連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第13週/土曜日版・2022/7/9) 感想 ※「女性の時代/ズボンをはいた女の子」についても…

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
公式リンク:Website、Twitter、Instagram
第13週『黒砂糖のキッス』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)と酒を交わすうちに、和彦(宮沢氷魚)への恋心を自覚する。生まれて初めての感情に、仕事ができなくなるほど振り回される暢子。しかし、フォンターナで起こるとある大事件をきっかけに、暢子の中で何かが変わり始める。一方で、和彦と愛(飯豊まりえ)の縁談は進んでいき、関係にも変化が…。智(前田公輝)は事業独立を機に暢子に改めて気持ちをぶつけて…。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3,6,10週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5,7,12週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん) 第8,13週
大野陽平(過去作/Eテレドラマ「あやとり」脚本兼、ここは今から倫理です。) 第9週
田中陽児(過去作/きれいのくに、麒麟がくる 総集編) 第11週
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
「週5放送の本編」と「土曜日版」を勝手に比較してみる…
ハイサイ~ 皆さん、管理人の “みっきー” です!
この感想を読んで下さっている読者さまの多くは、「週5放送の本編」と「土曜日版」の両方を見てから、読んで下さっていると推測して…
今回の感想は、勝手に双方を比較することで、今作が描こうとしていることや、本当は描きたかったことや、失敗したことなどを深掘りしてみる。
「週5放送の本編」と「土曜日版」では、主題が全く異なる!
まず、双方を比較してわかったのは、「週5放送の本編」と「土曜日版」では、主題が全く異なることだ(驚)
「週5放送の本編」は、暢子(黒島結菜)の初恋で仕事が疎かになるものの、憧れの人・房子(原田美枝子)が凜々(りり)しく働く姿を見て、今自分頑張るべきなのは仕事だと認識する「ヒロインのステップアップの話」だった。
しかし、今回の「土曜日版」では、愛(飯豊まりえ)が、やりたい仕事を選ぶか、親のプッシュに押されるがままに結婚するべきかを悩む「女性脇役の人生の分岐点に主人公が影響を与える話」に “すり替え” られていた(笑)
具体的に、どこが作為ある編集になっていたのか?
具体的に、どこが作為ある編集になっていたのかを、放送後に語るのも馬鹿馬鹿しいが。
プロの編集の技によって、どれだけ「同じ映像素材でも、違った内容にできるのか?」のお勉強になると思うから、少しだけ書いてみる。
まず、明らかにわかるのは、暢子の初恋の心情描写がバッサリと削除されている。
どちらかと言うと、暢子の立場から「恋より仕事」と見えるように、最小限の描写だけ残した感じだ。
これに伴って、和彦(宮沢氷魚)の暢子への過剰に意識を向けている描写も減らしている。
そのために、結果的に残った “愛の仕事と結婚” だけが強調されたわけだ。
褒めてはいないが、プロならではの作為的な編集があった
そして、決して褒めてはいないが、プロならではの作為的な編集があった。
それは、愛が暢子に「仕事 or 結婚?」の相談に来たくだりにあった、暢子が房子の働く姿を見て目標を定めたエピソードを盛り込むことで、巧みに、暢子と愛が “ちむどんどん” することを “見つけた” ように編集されていたのだ。
当然、その中には、男性社会で働く女性ならではの悩みである、「女だから…」も内包されている。
更に、巧妙なのは、良子(川口春奈)と石川博夫(山田裕貴)のやり取りの使い方だ。
「週5放送の本編」では、唐突に盛り込まれた感じで終わったが、「土曜日版」では脚本家の本来の意図が、ちょっと見えたのだ。
それは、トラブルがもとで “ちむどんどん” することを見つけることが出来た… というフォーマットが重なっているように見えたこと。
「房子 → 男子児童」、「暢子 → 博夫」、「愛 → 良子」に、それぞれリンクしているとは思えないだろうか?
「職場でトラブル発生」したの受けて、「本当に自分が “ちむどんどん” するもの見つけた人」がいて、「その人の言葉を聞いて “ちむどんどん” するものに気づく人」という構造だ。
この2つのシチュエーションで「ちむどんどん」という単語が連呼されることから、脚本家が意図的に作品タイトルを入れ込んだ、強調したいシーンではあることは、ほぼ間違いないはずだ。
本来、脚本家が描きたかったのは「土曜日版」だと思う…
従って、あくまでも想像の域を出ないが、本来は、脚本家が描きたかったのは「土曜日版」なのだ。
しかし、今週の演出担当が解釈を間違えた。そのことが、あとからわかったから、「土曜日版」で、すっとぼけて “すり替え” たのだと思う。
もしも、私の推測が正しければ、あろうことか、今週の演出家は、まだ “すり替え忘れ” をしていることに気づいていない節がある。
それが、沖縄料理居酒屋「あまゆ」で、暢子が包丁で指をけがした時に、暢子と和彦が見つめ合う場面でわかる。
このシーンのカット割りを分析すると、次のようになる…
「まな板と包丁のアップ」→「暢子と和彦のツーショット(引き)」→「暢子と和彦のツーショット(アップ)」→「和彦を見つめる暢子のアップ」までは許容範囲。
しかし、この直後の「和彦が暢子を見つめるアップ」が不要なのだ。
なぜ、この1カットが不要で、“すり替え忘れ” なのか?
「本放送」では、≪暢子の横恋慕≫がメインだったから、「和彦を見つめる暢子のアップ」は、暢子の自意識過剰の描写の延長線上に存在できたから、おかしくなかったのだ。
しかし「土曜日版」は、≪愛の悩み≫がメインなのだから、「和彦を見つめる暢子のアップ」は、和彦が女たらし、女癖が悪い男に映ってしまうと思うのだ(苦笑)
途中に、歌子パートを挟んでも、大きな印象操作は不可能…
そして、視聴者に、その和彦の “女たらし” の印象を植え付けさせて引きずらせたまま、愛が仕事の相談を和彦たちにするシーンを繋げるから…
和彦がパンツルックの暢子を褒めた上で、愛の相談に親身になっていることが、奇妙に見えるし、和彦が裏表のある人間に見えてしまう。
これ、いくら途中に歌子(上白石萌歌)の三線のシーンを入れたって、払拭はできないのだ。
なぜなら、歌子のシーンは前述の、トラブルがもとで “ちむどんどん” することを見つけることが出来た… というフォーマットと明確に違うからだ。
和彦の描写の"曖昧さ"や"統一感の欠如"が、連ドラの流れを阻害している
結局、「土曜日版」を見て明らかになったのは、子ども時代から脈々と続いている「和彦というキャラクターの描写」の “曖昧さ” や “統一感の欠如” が、連ドラで重要な “自然な流れ” を大きく阻害していること。
もう、「子ども時代」の過ぎたことはしょうがない。
でも、最低限、大人版の和彦が恋人の愛と登場した時からは、和彦に “一貫性” が欲しかった。
それがないから、最後の海辺の愛ですら、暢子から恋人を取り戻して、シメシメ… って感じに見えてしまうのだ。
あとがき
先日も書いた通り、「土曜日版」では頑張って “軌道修正” しようとしているのは理解します。
でも、あの「本編」のレベルの映像では、編集でごまかすのも、これが限界のような気がしますよ。
それこそ、NGシーンを含めて、上手く編集するとかしないと。でも、それをダイジェスト版と呼んで良いのかという疑問もわきますし…
とにかく、自分で尻拭いできるように、映像素材は多めに撮影したらどうでしょうか(苦笑)
あとがき
ちょっと、面倒な感想ばかり書いてしまったので、ここでちょっとミーハーなお話をしますね。劇中で、愛が話していた「女性のパンツルックの話」関連です。
劇中は「1978年」ですが、世界的には既に「1976年」から、女性のパンツルック流行に於ける、女性の地位確立や向上が叫ばれていました。
その代表例が、こちら。

