正直不動産〔全10回〕 (第10話/最終回・2022/6/7) 感想

NHK総合・ドラマ10『正直不動産』
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第10話/最終回〔全10回〕『正直不動産、誕生』の感想。
なお、原作となった漫画:漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」は、既刊14巻(2022年3月現在)を既読。
また、本作は、2022年3月下旬に全話をクランクアップ(撮影終了)しているため、感想には要望などは基本的に書かずに、単純な感想のみとします。
ミネルヴァ不動産は登坂不動産を潰そうと、管理物件を奪い取る作戦に出る。両社の戦いが最終局面を迎える中、登坂不動産に起死回生の案件が浮上するが、またしてもミネルヴァ不動産の影がちらついていた。永瀬(山下智久)は‘正直営業’だけでは自社の窮地を救えないと思い、以前のようにうそをつけるようになりたいと願掛けをする。その時、突然、風が吹き…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」
脚本:根本ノンジ(過去作/監察医 朝顔1,2、相棒シリーズ、フルーツ宅配便、ハコヅメ)
演出:川村泰祐(過去作/闇金ウシジマくんシリーズ、ドS刑事、屋根裏の恋人) 第1,2,7,最終回
金澤友也(過去作/ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~) 第3,4,8回
野田健太(過去作/ギルティ~この恋は罪ですか?~) 第5,6,9回
音楽:佐橋俊彦(過去作/ちりとてちん、テミスの剣、集団左遷!!、行列の女神)
主題歌:小田和正「so far so good」
※原作は、既刊14巻(2022年3月現在)を既読ですが “内容に関するネタバレ” はありません。
最終回が、"あっという間"と同時に"まだ続くのか"…の理由
遂に、終わってしまった。
しかし、大満足だ。単純なことだが、面白いドラマは、時間が短く感じる。と、同時に、エンディングまで「まだ、あるのか!?」の連続でもある。
今作の最終回は、まさにこの2つを同時にやってのけた。
まず、毎度のように「1話完結」の面白さだ。2億円の相続物件にまつわる 相続者・平尾晴哉(星田英利)のエピソードだ。これを、最終回のベースに敷いている。
そして、その上に、これまで描かれて来た縦軸である登坂不動産とミネルヴァ不動産の対峙構造が乗っかる。
そして更に、今作のメインである、主人公・永瀬(山下智久)の人生エピソードが、ドカンと乗っかる。
普通なら、上の重しが重すぎて、ベースが潰れることがあるのだが。今作が上手くやったのは、ベースに相続物件とは別に、大口顧客である藤堂景勝(でんでん)の契約解除の案件を加えた。
それによって、例の第1話に登場した石田(山崎努)が現れ、2つの上物(うわもの)との接着剤になったのだ。
だから、“一難去って一難” でもあり、好転していく様は “渡りに船” で、面白かったと思う。
「情報提供料」と「口止め料」の使い分けが秀逸
また、今回も、上手く「伏線と回収」というまでもないが、上手くネタ振りが効果を発揮していた。
それは、序盤で鵤社長(高橋克典)が、老人の死の情報を「近隣のケアハウスに金を配ってる」と明かして、終盤では登坂社長に、解体業者がミネルヴァから口止め料をもらったと明かされたところ。
どちらも「お金を配って、利用する」のは同じだが、前者は “情報提供” で、後者は “秘密漏洩防止” をお金の目的が違う。
その上で更に、登坂社長が、持参した1,000万円の使い道を当初と替えて、事を丸く収めた。
この辺の脚本の仕掛けも上手いと思う。
ドラマで意外とやらないのが「神前の中央には立たない」
また、小さなことだが。中盤で、永瀬が神社で嘘がつけるように神前にお願いをする場面は、NHKらしく丁寧に演出されていた。
神社で礼拝する時は、諸説あるが一般的には「二拝二拍手一拝」だ。それは、民放でもよくやる事。また、神社の参道は神様が通るから真ん中を歩かない… のも、まあやっている。
しかし、意外とやらないのが「神前の中央には立たない」だ。
でも、NHKはちゃんとやる。例えば、前期の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』での安子や稔の拝礼シーンでは、神前の中央には立っていない。
こういう丁寧なつくり込みが、作品を品よくするのだ。
ラストの永瀬のタップは『雨に唄えば』のオマージュかも?
