石子と羽男-そんなコトで訴えます?- (第1話/初回15分拡大・2022/7/15) 感想

TBS系・金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』
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第1話/初回15分拡大『窃盗罪』、ラテ欄『カフェで携帯を充電したら訴えられた!?』の感想。
頭の固いパラリーガルの‘石子’こと硝子(有村架純)は、父・綿郎(さだまさし)が営む「潮法律事務所」で働いている。ある日、ぎっくり腰になった綿郎の代理で、事務所に弁護士の羽根岡(中村倫也)がやって来た。石子は、強気な発言と独特の調子で依頼人に接する‘羽男’こと羽根岡を見て「依頼人から訴えられるのでは」と不安に。そんな折、会社員の大庭(赤楚衛二)から羽男に依頼が舞い込んだ。大庭はカフェで携帯電話を充電して店から訴えられたという。カフェを訪れた石子と羽男は、店長の梅林(田中要次)と対面する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:西田征史(過去作/怪物くん、妖怪人間ベム、とと姉ちゃん、信長協奏曲)
演出:塚原あゆ子(過去作/アンナチュラル、グランメゾン東京、MIU404、最愛) 第1話
山本剛義(過去作/凪のお暇、コウノドリ2、わたナギ、オー!マイ・ボス!、最愛)
音楽:得田真裕(過去作/監察医 朝顔シリーズ、家売るオンナシリーズ、アンナチュラル、インハンド、MIU404、ゴシップ#、インジビジブル)
主題歌:RADWIMPS「人間ごっこ」
第1話を見ている途中で、今作は"アタリ"とほぼ確信した
ここ数年のTBSの「金曜ドラマ」枠の傾向からすると、1年間の4作品のうち、半々の確率でアタリとハズレが来るというのが私の好みの結果。
ということは、今年はすでに『妻、小学生になる。』がアタリで、『インビジブル』がハズレだから、今作は五分五分の勝敗になるわけで…(笑)
その意味では、結論からいうと今作は “アタリ” と、第1話を見ている途中でほぼ確信した。
リーガルドラマもバディものも、つくるのが難しい
見る前は、期待と不安は半々だった。
まず、“リーガルドラマ” を面白くしようとすると、どうしても内容が難しくなりがちで、特に幾重にも捻ると、クドくもなりがちで、そこをどう面白さを残しつつわかりやすく表現するかは、相当難しいからだ。
もう一つの不安要素は “男女のバディモノ” の最近の連ドラは、男女である必然性も乏しいし、2人のキャラクターが上手く活用されておらず、ことごとくハズレが続いているからだ。
では、今作はどうだったか?
連ドラの第1話としては、予想以上に脚本上では “男女である必然性” や “2人のキャラの違い” は描かれていなかった。
もっと台詞で描いても良かったと思うが…
ただ、それを余すことなく補ったのが、演出による立ち振る舞いの演技指導と、俳優による掛け合いの演技の上手さだ。
まあ、今回は案件が若干複雑なこともあってからか、キャラ描写を控えめにして、物語の流れの中でキャラを見せていくことに軸足を置いたとも考えられる。
従って、2人のキャラの描き分けについては、挨拶代わりの第1話が終わってからを期待しようと思う。
15分間の拡大分の有効活用
もちろん、脚本の工夫も数々あった。その一つが、15分間の拡大分の有効活用だ。
今作は、拡大分を序盤に持って来て、そこで今回のメインの案件に繋げるための “イントロ” 的な役割と、今作が「日常のトラブルを描く、異色のリーガル・エンターテインメント」であることを提示する “名刺交換” 的な役割に利用した。
これによって、メインパートでは不足を感じるキャラ紹介の補足になっているし、作風の紹介にもなっていた。
最近の連ドラの第1話の拡大分は、ほぼ蛇足になっているケースが多いだけに、視聴者を飽きさせない工夫として評価できる。
