新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~ (第10話/最終回・2022/9/25) 感想

日本テレビ系・日曜ドラマ『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』
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第10話/最終回・hulu『友よ』、Tver『命をかけた最期の闘い』の感想。
徳川家康(小澤征悦)に勝利した織田信長(永瀬廉)は、学園を支配する総長と対峙する。総長の正体は、理事長・別府ノ守与太郎(柄本明)だと判明し、騒然とする武将たち。一方、黒田官兵衛(濱田岳)は、自分たちが武将のクローンで、18歳までしか生きられないという衝撃の事実を知り、葛藤が続く。それぞれが思いを抱える中、武将たちと理事長との最後の戦いが幕を開ける!理事長の真の狙いとは?武将たちは宿命に抗えるのか…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・甲斐谷忍「新・信長公記~ノブナガくんと私~」
脚本:金沢知樹(過去作/半沢直樹[2020]) 第1,2,3,4,6,9,最終話
萩森淳(映画「サバカン SABAKAN」2022年8月19日公開) 第1,2,3,4,6話
伊達さん[大人のカフェ](過去作/推しの王子様) 第5,7,8話
演出:中島悟(過去作/デカワンコ、世界一難しい恋、俺の話は長い、真犯人フラグ) 第1,2,3,6,9,最終話
豊島圭介(過去作/妖怪シェアハウス1,2、マジすか学園シリーズ、特捜9#S2) 第4,5,8話
日高貴士(過去作/ケイ×ヤク?あぶない相棒) 第7話
※クレジット表示では「高」は「はしご高」
音楽:林ゆうき(過去作/DOCTORS、緊急取調室シリーズ、あさが来た、未来への10カウント)
主題歌:King & Prince「TraceTrace」
今回の「7年後」は程よき着地点
遂に最終回を迎えてしまった。
簡潔に全10話を通しての感想を述べるなら…
広げるつもりになったらいくらでも広げられるストーリーだが、銀杏高校の旗印戦の最終決戦「織田信長 VS 徳川家康」の一騎打ちに勝利するのを織田信長にする結末以外を最終回にするなら、今回の「7年後」は程よき着地点だと思う。
"みやびの視点"を最後の最後までいかした展開が良かった
その理由は、前回の感想でも少し触れたが、今作の “表の主人公” は織田信長(永瀬廉)であるが、実は “裏の主人公=ストーリーテラー” は日下部みやび(山田杏奈)である。
そのことは、よく見ればわかる通り、物語のすべてが “みやび” の視点を通して描かれている。
従って、物語の結末も “みやびの視点” で終わってこそ、落としどころとして納得感が出てくる。
その意味で、今作のラストは終盤のみやびのプレゼン資料映像にあったように「従来、日本におけるクローンの技術は短命であることが課題とされていました」と始まり、「父の遺志を継ぎ、研究を重ね、ついに努力が実った」とある。
そう、これこそが “みやびの視点” で物語を “7年先” に押し進めることができるのだ。
だから、「18歳死亡説」を覆したみやびが、信長くんをはじめとした戦国武将たちから「うつけ=常識にはずれた人物」とちやほやされるエンディングは、今作のサブタイトル『クラスメイトは戦国武将』という “みやびの一人称” の佇まいに実にピッタリなのだ。
“約3分44秒間” の劇伴の使い方に注目してみた
さて、当ブログらしく、私が感心した演出を少し上げてみる。
まずは、武将たちが自分自身の運命を知って「是非に及ばず」を唱えたあと、13:52からの黒田官兵衛(濱田岳)が「真の友を得た」と言ってから豊臣秀吉(西畑大吾(なにわ男子))が「黙らんかい!」の “約3分44秒間” の劇伴の使い方。
まだサントラ盤が未発売だから間違っているかもしれないが、「♪A New Era(3分52秒)」のほぼ全編使って、回想シーンを挟んで武将たちの友情と運命の絆を確認するシーンを邦題「♪新しい時代」を1曲使って、じっくりと魅せた。
なお、既成の劇伴をあえて細かく切らずに使用する編集が功を奏していたのが、「最後の晩餐(宴)」の場面で、まるでスペースオペラのような “騎士道活劇” の奮起が高まったと思う。
永瀬廉さんの頬の筋肉が引きつる感じにグッときた
更に細かい部分なら、黒田が「まとっている 覇気が違う」の台詞の直前の 38:10あたりの覚醒した信長くんの上手(画面右側)の頬の筋肉が引きつる感じ。
恐らく、奥歯をかみしめるような動作によって作られたのだと思うが、信長の “覇気=覇者になろうとする意気。野心” が演技からグッと伝わって来た。
また、終盤の「7年後」で成長したみやびの歩くテンポが、主題歌の King & Prince「TraceTrace」の BPMに寄せていたのも、意図的ではなかっただろうか。
山田杏奈さんの"首の女子揺れ"の演技が今回は少し違った
そしてクドいようだが、毎回こだわっている山田杏奈さんの “首の女子揺れ” だが。
今回は “女子揺れ” を抑え気味に演技指導をする中島悟氏なのに、中盤まではあまり抑えていなかった。
しかし、それはある意味の伏線で、終盤の「7年後のみやび」を大人の情勢らしく見せるために “敢えて揺れさせていた” のだろう。
その効果があって、ほぼ “女子揺れ” のない「7年後のみやび」が際立った。
やはり、最終回は全編にわたって、スペースオペラ風の壮大な時間軸を扱っているから、演出も大きなうねりを感じるように作りこまれていたと思う。
出自に関係なく"そこに存在する人格は唯一無二の存在"
さて、最終回、いや今作で描いたのは「青春、友情、絆、運命、生きる、様々な愛」だろうか。
そこで、私が思い出したのが渡辺美里さんの1995年発売のライブ・アルバム『Live Love Life』(ライヴ・ラヴ・ライフ)だ。
●Live=生きる、生を受ける、宿る
●Love=恋する、愛しむ、慈しむ
●Life=いのち、いとなみ、現世
上記の三つは一文字ずつ少し違う英単語で、それぞれの意味も違うが、三つを並べてみると不思議なことに “生命” という共通項が見えてくる。
これ、劇中で描かれた… クローン技術によって生み出された遺伝情報の提供者とほとんど同一の遺伝的性質を持つ “クローン人間” の技術が、倫理的に抱えている “遺伝子はほぼ同じでも、同一の人格でない” ことに、どことなく通じるような気がするのだ。
「似ているが違う」「違うが似ている」というのは、現代社会における「○世代」などという一括りにしてしまう風潮の怖さにもつながる。
とにかく、出自がどうであろうと、“そこに存在する人格は唯一無二の存在” であることを、今作は強く訴えたと思う。
あとがき
歴史が苦手な私を最終回まで引き付けたドラマ『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』。
私が小学生で今作を見ていたら、こんなに歴史が苦手な大人にはなっていなかったと思います。
9月17日にクランクアップが報道されていたので、視聴率云々のことはスタッフ&キャストの皆さんは本編撮影中にご存じだったはず。
そんな中で、主演の永瀬廉さんは最後まで続行する勇気と不屈の精神で、ベテラン俳優さんや若手俳優さんたちを座長として束ねてけん引したのはスゴイことだと思います。
また、山田杏奈さんさんも “みやびの成長” を頑張って演じたと思います。
とにかく、見ごたえのある斬新なドラマを見て、更にテレビドラマが好きになりました。
スタッフとキャストの皆さん、ありがとうございました。
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