連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第12週/土曜日版・2022/7/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第12週『古酒(くーす)交差点』の「土曜日版」の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)と二ツ橋(髙嶋政伸)に見守られ順調に料理人として成長していた。沖縄のやんばる地域では、良子(川口春奈)と石川(山田裕貴)のふたりが、別居状態。夫婦の問題を抱えたまま和解することができずに過ごしていた。ある日、暢子はひょんなことから和彦(宮沢氷魚)と愛(飯豊まりえ)が、まもなく結婚するのでは、ということを知ってしまい、もやもやした今まで経験のない感情に襲われてしまう。
---上記のあらすじは[公式サイト]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3,6,10週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5,7,12週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん) 第8週
大野陽平(過去作/Eテレドラマ「あやとり」脚本兼、ここは今から倫理です。) 第9週
田中陽児(過去作/きれいのくに、麒麟がくる 総集編) 第11週
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
今回は、勇気を振り絞った "言い訳" を仕掛けてきたが…
ハイサイ~ 皆さん、管理人の “みっきー” です!
先日(6月21,22日)放送された特別編『前編 シークワーサーの少女』&『後編 別れの沖縄そば』や、先週の「土曜日版」から、単純な「ダイジェスト版」ではなくなった、1週間の総集編である「土曜日版」。
今週は先週以上に、つくり手たちが視聴者に「実は、こんな話にするつもりでした。記憶を修正してください」と言わんばかりの、あからさまな “印象操作” を仕掛けてきた。
これでも、まだ、今作を見捨てていない私だから、敢えて “印象操作” ではなく、勇気を振り絞った “言い訳” と解釈しておくが(苦笑)
恋愛感情の認識に、結婚願望までくっつけてきた!
では、どこを、どう、“印象操作” でなく “恥知らずの言い訳” を仕込んで来たのか、私なりの受け止めを書こうと思う。
まず、結論からいうと。
暢子の出番だけ繋げて、冒頭のナレーションにもあったように 《暢子に “初恋” と “結婚” のビッグウェーブが同時にやってきた現実》 を描いた1週間だった… と、言い訳したいようだ。
下記の3つ(人)を、同時に絡めたことに無理があり過ぎる!
そもそも、下記の3つ(人)を、同時に絡めたことに、無理があり過ぎるのだ。
●暢子(黒島結菜)が、和彦(宮沢氷魚)に抱いている感情が自分では “恋心” とは気づいていないとか。
●和彦が、一種のマリッジブルーなのか、子ども時代の知り合いってだけの暢子に “未練たらしい” とか。
●愛(飯豊まりえ)が、暢子の感情を察知して、それこそマリッジブルーになって暢子に対して “プチモンスター化” しているとか。
それこそ、主人公の “初恋ネタ” や “結婚ネタ” は、朝ドラの一種の “ご馳走” だ。だから、それぞれで各1週間を割いても良かったと思う。
いや、今週の展開なら、明らかに、分けた方が得策だったと思う。
まずは、まだ和彦が愛の両親から結婚を早めるように言われていない段階、例えば、「新聞社修行」の直後くらいに、和彦と一緒に仕事をする中で、暢子が和彦にこれまで感じたことのない感情に目覚める。
で、2週目で、愛の両親から結婚を急がされた和彦も、自分が何をしたら良いのかわからない暢子も “あたふた” するくらいで、ちょうど良かったのでは?