©CINEMORE
上が、1977年公開の映画『アニー・ホール』のダイアン・キートン(下手・左)のマスキュリンパンツ(女性が着る男性的なパンツ)姿。

©ABC
こちらは、1976年放送開始の米国人気ドラマ『チャーリーズエンジェル』の3人のパンツルック。
これらが、日本でヒットしたんですよね。40歳代後半ならご存知かもしれませんが…(笑)
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
※「胸がわくわくする気持ちにさせてください」の意味。
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【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8 9 10 土
第3週『悩めるサーターアンダギー』
11 12 13 14 15 土
第4週『青春ナポリタン』
16 17 18 19 20 土
第5週『フーチャンプルーの涙』
21 22> 23 24 25 土
第6週『はじまりのゴーヤーチャンプルー』
26 27 28 29 30 土
第7週『ソーミンチャンプルーvsペペロンチーノ』
31 32 33 34 35 土
第8週『再会のマルゲリータ』
36 37 38 39 40 土
第9週『てびち!てびち!てびち!!』
41 42 43 44 45 土
第10週『あの日、イカスミジューシー』
46 47 48 49 50 土
第11週『ポークとたまごと男と女』
51 52 53 54 55 土
第12週『古酒(くーす)交差点』
56 57 58 59 60 土
第13週『黒砂糖のキッス』
61 62 63 64 65
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