安倍元首相の銃撃事件報道の無意味な演出 ※銃撃映像の"ながら見"や"繰り返し視聴"にはご注意を!
週明けになっても、ワイドショー等の事件を扱うコーナーで、惨劇の映像を繰り返し放送する演出が多用されています。
是非とも、銃撃映像の “ながら見” や “繰り返し視聴” にはご注意をください!
ということで、苦しんでおられる旨のコメントを頂いたので、また上部に表示します。

事件報道から三日経過しても、まだ心が落ち着きません…
7月8日(金)の昼間、安倍晋三元首相が奈良市内で演説中に銃で撃たれ、その日の夕刻、搬送先の病院で死亡が確認された事件で、世界中に動揺が広がっています。
私、安倍元首相とは二度だけお会いしたことがあります。いずれも第二次安倍内閣時代。
某ホテルで私が総合演出を担当させていただいた ある祝賀晩餐会の来賓として出席いただいた際、本番直前でのブリーフィング(簡潔な状況説明や事前説明)でお話させていただいた程度ですが。
それでも、私にとっては、年に一度あるかないかのVIPプロトコール(国際的な公式儀礼や接遇)対象のご宴席の記憶なので、鮮明に覚えております。
そんなわけで、事件報道から三日経過しておりますが、まだ心が落ち着きません。
銃撃事件報道に於ける繰り返される"無意味な演出"について
従いまして、安倍元首相の功績や功罪についてや、今回の銃撃事件そのものには触れるつもりはありません。
しかし、この度の安倍元首相の銃撃事件報道に於ける、繰り返される “無意味な演出” について、演出を語る当ブログなりに、ちょっと語りたいと思います。
惨劇の映像を繰り返し放送する演出
テレビやSNSなどで、安倍元首相が銃撃を受け、流血する映像や写真などを何度も目にした人は少なくないと思います。
こうした惨事報道に連日触れることは、人々に、深刻で長期的な心理的影響を与えることが専門家によって指摘されています。
そこで、是非とも、惨劇の報道に触れる機会は、大人ならご自身で、お子さんには大人たちが制御した方が良いと思います。
その理由は、一般社団法人「日本トラウマティック・ストレス学会」が公開する資料「惨事報道の視聴とメンタルヘルス」(PDF:81.9 KB)で、心を守るために注意したい点を、成人向け・子ども向けにわかりやすく紹介さています。
ここでは、要点だけを抽出して、転記します。
▼成人・子どもが注意すること
・惨事報道の刺激は必要最小限にする
惨事報道に接した量と心理的反応が比例することが知られています
・同じ内容の惨事報道を繰り返し見ないようにする
繰り返しの視聴は、ストレス反応を高めることが知られています
・「ながら見」は控える
ながら見で不用意に惨事報道にさらされて、過剰な刺激となるリスクがあります
▼子どもに対して注意すること
・子どもの年齢と発達を考えて、惨事報道との距離の取り方を決める
子どもは、成人と比べて、安全・安心への不安がより高くなります
・子どもの惨事報道の視聴時間を親が制限する
頻回の視聴は、ストレス症状を高めることが知られています
・子どもが、トラウマティックな内容に不用意に曝されないようにする
子どもの年齢と発達に応じて、大人が管理し、衝撃的な内容が子どもの目に触れないようにしましょう
影響を受けるのは、成人だけではなく、子どもも同様です。
どうぞ、皆さんで注意しようではありませんか。
ダラダラ見ずに、録画しながら「追い掛け再生」でチェック
ここからが、本質です。
この3日間の安倍元首相の襲撃事件の報道を見て感じた “無意味な演出” に語ろうと思います。
ここまで読んだ読者さまの中には、「見たくなければ、見なけりゃいいのに」と思う人がいると思います。
確かに、この投稿の冒頭でも書いたように、惨劇の報道は出来るだけ見ない方が良いに決まっています。
ただ、このようなドラマや映画の演出に拘ったブログを運営している私ですから…
テレビがどんな報道をしているのか? どんな演出をしているのか?
見ておきたい、知っておきたい。
そして改めて欲しいこと発信したい… と、思うのです。
ですから、ダラダラと見ないために、録画しながら「追い掛け再生」することで、ざっくりと全体像を見つつ、気になった部分だけじっくり見ることにしていました。
そんな中で気になったのが、下記の3つの演出です。
何でもかんでも実況中継する演出
最初に気になったのは、何でもかんでも実況中継する演出です。
事件当日8日(金)の昼頃には、実況中継が始まっていました。
安倍元首相の自宅前からの中継で…
「12時25分、安倍氏の妻、昭恵氏を乗せた車両が自宅を出発しました」
と、報道したり…
「岸田文雄首相は遊説取りやめ山形県からヘリで急きょ帰京。午後2時30分、官邸に到着」
と、ヘリコプターを飛ばして、生中継するテレビ局までありました。
まだ、岸田首相が官邸に戻ってきた時間帯では、狙撃犯が単独犯なのか、犯罪組織や集団で次が起こるかも知れない可能性が十分あるのに。
国のトップ、総理大臣の行動をヘリまで動員して逐次中継してましたよね。
しかも、官邸の屋上にあるヘリからの出入り口の位置まで見せるとか。
国際テロ組織が背後で関わっている可能性だって視野に入れる必要だってあるわけですし。
首相の緊急事態での言動や、官邸や周辺組織の動きは日本の国家機密に関わる案件なのに。
コンサートで歌手が楽屋からステージに上がるまでを生配信でもしているようなノリで中継する意味がわかりません…
取材陣が自宅前に殺到する演出
報道特番などで、下記のような取材陣が安倍元首相のご自宅に殺到する中で、記者がこれ見よがしにレポートした映像をご覧になったと思います。
「東京都渋谷区の安倍氏の自宅前には多くの報道陣が詰めかけ、様子をうかがっています。それから警戒を高めているこういった現状です」
「弔問に訪れた○○さんが集まった報道陣の前に姿を見せた際には、手にしたハンカチを目元にあて、涙をぬぐうようなしぐさを見せました」
そもそも、安倍元首相が銃撃されたのは奈良県で、自宅は東京。
もう、この時点で安倍元首相の自宅に押し寄せる意味がないのです。
そして、自宅の状況を常に生中継することに、何の意味があるのか?