更に細かいことをいうと。恐らく、次のことは、ロケ現場での演出家か山下智久さんか、誰かのアドリブだと思うが。
ラスト付近で、雨降りの中、傘を差した永瀬が、後ろ向きで、ポンと高く飛んで両足をタップダンスのようにするカットがあった。
恐らく、1952年に公開されたアメリカのミュージカル映画の金字塔『雨に唄えば』のジーン・ケリーへのオマージュだと思う。
梅雨時の放送にピッタリの演技と演出だと思うし、今作の後味の良さを、更に清々しく軽快で明るい雰囲気にしたのは間違いない。
ネット記事では、意外に"マイナス評価"が多かった今作…
ご存知の方もいらっしゃると思うが。今作について、ネット記事では、意外なくらいにメディアによる “マイナス評価” が多かった。
「NHKのドラマは、民放の製作費の2~3倍だから、レギュラー以外のゲストも主役級を集められるから、演技派が揃って当然」に始まり。「山下智久のコメディの演技がハマっていない」とか「次期朝ドラヒロイン・福原遥のアニメ声にがっかりの声」みたいな。
でも、基本的にニュースメディアは、民放や商品スポンサーと一体化しているから、当然、裏番組の民放の視聴率や、今期の連ドラの話題がNHKに奪われるのは面白くない。
だから、マイナス評価” を垂れ流す。
従って、これだけ躍起になっていたことからも、今作の世間の多くの “プラス評価” が正しかったことの裏返しだと思う。
だから、NHKも静観しつつ、複数回にわたるイッキ見や「感謝祭」の放送に至ったのだと思う…
【緊急決定】ドラマ10「正直不動産」 最終話放送翌週6/14(火)『正直不動産 感謝祭』放送決定
http://dmesen.blog71.fc2.com/blog-entry-13441.htmlあとがき
当ブログは、今作を放送前からず~っと推して来ましたが。まさか、こんなに評判の高い、良いドラマになるとは思いませんでした。
もちろん、放送前のゴタゴタもあったので、放送自体も危ぶまれていたわけですし。
そんな中で、折角撮影された素材を何とか世に出したいというスタッフやキャストの思いで、全話放送が終了したわけです。
さぞ、編集は大変だったと思います。ただ、これがお蔵入りしてしまったとしたら、ドラマファンとしてこんなに残念なことは無かったわけで…
不動産のことを学びつつ、“言霊” のチカラを描き、何事にも正直に向き合うことの大切さを教えてくれたドラマでした。
原作も続いているので、続編を期待したいです。
下の照明器具は、永瀬のアパートの一室の壁に掛かっていた時計です。これで、あなたも “正直者” になれます!
原作:漫画・大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)「正直不動産」
脚本:根本ノンジ(過去作/監察医 朝顔1,2、相棒シリーズ、フルーツ宅配便、ハコヅメ)
演出:川村泰祐(過去作/闇金ウシジマくんシリーズ、ドS刑事、屋根裏の恋人) 第1,2,7,最終回
金澤友也(過去作/ラスト・ドクター~監察医アキタの検死報告~) 第3,4,8回
野田健太(過去作/ギルティ~この恋は罪ですか?~) 第5,6,9回
音楽:佐橋俊彦(過去作/ちりとてちん、テミスの剣、集団左遷!!、行列の女神)
主題歌:小田和正「so far so good」
※原作は、既刊14巻(2022年3月現在)を既読ですが “内容に関するネタバレ” はありません。
最終回が、"あっという間"と同時に"まだ続くのか"…の理由
遂に、終わってしまった。
しかし、大満足だ。単純なことだが、面白いドラマは、時間が短く感じる。と、同時に、エンディングまで「まだ、あるのか!?」の連続でもある。
今作の最終回は、まさにこの2つを同時にやってのけた。
まず、毎度のように「1話完結」の面白さだ。2億円の相続物件にまつわる 相続者・平尾晴哉(星田英利)のエピソードだ。これを、最終回のベースに敷いている。
そして、その上に、これまで描かれて来た縦軸である登坂不動産とミネルヴァ不動産の対峙構造が乗っかる。
そして更に、今作のメインである、主人公・永瀬(山下智久)の人生エピソードが、ドカンと乗っかる。
普通なら、上の重しが重すぎて、ベースが潰れることがあるのだが。今作が上手くやったのは、ベースに相続物件とは別に、大口顧客である藤堂景勝(でんでん)の契約解除の案件を加えた。
それによって、例の第1話に登場した石田(山崎努)が現れ、2つの上物(うわもの)との接着剤になったのだ。
