連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第51回・2022/6/20) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第51回〔全120回〕/第11週『ポークとたまごと男と女』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)は房子(原田美枝子)のレストラン、フォンターナでシェフの二ツ橋(髙嶋政伸)に見守られ修行を続け、厨房の花形「ストーブ前」をこなせるまでに成長していた。そんなある日、二ツ橋が大けがをして入院するという大事件が起こる。二ツ橋を失った厨(ちゅう)房は大混乱。退院までの1か月、厨房の司令塔・シェフの役割を誰が代わりに担うのか。房子が二ツ橋と相談して選んだ「シェフ代行」は…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3,6,10週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5,7週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん) 第8週
大野陽平(過去作/Eテレドラマ「あやとり」脚本兼、ここは今から倫理です。) 第9週
田中陽児(過去作/きれいのくに、麒麟がくる 総集編) 第11週
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
お知らせとお願い
※今回の投稿では、スマホから読んで下さっている読者さんには、試験的に本文の各章の「見出しの文字の大きさ」をいつもより少し大きくしてあります。良かったら、感想などお聞かせ願えると嬉しいです。
いよいよ、7/1(金)で全体の「1/2」が終わってしまう…
石川県能登地方を震源とする地震により被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。
ハイサイ~ 皆さん、管理人の “みっきー” です!
いよいよ、今月末(正確には、7/1の金曜日)で全体の「1/2」が終わってしまう『ちむどんどん』。
それにしても、大きな期待はしていないのだが、週の始まりの月曜日から、この体たらくで始まるとテンションが駄々下がりだ。
今週の演出担当は、今作5人目、今作初担当の田中陽児氏
まず、クレジットを見なくても気付いた人はいるのではないだろうか?
今週の演出家が、これまで今作を担当してこなかった人で、若手の演出家であることに。
もちろん、プロの演出家に対して、偉そうに “若手の” なんて書くのは失礼だ。
それに、誰だって新人時代があって、それで切磋琢磨して一人前になるのだから、見守る必要があるのもわかっているつもりだ。
だから、私の演出能力の有無は別にして、ベテランの視聴者として、今週の演出担当・田中陽児氏の演出について、少し語ろうと思う。
アバンの1~4カット目の演出は頑張ったと思う…
私は、ドラマに於けるアバンタイトルの1カット目、2カット目は、演出家が視聴者に向けて差し出す “名刺” のようなものだと思っている。
映画なんか、特にそうだ。1カット目、2カット目に強烈な訴求力がない作品は、だいたい駄作なのだ。
なぜなら、自信をもって “名刺” を差し出さないダメ営業マンと同じだから。
だから、1カット目、2カット目を丁寧に作り込んでいる演出家は、意気込みを感じる。
その意味で、今回の1カット目、2カット目は意外と頑張ったと思う。
おいおい、今日のカット目、2カット目は料理のアップだけど… ?
そう、それだけで判断できる。いや、判断されるのが1カット目、2カット目なのだ。
1カット目、カメラは食べる人から見て左側の肩辺りから見ているアングルだ。 従って、画面の10時頃が食べる人の正面になる。
その位置を見て欲しい。皿にイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」の店のロゴが見える。
2カット目、カメラは食べる人から見て右側の肩辺りから見ているアングルだ。 従って、画面の14時頃が食べる人の正面になる。
その位置を見て欲しい。皿にイタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」の店のロゴが見える。
そう、この演出家は、3カット目(店内で食べている人たちの引きのカット)の前に、既に最初に登場した2皿が、1人の客の「アンパティスト(前菜)」と「プリモピアット(メイン前の料理)」ではなく、別のテーブルの客の、別のコース料理であることを示している。
更に、皿のロゴを客の正面にするという作法を、「アッラ・フォンターナ」はいつもやっていることを描いたのだ。
そして、よく見て欲しいのは、3カット目と4カット目。
3カット目で、テロップの「1997年」の位置にいる「3人の女性客」の料理が、2カット目の「ボロネーゼ(パスタ)」。
4カット目で、暢子(黒島結菜)に隠れる「4人の男女」の料理が、1カット目の「前菜」。ちなみに映像では、イカとアサリとほうれん草の軽い煮込み「インズィミーノ」に見えたが…(美味しそう)
ちゃんと、窓の外が明るいことを見せて、この店は、ランチタイムでもコース料理を頼む客が多い、それなりの高級店で、それなりの客が来る店だと、視聴者に提示しているのだ。
この冒頭の4カットだけを見ても、これまでの4人の演出家よりも、料理や店について、ちゃんと演出して見せようという気構えは伝わる。
主題歌前後の厨房の風景はできるだけ"引きの画"を使って…
また、主題歌前後の厨房の風景も、できるだけ “引きの画” を使って、料理人たちの連係プレイを見せようとしている。
実際の撮影では、湯気もあるし、料理(特に生肉や茹でもの)は刻々と色が変わってしまうから、本来は個別に撮影して繋げた方が効率が良い。
しかし、この演出家は、全体の “厨房の忙しさ” を描くことで、のちの “シェフ代行” の “重圧” に繋げようとしたのだと思う。この辺の選択は良いと思う。
二ツ橋には、部下たちに見せる顔と、見せたくない顔がある
そして、そのシェフである二ツ橋(高嶋政伸)が毎日抱えている “重圧” を上手く映像化したのが、2分過ぎのロッカールームのシーンだ。
視聴者には二ツ橋は背中を向けて座り、姿見に映った二ツ橋の難しい顔から、厨房での二ツ橋の自信に満ちたアップに直結。
これで、二ツ橋の部下たちに見せる顔と、見せたくない顔がある事が伝わる。
こうやって、ナレーションでは「シェフの役割」を説明して、映像では二ツ橋の内面を描くという、1つで2つのことを同時にやっている。
こういうのが映像表現だと言って良いと思う。
"ヒロインの覗き見のアップ"のカットを挿入しなかった!
