石子と羽男-そんなコトで訴えます?- (第3話・2022/7/29) 感想

TBS系・金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』
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第3話『著作権法違反』、ラテ欄『映画違法アップロードで逮捕!?』の感想。
羽男(中村倫也)に「国選弁護」の依頼が舞い込む。依頼は映画を短く編集した“ファスト映画”を動画サイトに無断でアップロードし、 著作権法違反で映画会社から告訴、逮捕されたという大学生・山田遼平(井之脇海)の弁護だった。 お金にならない国選弁護の依頼に乗り気でない石子(有村架純)。一方、羽男は「注目されている事件だ」とやる気満々。 しかし逮捕された遼平は反省どころか悪態をつき、羽男は振り回されて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:西田征史(過去作/怪物くん、妖怪人間ベム、とと姉ちゃん、信長協奏曲)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル、グランメゾン東京、MIU404、最愛) 第1,2話
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、わたナギ、オー!マイ・ボス!、最愛) 第3話
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリーズ、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド、MIU404、ゴシップ#、インジビジブル)
主題歌:RADWIMPS「人間ごっこ」
十分に許容範囲だが…
演出家が交代すると、こんなにも雰囲気が変わるものか…
もちろん、好みが大きく左右するが、過去2回の演出を担当した塚原あゆ子氏だと「うまい!」と思わせるカットや編集があったのに、今回では「あれ、そこそうするの?」ってなっちゃう。
ただ、全体の雰囲気は違っても、映像的なテンポ感やキャラクターの描き方に大差は無いから、十分に許容範囲だが…
石子の台詞の中にちゃんと「お金」の話を入れ込んでいた点
さて、次は褒めたいこと。
まず、前回では微妙な表現で終わってしまった「事務所の経営問題」について、今回では石子(有村架純)の台詞の中にちゃんと「お金」の話を入れ込んでいた点だ。
ただ、演出的には、衣装や生活感などの描写を見ると、まだまだ経営がひっ迫しているようには見えないが(苦笑)
でも、石子と羽男(中村倫也)のキャラクターの違いを描く意味でも「お金」に対する “反応” の違いは重要だから、今回くらいは盛り込んだ方が良いに決まっている。
石子と羽男のキャラの違いを、より際立たせた点
もう一つは、前述と重なるが、石子と羽男のキャラの違いを、より際立たせた点だ。
今回は、羽男の家族を投入したことで、石子の “石田家” と羽男の “羽根岡家” が描かれて、家柄や家族の対比をやったために、キャラが深掘りされて、キャラの違うバディの面白さが秀でたと思う。
脇役たちの使い方のうまさ
もう一つと言うべきなのは、脇役たちの使い方のうまさだ。
石子と羽男以外にも、「潮法律事務所」のアルバイトスタッフ大庭蒼生(赤楚衛二)を絡めて、単純な “バディもの” 以上の面白さを引き出して)いる。
特に蒼生については、法曹界の人間でない一般人の感覚のキャラとして、リーガルドラマにありがちな “別の世界のお話” の感じを薄めて、今作が描く “日常にあるトラブル” が強調されて良いと思う。
この “日常” については、先の家族の描写や、蕎麦屋のくだりなども、良いアクセントになって、全体の心地よいテンポを作っていると思う。
複雑でわかり難い案件を、分かり易く描いた
さて、今回の話。
著作権違反という複雑でわかり難い案件を、分かり易く描いたと思う。
あまり掘り下げると難しくなるし、掘り下げないと意味がない。
一般的に「著作権違反」といっても、依拠性(既存の著作物を参考に創作されたこと)や、類似性(表現上の本質的な特徴を直接感じられること)など、「パクリ」とか「盗作」のような「複製権」と「翻案権」に関わる問題など、意外と似ていて非なる犯罪で。
当然、「似ている=著作権侵害」になるほど、現実は単純ではない(私も、困惑することがよくある)。
でも、今回は「既存の映像の再編集」による「改変」が与えた社会的影響にスポットを当て、更に「ファスト映画」に限定し…
「ファスト映画」を求める人たちの立場や、悪影響を受ける人たち、良かれと思ってやった行為は裁かれないという罪の意識が低い人たちを描いて…
今どきのネタに作り込んだために、多くの人に著作権侵害と賠償が大きいことが伝わったと思う。
このような啓もう活動は、リーガルドラマを放送する大きな意義だと思う。
あとがき(その1)
私のブログのようなテレビドラマや映画の感想を扱うサイトも、意外と「宣伝になるから良いでしょ」的な軽い気持ちで、つい著作権侵害をしちゃうんですよね。
私の場合はいろいろ相談して、ブログ開設した際にブログの趣旨を書いた手紙と名刺を入れて、ほぼ全部のテレビ局と映画会社に送りました。
意外と進言してくる人は珍しいようで「個人のブログなら宣伝の範囲になるので大丈夫です」とのお返事をいただきました。
だから、褒める時は良いですが、酷評の時も基本的に「見る価値なし」とは書かずに「見て確認すべき」か、私自身が感想から離脱します。
あとがき(その2)
第3話まで見てきましたが、説教臭さを出来るだけ排除して、むしろ無意識に犯罪行為をしている人に焦点を当てて、ふわっと「あなたたちは想像力が欠如していませんか?」と、ぬるい社会全体に注意喚起する感じが良いですね。
物腰はコミカルなのに、言っていることは「素直に非を認めなさい」と言われている感じが、今作らしい優しさと厳しさのよい塩梅だと思います。
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