だから、“一難去って一難” でもあり、好転していく様は “渡りに船” で、面白かったと思う。
「情報提供料」と「口止め料」の使い分けが秀逸
また、今回も、上手く「伏線と回収」というまでもないが、上手くネタ振りが効果を発揮していた。
それは、序盤で鵤社長(高橋克典)が、老人の死の情報を「近隣のケアハウスに金を配ってる」と明かして、終盤では登坂社長に、解体業者がミネルヴァから口止め料をもらったと明かされたところ。
どちらも「お金を配って、利用する」のは同じだが、前者は “情報提供” で、後者は “秘密漏洩防止” をお金の目的が違う。
その上で更に、登坂社長が、持参した1,000万円の使い道を当初と替えて、事を丸く収めた。
この辺の脚本の仕掛けも上手いと思う。
ドラマで意外とやらないのが「神前の中央には立たない」
また、小さなことだが。中盤で、永瀬が神社で嘘がつけるように神前にお願いをする場面は、NHKらしく丁寧に演出されていた。
神社で礼拝する時は、諸説あるが一般的には「二拝二拍手一拝」だ。それは、民放でもよくやる事。また、神社の参道は神様が通るから真ん中を歩かない… のも、まあやっている。
しかし、意外とやらないのが「神前の中央には立たない」だ。
でも、NHKはちゃんとやる。例えば、前期の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』での安子や稔の拝礼シーンでは、神前の中央には立っていない。
こういう丁寧なつくり込みが、作品を品よくするのだ。
ラストの永瀬のタップは『雨に唄えば』のオマージュかも?
更に細かいことをいうと。恐らく、次のことは、ロケ現場での演出家か山下智久さんか、誰かのアドリブだと思うが。
ラスト付近で、雨降りの中、傘を差した永瀬が、後ろ向きで、ポンと高く飛んで両足をタップダンスのようにするカットがあった。
恐らく、1952年に公開されたアメリカのミュージカル映画の金字塔『雨に唄えば』のジーン・ケリーへのオマージュだと思う。
梅雨時の放送にピッタリの演技と演出だと思うし、今作の後味の良さを、更に清々しく軽快で明るい雰囲気にしたのは間違いない。
ネット記事では、意外に"マイナス評価"が多かった今作…
ご存知の方もいらっしゃると思うが。今作について、ネット記事では、意外なくらいにメディアによる “マイナス評価” が多かった。
「NHKのドラマは、民放の製作費の2~3倍だから、レギュラー以外のゲストも主役級を集められるから、演技派が揃って当然」に始まり。「山下智久のコメディの演技がハマっていない」とか「次期朝ドラヒロイン・福原遥のアニメ声にがっかりの声」みたいな。
でも、基本的にニュースメディアは、民放や商品スポンサーと一体化しているから、当然、裏番組の民放の視聴率や、今期の連ドラの話題がNHKに奪われるのは面白くない。
だから、マイナス評価” を垂れ流す。
従って、これだけ躍起になっていたことからも、今作の世間の多くの “プラス評価” が正しかったことの裏返しだと思う。
だから、NHKも静観しつつ、複数回にわたるイッキ見や「感謝祭」の放送に至ったのだと思う…
【緊急決定】ドラマ10「正直不動産」 最終話放送翌週6/14(火)『正直不動産 感謝祭』放送決定
あとがき
当ブログは、今作を放送前からず~っと推して来ましたが。まさか、こんなに評判の高い、良いドラマになるとは思いませんでした。
もちろん、放送前のゴタゴタもあったので、放送自体も危ぶまれていたわけですし。
そんな中で、折角撮影された素材を何とか世に出したいというスタッフやキャストの思いで、全話放送が終了したわけです。
さぞ、編集は大変だったと思います。ただ、これがお蔵入りしてしまったとしたら、ドラマファンとしてこんなに残念なことは無かったわけで…
不動産のことを学びつつ、“言霊” のチカラを描き、何事にも正直に向き合うことの大切さを教えてくれたドラマでした。
原作も続いているので、続編を期待したいです。
下の照明器具は、永瀬のアパートの一室の壁に掛かっていた時計です。これで、あなたも “正直者” になれます!
コロナ禍で、未だ仕事が激減中です。
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★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16937/
【これまでの感想】
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