夜ドラ「あなたのブツが、ここに」〔全24回〕 (第16回・2022/9/15) 感想

NHK総合・夜ドラ『あなたのブツが、ここに シングルマザーのキャバ嬢、宅配ドライバーになる』
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第16回〔全24回〕の感想。
緊急事態宣言が延長される。亜子(仁村紗和)の配達先の落語家・三つ葉(桂二葉)の初めての独演会も中止せざるをえなくなってしまっていた。マルカ運輸では、亜子に嫌われたと峯田(佐野晶哉)は元気がない。しかし、峯田は一念発起してお月さんに向かう。そして、どうしても話したいことがあると、亜子をキャッチボールに誘うのだった。キャッチボールをしながら峯田は自分の思いを亜子に伝える。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:櫻井剛(過去作/表参道高校合唱部!、4分間のマリーゴールド)
演出:盆子原誠(過去作/カーネーション、とと姉ちゃん、おちょやん) 第1週
梛川義郎(過去作/純と愛、べっぴんさん、おちょやん) 第2,4週
佐原裕貴(過去作/おちょやん) 第3週
音楽:森優太(過去作/ホリミヤ)
制作統括:櫻井壮一(過去作/西郷どん、おちょやん、阿佐ヶ谷姉妹の~)
※敬称略
配達先の落語家・三つ葉の"まくら"に彼女の思いが募る…
前回の感想に書いたように、前回が “これまで” の分岐点になって、今回は予想通りそれぞれの登場人物が “これまで” にケリをつけ、様々な苦悩や後悔を改めて見つめ直して、新たな自分として一から出直す… という15分間だった。
ただ、描かれた内容や演出は実に興味深いものばかりだった。
例えば、アバンタイトルにあった配達先の落語家・柏亭三つ葉(桂二葉)の初の独演会が、緊急事態宣言の延長の影響で中止になったくだり。
思い返せば、劇中のころは世界的にエンタメ業界が疲弊していて、多くのアーティストやエンタメを待ち望んでいる人たちが「エンターテインメントはコロナ禍に必要か?」という自問自答でもがいていたころのように思う。
そんな時代をさり気なく表現したのが、家の中から聞こえてきた三つ葉の次の “まくら” の一節…
三つ葉(オフ)「『あのね この世の中にはね
無駄なことが多いなと こない思いまいしてね」。」
自身の初の独演会が中止になった無念さや、お客さんたちの健康を守りたいという複雑な気持ちが “まくら” で表現された。
"黄色" を好んでコーディネイトする峯田の恋愛傾向
表現されたと言えば、「ミネケン」こと峯田健太(佐野晶哉)がいつも “黄色” を好んでコーディネイトしていることについて、ちょっと調べてみた。
すると…
黄色が好きな人の心理や性格3つの特徴!男女別の恋愛傾向と相性 | healingood
https://healingood.tokyo/personality-color-yellow/#toc7
知性とユーモアにあふれた黄色好きの男性。女性にはモテる傾向にあり、明るいふるまいは女性の心をとらえます。
明るさの背景にあるのは「甘えたい」という心理によるものです。
心を許せる女性とふたりきりになると、子供のようにデレデレとなり、母性をくすぐる態度をみせることも。
いつも自分をみてほしい、かまってほしい心理をもつのが、黄色好きな男性です。
こんなことが書いてあった。
諸説あると思うが、きっと美術スタッフや衣装スタッフがキャラ設定する際に注目したと思う。
このような計算された演出が、何気に作品に真実味を与える)のだ。
「言葉のキャッチボール」なんて言葉もあるが…
ベタなシチュエーションではあるが、ソーシャルディスタンスが強く叫ばれていたころのコミュニケーション手段の表現として良かったのが “キャッチボール” だ。
「言葉のキャッチボール」なんて言葉もあるが、今回のシチュエーションはまさにそれだ。
「キャッチボール」シーンで注目したい2つの演出
ここで注目したいのが二点。
一つは、主人公が “学生時代に元ソフトボール部のキャッチャーだった” との設定をあえて説明しなかったこと。
ここで説明(例えば、学生時代の回想シーンを入れるとか)をすると、一気に主人公に焦点が当たってしまう。
しかし、説明を省略したことで、亜子(仁村紗和)と峯田の物語になった。
そして、もう一つ注目したいのが、亜子と峯田のキャッチボールをするときの立ち位置の違い。
最初のキャッチボールの立ち位置は、峯田が下手(画面左)で上手(右側)向きで立っており、後半では亜子と立ち位置が入れ替わっている。
これは、『[演出プチ講座] 映像の掟~画面内の人物の位置や視線(目線)の向きには意味がある~』に書いたように、私たち人間の脳みそには、“動くもの=左から右へ” と言うバイアスが初めからかかっているため、下手に立って上手を向いているキャラクターの方が「強い」「前向き」な印象を受けることを、演出で利用しているのだ。
物語の内容も、最初の時は峯田が押し気味で、後半は亜子が主導になっていることからも間違いないと思う。
こういうさり気ない演出が、主人公が「新たな自分として一から出直す」を表現しているということだ。
あとがき
今週は、かなり重たい内容でしたが、「“母親” としての先輩」である美里(キムラ緑子)と、「“母親” としては後輩」の亜子が、久しぶりに “母娘水入らずの時間” で互いに “頑張らんでいい場所” があるから “頑張れる” を優しく丁寧に描いたと思います。
ラストはちょっと怖い展開になりそうですが…
これで半分が終了です。
「あと、2週しかないの?」というのが正直な気持ちです。
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