1週間単位でエピソードを "白紙状態" にしてしまうから…
まあ、それ以前に “連ドラ” として、大人版の和彦がどんな人間で、婚約者の愛がどんな人間なのか、今週のエピソードに入る前に、しっかりと説明しておく必要があったのだ。
しかし、今作は、本放送の感想にも何度も書いたように、1週間単位でエピソードを “白紙状態” にリセットしてしまう。
だから、この度のエピソードだけは「2週跨ぎ」の決断をして、1週目で説明、2週目で横恋慕にしたら良かったと思う。
でも、プロに対して大変失礼な物言いになってしまうが、今週担当の松園武大氏の演出では、脚本の雑さを補強・補完するのは無理だったと思う。
とにかく、今週だけでも、演出があちこち一貫性に乏しく、破綻している箇所が見受けられるからだ。
わかりやすい演出の破綻は、暢子と和彦の会話劇
では、その破綻しているように見えた演出について書いてみよう。
でも、特に今回で指摘したい演出は、文字だけで説明するのは、申し訳ないが、ほぼ不可能だ。
それを承知の上で、読んでいただければ嬉しいのだが…
わかりやすい演出の破綻は、暢子と和彦の会話劇だ。
「土曜日版」でも、序盤の沖縄料理居酒屋「あまゆ」。
和彦は暢子に好意を抱いて、愛はそっちのけで、ウキウキ… に見える。
中盤の「東洋新聞」。
和彦は、暢子を追い込んで、「好きだ」と言わせようとする男性心理が見える。
終盤の「あまゆ」近くの路上。
和彦は、愛と暢子に二股をかけていて、困っているように見える。
もちろん、「見える」だけだし、私の勝手な思い込みもある。
しかし、きっと、脚本に、そう書かれているから、演出家が宮沢氷魚さんに対して、“見える” ように演技をつけているのだ。
そうであっても、流石に1週間の中で、これだけ和彦が別人に描かれると、混乱するし、第一にわかりにくい。
前後がわからない状態で、脚本だけを頼りに撮影したかも…
アメリカを代表する映画監督、スタンリー・キューブリックは、俳優が役づくりをするのに有効な手法として、そして、アドリブで作品を膨らませる手法として、脚本の順番で撮影をする “順撮り” を採用していたことで有名だ。
しかし、昨今では、経費削減や、出演者のスケジュール調整、CGの多用によって、同じ場面の撮影をまとめて行うことが多くなった。
特に、朝ドラのような長期間の撮影や、撮影地があちこちに飛ぶ場合は、順撮りはほぼ不可能だ。
だから、「沖縄パート」、「鶴見パート」など、まとめて撮影しているはずだ。
でも、この手法を上手く進めるには、全部とは言わないが、撮影するシーンまでの脚本だけでも完成していないと、演出家も演技者も、前後の繋がりが見えないから、その場しのぎの場当たり的な演技をするしかない。
暢子の出番だけを選んで繋いだ「土曜日版」を見て、想像できるのは…
撮影順は決めかねるが、上記の3つの場面は、前後がわからない状態で、そのシーンの脚本だけを頼りに撮影したということだ。
だから、和彦の感情に一貫性や、自然な流れを感じ難いと思う。
出来るだけ引きの画を撮影せず、顔のアップでごまかす手法
でも、こんな撮影環境は、朝ドラだけでなく、他の連ドラでもよくやっていることだ。
そして、それらの連ドラの多くが、登場人物の感情の一貫性や、自然な流れを違和感なく演出する技法として利用しているのが、あまり褒められる手法ではないが、「出来るだけ引きの画を撮影せずに、顔のアップでごまかす手法」だ。
特に、演技が下手な俳優さんにとっては、絶大な効果を発揮する。
だって、「演技は全身で見せる」ものなのに、「顔でごまかす」わけだから(苦笑)
もちろん、顔のアップに、意味深なモノローグを加えれば最強だ(大苦笑)
○国ドラマがお得意の、顔○でドラマを引っ張っていく… あれだ。
「和彦の単独のシーン」「和彦だけの顔のアップ」が、ほぼ無い!
さて、話を今作に戻そう。
演出に興味がある人は、是非とも、「土曜日版」だけでも良いから、次の点に注意して見直して欲しい。
それは、「和彦の単独のシーン」や「和彦だけの顔のアップ」が、ほぼ無いこと。
和彦が “一人で” 自室で物憂げに思い悩むシーンや、その表情のアップ。
和彦が “一人で” 新聞社で机に向かって複雑な心境に苦慮するシーンや、顔のアップ。
こんなのがあれば、みんなと一緒の時は、いろいろと取り繕ってはいるが、一人になると苦慮している… ように見えるのだ。
そして、前述の通り、意味深なモノローグを入れたり、説明のナレーションを被せたりすれば、あっという間に完成してしまうのだ。
"いろんな表情のアップ" を貯金しておくのをお勧め!
ここ最近の今作の感想は、脚本のダメ出しが多かったが、今回は演出に特化して書いてみた。
その理由も、ちゃんとある。
それは、本放送の感想でも書いた通り、出演者の人の苦労が報われないのが気の毒で、同情してしまうからだ。
もう、脚本で立て直すのは、ほぼ不可能だ。
しかし、冒頭で書いた通り、追加ナレーションを含めた編集には、まだ期待しても良いと思う。
だから、もしも、この感想がNHKに届くなら、是非とも無駄になっても良いから、全ての登場人物たちの、あちこちで使い回せるフリー素材のような “いろんな表情のアップ” を貯金しておくのをお勧めしたい。
あとがき
今回の「土曜日版」、ジョン・カビラさんのナレーションも、ほぼアドリブなしで、原稿を読んでいる感じでしたね。
で、その原稿が、ダイジェスト版の補足になっていませんでした。ただの、先に繋げる水先案内人ってだけ。
きっと、まとめようがなかったんでしょうね。
とにかく、残り半分しかありません。後半戦は、より編集に力を入れて、ダメ脚本を再構築する勢いで、作り込んで欲しいです…
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
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【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
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第2週『別れの沖縄そば』
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第3週『悩めるサーターアンダギー』
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第11週『ポークとたまごと男と女』
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第12週『古酒(くーす)交差点』
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