競争の番人 (第1話/初回30分拡大・2022/7/11) 感想

フジテレビ系・月9『競争の番人』
公式リンク:Website、twitter、Instagram
第1話/初回30分拡大『企業の不正を暴く、ニューヒーロー誕生!!』の感想。
刑事の白熊(杏)は、犯人を目前で取り逃がしたことから公正取引委員会第六審査、通称ダイロクへと異動になる。そこは審査長の本庄(寺島しのぶ)が立ち上げたチーム。白熊の教育係に任じられた小勝負(坂口健太郎)は、優秀だが変わり者として知られ、仕事を教える気など一切ない様子だ。そんな中、小勝負と白熊は地方都市のホテルで行われているウエディング費用のカルテル疑惑を調査することに。カルテルの中心人物と目される地域の有力者・雲海(山本耕史)が経営するホテルに、結婚間近のカップルを装い潜入する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・新川帆立「競争の番人」
脚本:丑尾健太郎(過去作/下町ロケット、ノーサイド・ゲーム、半沢直樹2020) 第1話
神田優(過去作/アライブがん専門医のカルテ、ラジエーションハウス2)(過去作/下町ロケット、ノーサイド・ゲーム、半沢直樹2020) 第1話
穴吹一朗(過去作/信濃のコロンボ1~5、Dr.DMAT、親バカ青春日記)(過去作/下町ロケット、ノーサイド・ゲーム、半沢直樹2020) 第1話
蓼内健太(過去作/アンサングシンデレラ_スピンオスドラマ)
演出:相沢秀幸(過去作/アンサング・シンデレラ、トレース~科捜研の男、ミステリと言う勿れ) 第1話
森脇智延(過去作/SUITS/スーツ1,2、黄昏流星群、イチケイのカラス)
音楽:やまだ豊やまだ豊(過去作(単独作品のみ)/ボーダーライン、わたしを離さないで、プロミス・シンデレラ)
主題歌:idom「GLOW」
「公正取引委員会を舞台にしたドラマ」には見えたが…
遂に、杏さんも、ここまで顔芸をやるしかないのか…
まっ、それは置いておいて…
「企業の不正を暴き、弱者を救うニューヒーロー誕生!!日本初の公正取引委員会を舞台にした痛快爽快エンターテインメント」… だそうだ。
そう書いたのは、私には「公正取引委員会を舞台にしたドラマ」にしか見えなかったから。
本気で伝えたいことが視聴者に伝わったと思っているのか?
久し振りに、この類の失敗作予備軍の第1話を見た感じだ。
まだ、失敗作とは決め付けないが。
とにかく、プロの人たちには申し訳ないが…
この脚本と演出と演技で、第1話で伝えたい、伝えようとしていることが、視聴者に伝わっていると自負しているなら、間違っていると思う。
どこが、どう伝わっていないのか1つずつ挙げていたらキリがないほどだ。
だから、例えば、1つ目の案件「談合」と2つ目の案件「カルテル」だ。
どんな事件で、公取委が何を成敗したのか伝わっただろうか?