視聴者のどれだけの人数が「誰が、最初に弔問に来たのか気になってしょうがない」なんて思っているのでしょうか?
芸能人が亡くなると、死因はどうであれ、報道陣が自宅に詰め掛けます。
そして、いつも、家族や近所の人たちに迷惑をかけては、「今後は改めます」と謝罪して繰り返していることは、ご存知の通りです。
要するに、テレビの中の人たちは、全く凝りていないってことです。
街の人に突然インタビューする演出
最後に呆れたのは、事件直後の事件現場での通行人の人への街頭インタビューです。
事件直後の現場にアナウンサーや記者が飛んで行って、通行人の足をわざわざ止めて、次のような “わかり切ったやり取り” を収録、編集して垂れ流す…
テレビ「安倍元首相が撃たれて意識不明なのですが
どう思いますか?」
街の声A「どうか、命はとりとめて欲しいです…」 街の声B「本当に許せません!」
街の声C「私の住んでいる街で信じられません…」
皆さまは、気づいておられるかわかりませんが…
テレビ(テレビをつくっている人たち)には、“人の気持ちや感情” を撮影して放送したがる “特質” があります。
簡単にいうと、テレビは他人の感情を見せたがる特性があるのです。
このことは、報道番組や情報番組に限りません。
バラエティー番組に於ける “ドッキリ” とか、食レポや旅番組に於ける “ビックリ” も、構造は一緒です。
テレビの中の “ドッキリ” や “ビックリ” を見せることが “テレビ” だと勘違いしているのです。
まあ、最近はこんな思考回路でしか番組をつくらないから、似たり寄ったりの番組しかないのですが。
そして、拡大解釈するならば、テレビの中の “ドッキリ” や “ビックリ” を見せることが、テレビだと勘違いしていることは、テレビドラマにも浸食してきています。
視聴者を感動や感心させるのでなく、ドラマの中で騒動をつくって登場人物たちが “ドッキリ” や “ビックリ” をやってるだけの作品がなんと多いことか?
このことについては、別の機会に掘り下げます…
まだ、芸能人とテレビとのお約束事で、例えば街頭インタビューで、「○○さんと○○さんが婚約したんですよ!?」、「えっ、ビックリ!」なら、私の見ていない所でやっていれば、こちらに害はないですが…
人が撃たれて生死を彷徨っている段階や、お亡くなりになった現実を素材にして、“ドッキリ” や “ビックリ” まがいの演出をやるのは、もはや卑劣な放送と言いたくなります。
生きていく上で本質的にはテレビなんて無くても困らない!
このブログを運営している私が言うのも変ですが、生きていく上で本質的にはテレビなんて無くても困らないのです。
私にとっては、あくまでも数ある情報発信するメディアの一つでしかないのです。
別に、テレビが常に安倍元首相の状況や、世間の反応を映したからって、安倍元首相の容態が良くなるわけでもないですし。
むしろ、二次的な事件の発生を抑止したり、世間を無駄に騒がせないためにも、必要最小限の情報提供で良いと思います。
だって。それこそ、安倍元首相のご家族や、近しい関係の人は、テレビ報道が無くても、事実は知っているわけですから。
私たちが事実を知るのは、半日後でも翌日でも良いわけです。銃を持ったまま容疑者が事件現場から逃亡したというなら話は別ですが。
それこそ、参院選の投票日が目前の時期だったのですから、それはそれとして、マスコミとしてやるべきは、日本国民一人ひとりに “今こそ” 投票行動による政治参加を訴えるべきだったと思います。
あとがき
結局、事件が発生すると、「この案件は、どう放送するべきか?」を議論せずに、いつも通りの条件反射や癖で、取材から放送まで一気に進んでしまうんでしょうね。
だから、反省も、改善も無い。
そして、こういうのを垂れ流し続けるから、炎上系ユーチューバーや迷惑系ユーチューバーがあとを絶たないのでは?
だって、こういうのを世間が欲しがっていると勘違いしてしまうし、簡単につくれることを学習しちゃうますから…
あとがき
報道にも演出は必要だと思います。
視聴者が興味をもって見てもらえるような工夫としての演出はあって然るべきだと思います。
でも、報道のあるべき姿や、報道すべき内容については、もっと頭を使って試行錯誤する必要があると思います。
最後に…
安倍晋三元首相に、謹んで哀悼の意を表します。
この記事のコメント欄は閉鎖します。
Web拍手へのコメントへの返信も、私の判断で行います(謝)
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