今作で興味深ったのが、画面内の色のバランス
また、今作で興味深ったのが、画面内の色のバランスだ。
最近の日本のドラマは、海外ドラマを真似しているのか、映画風のトーンを落とした色調が流行っている。
しかし、今作は、随所に活力に溢れて生き生きとした感じの “ビビッドカラー(原色や彩度の高い印象の強い色)” を配して、“元気や自己主張” をイメージさせていた。
特に基調になっていたのが、賑やかさと冷戦沈着な雰囲気のビビッドブルー、インパクトの強いビビッドピンク、存在感のあるビビッドグリーン、そして負けず嫌いな印象のビビッドレッドだ。
これらは、メインの登場人物の衣装やスタジオセット、彼らが歩く街の風景や駅や電車の色にまで統一されていた。
一方で、ビビッドカラーだけでは目が疲れるから、薄目のターメリック色である玉子色や、小豆色といった日本の伝統色を随所に散りばめ、ビビットカラーとアースカラーの組み合わせで、独自の映像美をつくり出そうとしているように感じた。
色遣いについては、好みが分かれると思うが。
最近は大型テレビではなく小さな画面、スマホの場合は電池もちを考えて画面を暗めにしている人も多く、そんな環境でドラマを見る人も多いはずから、ダイナミックレンジ(広い明るさの幅)のある映像づくりは一定の意味や価値があるとは思う。
二階建て仕様のスタジオセットの活用方法が斬新
更に突っ込むと、今期のTBSの連ドラ3作品(他は『ユニコーンに乗って』、『オールドルーキー』)の共通点がある事にお気づきだろうか?
それは、3作品とも、メインのスタジオセットが “二階建て仕様” になっていることだ。
そして、今作以外は “広さ” を強調するための “二階建て” にしか活用していない。
しかし今作では、“二階建て仕様” を “広さ” ではなく、“事件の解説” に使っているのが、大きな工夫だ。
狭い事務所の二階建ての一階と、二階と天井部分を縦に二分割して、画面をクルリと回すことで、映像的な面白さも追及している。
この辺は、今作のメイン監督である塚原あゆ子氏らしいアイデアだ。
"バディが活躍する系"では、久し振りに楽しい連ドラ
終わってみれば、日常のトラブルを扱う点、何か知らのトラウマを抱えたバディの探偵モノとして、番宣通りの「異色のリーガル・エンターテインメント」になっていたと思う。
不安要素が多い「W主演」ではあるが、設定上もバランス良くお互いの欠けた部分を補っているし、演技も心地好いリズムがあって良かった。
この感じ、上手くいけば『MIU404』の伊吹と志摩のように化けるかもしれない… とまで思ってしまった。
そして、刑事ドラマや探偵ドラマなどの “バディが活躍する系” では、久し振りに最後まで楽しく見ることが出来た。
やはり、やり方次第で、まだまだ面白いドラマはつくることが出来るということだ。
あとがき
「今期もアタリは少ないかなぁ」と半ばあきらめかけていたので、今作を見て良かったです。
ドラマの内容と昨今の法改正をリンクさせる解説が入る点も、テーマ性を前面に押し出す感じで、最近のやんわり&ぼんやり描く方向性とは一線を画しており、良かったです。
最近は、出演者やネタが違うだけで視聴者に嫌われないようにつくるような作品が多い中、ちゃんと制作陣の矜持のようなものを提示するのは私は良いことだと思います。
終盤の硝子(有村架純)と羽根岡(中村倫也)が大庭(赤楚衛二)の同僚の沢村(小関裕太)を問い質すために追い込んだ時の、沢村のアップの数カット分のカット割りが塚原あゆ子さんらしくてグッときました。
都電沿線が舞台なので、東京・荒川区の三ノ輪や南千住がロケ地に多く使われていましたね。都電沿線を見ると、千葉県から東京の家に戻りたいなぁって思います。ドラマとは関係ない感想ですが…(苦笑)
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