もっとツッコめば、そもそも「公取委のお仕事」が何であるのか?さえも、きちんと表しているとは言えない状態だ。
わかりにくい取扱説明書を映像化して満足したようなもの…
なぜ、こうなってしまったのかは、恐らく簡単なことだ。
脚本家や演出家が、取扱説明書のような脚本を、取扱説明ビデオのようにつくって、満足してしまったからだ。
これは、「取扱説明書=わかりやすい文章」と思い込んだまま、突っ走ったからに他ならないと思う。
私は、取扱説明書を読むのが大好きだから、良くわかる。
同じように見える取扱説明書や説明ビデオだが、実は「とてもわかりやすいもの」と「わかりにくいもの」がある。
いや、信じられないかも知れないが、取扱説明書でも読んで面白いものもある位なのだ。
最近は、各社の企業努力で「わかりやすいもの」が増えているが、それでも “わかりにくいこと” ことをきちんと認識している企業は、公式サイトで情報の補足をしている。
そう、“わかりにくいこと” をわかりやすく伝えるには「とてもわかりやすいもの」で説明しなくては伝わらないのだ。
その間違いを、今作やってしまったのだ。
"ドラマ" としては、まあまあの出来なのは認める
しかし、全部が間違っているわけではない。
“ドラマ” としては、比較的、頑張ってつくられているとは思う。
序盤で公取委の概要説明、続いて、登場刃部の紹介を含めた仕事の現場を描き、白熊(杏)の “おっちょこちょい” ぷりと、小勝負(坂口健太郎)の “お利口さん” っぷりも描き、公取委・第六審査(通称・ダイロク)のチーム全体の雰囲気も提示されていたし。
まあ、全体に散りばめられている “笑わせどころ” は、若干スベってはいるが、こういうのは慣れや好みがあるから、“今作らしさ” とも受け取れなくもないし。
だから、繰り返すが、“ドラマ” としては、まあまあの出来ではあると思う。
本音を言えば、今作のような “笑わせどころ” は、センスのある人がやって初めて効果が出るわけで、できない人が無理すると、こうなっちゃう(苦笑)
まあ、配役ありきで進んだ企画だと思うから、やむを無かったと思うことにするが…
"ドラマの装飾" 的な演出は、ドラマの本筋には必要のない
ただ、やはり気になるのは…
一般庶民にはなじみの薄い公正取引委員会がどんな “お仕事” なのか? という今作を描く上で最高ランクの重要な要素が視聴者に十分に伝わっていない段階で…
今回のような本筋に必要のない、いわば “ドラマの装飾” 的なドタバタや、小ネタ的な演出を盛り込んで、更にそれらがスベってしまうと、これらの方が目立ってしまうのだ。
繰り返すが、“ドラマの装飾” 的な演出は、ドラマの本筋には必要のないのだから。
脚本家と演出家の工夫が足りない!
やはり、視聴者にとって縁遠い “わかりにくいもの” を描くドラマなら、あれこれやる前に、“わかりやすく描く” ことを最優先しないとダメだと思う。
これは、脚本家と演出家の工夫が足りない。これに尽きる。
「これだけ情報提供すれば、わかるでしょ?」的な、わかりにくい取説と同じレベル。
わかりにくいものは、徹底的にわかりやすく説明しなければ、伝わらないのだ。
特に、NHKドラマのように最初から視聴者を線引きできるような作品なら良いが、今作は、あの「月6」なのだ。
リーガルドラマで敢えて “弁護士” ではない “検察官” を描いた『HERO』、風変わりの “裁判官” を描いた『イチケイのカラス』。医療ドラマでも意外な職業 “放射線科” に焦点を当てた『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』など…
わかりづらい職業をそれなりにわかりやすく伝えたお仕事ドラマがあった放送枠なのだ。
それを考えると、申し訳ないが “お粗末” と言わざるを得ない。
今作は、全体のバランスがよろしくない…
「月9」枠で放送される、ちょっとなじみの薄い職業を題材にしたお仕事ドラマで、(それなりに… も含めて)成功してる作品は、いずれも、特に難しい部分(小難しいところ)は、主人公を絡めたやり取りで描いているのだ。
主人公たちが劇中の登場人物にわかりやすく解説するような展開を入れることで、同時に視聴者にもわかりやすく伝えるという工夫が活かされているのだ。
しかし、今作は、全体のバランスがよろしくないなのだ。
わかりやすく描くために、難しい部分は削除している箇所と、 ドラマとして重要でない小難しい部分を敢えて描いている箇所が混在する。
そして、前述のように、スベっている “笑わせどころ” が随所に散りばめられているため、結果的に “わかりにくい” のだ。
"第1話"として、構造的に良く出来ているのは認めるが…
繰り返すが…
“ドラマ” として、それも連ドラの “第1話” として、構造的にそれなりに良く出来ているのは認める。
しかし、映像としてわかりやすく伝えることとは、同一ではない。
むしろ、『独占禁止法違反につながる恐れがあるもの』と公正取引委員会から目をつけられているテレビ局がつくる “ドラマ” なのだから、もっともっと丁寧に慎重に繊細に表現して良かったと思う。
30分も拡大した割には、どこをどう見れば「痛快爽快エンターテインメント」に見えるのか、つくり手に問うてみたい気持ちだ…
あとがき
公正取引委員会の立場が、思った以上に弱いことは伝わりました。
でも、そんな描写ばかりを描いていたら、一向にスカッと感とか痛快感とは無縁では?
せめて、一話完結で終われば、スッキリしたと思います。
早速、継続視聴に黄色信号が点滅です…
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