婦と葛西夫婦の対比もお見事!
また、コロナにかかり長らく休んでいた社長の葛西(岡部たかし)が会社へ復帰し、副社長の聖子(山崎静代)は入れ替わりに帰ろうとする場面で…
葛西「俺ね 隔離期間中 めっちゃ さみしかってん!
世界中から嫌われてる気分で… ずっと孤独やねん。
でもな 隔離されてすぐ 聖子ちゃん 差し入れ持ってきてくれたやろ?
あれ ほんまにうれしかった。
世界中にたった一人、味方ができたみたいやった」
葛西をオチに利用するアイデアも見事だが、前段の決別してしまった亜子夫婦と、決別していた葛西と聖子夫婦の中を取り持ったのが、宅配の仕事でありコロナであるという共通項で描いて見せた。
凝縮した15分間に感服!
更に、凄いのは…
武田「お前来てから 何か マルカ 変なことになってるわ」
亜子「私のせいちゃいますよ。あっ コロナのせいやな。フフフ…」
どうやって伝えれば良いのだろう。
今回の「亜子夫婦」、「亜子と咲妃」、「葛西と聖子」、そして「新マルカ運輸」は…
文字で書けば「コロナが理由で…」となるところを、あえて「コロナのおかげ」とはせずに「コロナのせい」と、ちょっと “コロナのしわざ” 的な恨み節が入りつつ、ちょっとユーモラスな表現で、人間やすべての事象に対して本質的な “善悪はない” が、受け取り方次第、考え方次第で “善にも悪にも” なり得るということを述べているのかも知れない。
とにかく、凝縮した15分間に感服である。
あとがき
今夜の最終回、一体何を?
「バカサバイバー」の全バージョンとメイキング映像集でも良いくらいです(笑)
恐らく「その後」を描くでしょうが、どんな現在を描くのか楽しみです。
コロナ禍で、未だ仕事が激減中です。
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