また、これまで、あったかもしれないが…
3分過ぎ、閉店後の店の厨房の明かりを消した暢子が、パブリックスペースで二ツ橋が翌日の来客チェックをしているところへやってくるシーン。
ここは、1カットで描いた。別に、どうってことのないカットだが、1カットで見せることで、スタジオセットであるにもかかわらず、広さや奥行き感が表現できる。
2人の芝居が連動するから、厨房スタッフとしての “一体感” も出せる。
私がこのシーンで褒めたいのは、“朝ドラあるある” 的な “ヒロインの覗き見のアップ” のカットを挿入しなかったこと。
アップをインサートすると、暢子のアップ、暢子に気づく二ツ橋、二ツ橋に近づく暢子の3カットを入れないと繋がらない。
でも、入れなければ、今回のように “時短” できる。この辺も意図的にやっていると思う。
まあ、褒められる演出はこれくらいだろうか。
演出ではどうにもならないことがある
いや、演出ではどうにもならないことがある。
例えば、6分過ぎの沖縄の比嘉家。台所で夕食の準備をしている歌子(上白石萌歌)だ。ナレーションでは…
N「きちんと 家事をこなしています」
おいおい、あの包丁さばきで「きちんと?」ってことだ。流石に、「きちんと 家事をこなしています」には見えない(失笑)
メインの話が動き出すのが、10分過ぎなのは遅すぎる!
ここから、本格的な内容の感想だ。
とにかく、褒めるところが無い。それ位、圧倒的に脚本がダメ。これに尽きる!
今週の新規分として、話が動き出したのが、二ツ橋が遅刻していると騒ぎになっている厨房、なんと10分過ぎだ。
ありえん!
まあ、確かに一定の時間経過をしているから “状況説明” による変化を描きたいのはわかる。
しかし、毎度のように書いている通り、「四人の兄妹を同時並行で満遍なく描く作戦」の執行中だから、代わり映えしない “ネタ” であっても、四人の変化を描きたいのだから、しょうがないとは思う。
でも、流石に “ネタ” としても、変化しているのは歌子くらいで、賢秀(竜星涼)も良子(川口春奈)も呆れる位に “同じネタ” なのはいかがなものかと思う。
どうせ、「土曜日版」では、ほぼ削除されちゃうと思うから、別に8分近くも割いて描く必要だっただろうか?
そんなに放送尺に余裕があるなら、暢子が “シェフ代行” に相応しい努力と技術を持っていることを、時間経過で描けば良かったと思う。
N「暢子が フォンターナで働き始めて 6年目に入りました」
このナレーションは、それからでないと説得力がない!
従業員たちは、房子と暢子が親戚であることを知っている?
さて、読者の皆さんには、房子(原田美枝子)が暢子を “シェフ代行” を命じた際の、ホール・スタッフの山辺(阿岐之将一)や、料理人の矢作(井之脇海)らの態度が、どう映っただろうか?
私の印象では、従業員たちは、房子と暢子が親戚であることを知っているように見えたのだが…
いや、暢子の性格を鑑みれば、暢子が親戚であることを暴露している可能性が高いと思うのだ。
そう、あの暢子が黙っていられるわけがない… と。
それでなくても、私には、房子が暢子を “親戚だから” と目を掛けて、実力以上に徴用(=強制的にとりたてて使用すること)して、贔屓しているようにしか見えないのだ。
その上、贔屓目の事情を知っている従業員たちは、房子に反発どころか、意見すら言えない空気感。
これ、今なら完全に〇○ハラ案件では?
時代だから、ドラマだから、許容範囲ではあると思う。でも、老若男女が見る朝ドラとして決して褒められる展開ではないと思うが…
房子が、店を放り出して二ツ橋の見舞いに病院へ行った!?
しかし、今回の一連のエピソードで、最も不可解で気になったのは、ケガで入院したことを知った房子が、店を放り出して二ツ橋の見舞いに病院へ行ったことだ。
まさかや~!
だって、房子は次のように言ったのだ。
房子「私が指示を出すから とにかく 仕込み始めて」
房子「仕込み再開。
とにかく 今日一日 力を合わせて乗り切るしかない」
「仕込み再開」と指示を出しただけである(失笑)
それでなくても、先週、二ツ橋が急に退職を申し出た時、微動だにせず “秒” で了解していたのだ。
そりゃあ、オーナーとして心配させたくないとか理由はあったにせよ、房子が次のシェフが来るまで自分が “シェフ代行” を務めれば、味も担保できるし、カースト制度で厨房もしきれちゃうから、それはそれで良いと思っていた。
しかし、退職は秒で了解したのに、1か月の入院でジタバタするのは、流石に矛盾するし、連ドラとしてご都合主義すぎると思う。
もしかして、脚本協力の新井静流氏に全部書かせているか、更に数名の影武者を雇って書かせて、その上で羽原大介氏が最終チェックしていないのでは?と疑いたくもなる…
物語が"主人公の目標"を軸に動いていないから面白くない!
ここで、脚本に於ける物語の構成「三幕構成」について、ちょっと触れてみる。
皆さんが良くご存知なのは「起承転結」だと思う。
しかし、ハリウッド映画を中心に欧米では「三幕構成」が一般的。
詳しくは、下記の感想にめっちゃ丁寧に書いているので読んで欲しいのだが…
受付のジョー (第2話・2022/5/2) 感想
簡単に書くと…
「起承転結」と「三幕構成」の大きな違いは、「起承転結」が物語の “流れ” で観客を惹き付けようとする思惑が強いのに対して、「三幕構成」は、“主人公の目標” を重視して、観客を惹き付ける。
で、最近は多くの人が、映画や海外製のドラマにハマっていると思うが、それらの殆どが「三幕構成」なのだ。
だから、物語が “主人公の目標” を軸に動いた方が面白いと感じやすい。
それで考えると、今作では “主人公の目標” が、高校時代の「東京でコックさんになりたい」以降は、ほぼ描かれていない。
そして、あろうことか、“主人公の目標” は全て房子から週の前半に自動的に与えられ、週の後半で自動的に乗り越えてしまう。
だから、今作が面白いはずないのだ。
あとがき(その1)
暢子が与えられた仕事をちゃんとこなして、その上で高みを目指して日々努力していることを、丁寧に描く。
そして、暢子が、視聴者にとって、応援したくなるヒロインになっている。
この2つが、最低限できていれば、今回のエピソードだって、「あれだけ努力していたのだから、チャンスを貰えて当然」となり、決して “ヒロイン特権” とか “えこひいき” なんて感じなかったと思います。
結局、過程を端折り過ぎなのです。要するに、雑。
あとがき(その2)
銀座の名店のシェフが、出勤前に地元で海釣りするとか…
う~ん、私の知り合いの千葉県・南房総のちょっと有名なフレンチのオーベルジュのシェフは、以前に「精神統一になるから」と、出勤前に “ホテル近くの防波堤” で海釣りをしてましたけど。
また、今の整形外科治療でも、関節脱臼骨折なら片足でも手術になれば、術後1か月は入院になりますし。
それこそ、先週の「退職騒動」をやらずに、今週で「大洗の実家で父親が倒れたので、ひとまず2週間ほど実家に帰って、実家の洋食店と母の手伝いをしてやりたい」程度で良かったような…
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
※「胸がわくわくする気持ちにさせてください」の意味。
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【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8 9 10 土
第3週『悩めるサーターアンダギー』
11 12 13 14 15 土
第4週『青春ナポリタン』
16 17 18 19 20 土
第5週『フーチャンプルーの涙』
21 22> 23 24 25 土
第6週『はじまりのゴーヤーチャンプルー』
26 27 28 29 30 土
第7週『ソーミンチャンプルーvsペペロンチーノ』
31 32 33 34 35 土
第8週『再会のマルゲリータ』
36 37 38 39 40 土
第9週『てびち!てびち!てびち!!』
41 42 43 44 45 土
第10週『あの日、イカスミジューシー』
46 47 48 49 50 土
第11週『ポークとたまごと男と女』
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