連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第36回・2022/5/30) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第36回〔全120回〕/第8週『再会のマルゲリータ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)が沖縄を出てから1年が経ち。右も左も分からない新人だった暢子も、ある程度仕事ができるようなっていた。だが、オーナーの房子(原田美枝子)から突然衝撃の通告を受ける。その内容は…。沖縄の実家では良子(川口春奈)が妊娠して間もなく出産を迎えそう。そして母・優子(仲間由紀恵)と暮らす歌子(上白石萌歌)は、誰にも言えないある秘密の想(おも)いを抱えていた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3,6週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5,7週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん) 第8週
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
演出が、初担当で、3人目の演出家に交代していた
アバンタイトルで、ふと気になったカット(アングル)があった。それは、料理、特に寸胴鍋を中途半端な上から撮影したカットがあったこと。
これまでも、まな板や鍋など、真上から撮影したカットはあったが、それこそ今放送中の月9ドラマ『元彼の遺言状』のような、完全な真上から左右シンメトリーなカットは無かった。
しかし、今回は文字通り “中途半端な上から撮影したカット” だ。
で、クレジットを確認したら、今作の演出は初担当で、3人目の演出家に交代していた。
別にカット割りなんて個性があって良いものだが、今作で重要な要素である “料理” くらいは、どのように撮影するのか、3人の演出家で統一して欲しかった。
それが、連ドラだから…
レストランの描写は"ありえん!"ことばかりの違和感だらけ
「1年6か月」、「もうすぐ2年」、時間経過するのは勝手だが。
とにかく、イタリアンレストラン「アッラ・フォンターナ」の描写は、“ありえん!” ことばかりの違和感だらけだ。
暢子は学習能力が乏しい設定…と言われたら、それまでだが
まず、困ったのは、映像が、暢子(黒島結菜)が1年半も働いていたように見えないこと。
あらすじには「ある程度仕事ができるようなっていた」と書いてあるが、嘘だ。
「ウチナーグチ(沖縄の方言のこと)」が抜けないのは “個性” だから別に良い。
しかし、その他の接客中の言葉遣い、厨房での仕事っぷり、オーナーへの態度など、全く1年半も働いていたように見えない。
バリバリ働けとか、しなやかに動けなんて要求しているのではない。
せめて、先週末(1年半前の設定)よりも、仕事を覚えて、態度も改めて、つま先だけでもコックたちの仲間入りのをしている暢子が見たかった。
まあ、暢子は学習能力が乏しい設定… と言われたら、それまでだが。
店の人たちは暢子に適切な指導や教育をしない設定なのか?
いやいや、上記のことより、もっと大きな違和感があるのだ。
それは、オーナーの房子(原田美枝子)を含めて、店の人たちが、暢子に、最低限の “客商売” はこなせるような、指導と教育をしてこなかったし、今もしていないようにしか見えないことだ。
別に、即戦力で働けるように「スパルタ指導を描け!」なんて無理を言っているのではない。
房子が偉そうに “客商売” というなら、ホールの出る暢子に、適切な指導と教育をする必要があるのではないかってこと。
そして、その指導と教育で、少しは暢子がマシに成長しているのを描くこと。
それが、連ドラで時間経過を描くことなのではないだろうか。そんな最低限のことも今作は描けないのか!
「この店は、命令ばかりで、指導も注意もしないのか…」
劇中は、昭和48年(1973年)だから、その当時は小学生だった私に、当時の高級レストランの厨房事情は、想像するしかないが。
奇しくも、明日5/31で解散するお笑いコンビの「ピスタチオ」のような喋り方の客・淀川春夫(本田博太郎)から質問された暢子の言動なんて、好意的に補完しようにも、指導や教育があったようには到底見えなかった。
何も指導や教育をしていないのに、「下がって」は流石に言い過ぎのような。
いくら「時代が時代」といったところで、当の本人が「客商売」を理由に叱り、クビにするなら、それ以前に最低限のことは教えるべきでは?
もちろん、これまでの店の描写から、オーナーは君主で、一方的に結論だけ従業員に伝えて、従業員は従うべし! が “店の掟” だとしても。
そう、要するに、“店の掟” はどうでも良いのだ。重要なのは、見た人が「この店は、命令ばかりで、指導も注意もしないのか…」と思ってしまうこと。
そして、その延長線上に「こんな店で認められて、どうするの?」と思い始めてしまうことなのだ。
そうなると、暢子がこの店で “一流のコック” になることが、何の意味があるのか? に繋がってしまう。
主人公に共感できず、応援できないのも、どうかと思うが。その主人公が人生を賭けて就職した店が、こんな感じだと更に「まさかよ(「嘘だろ」の沖縄方言)と思ってしまった…
店の人たちに、《暢子を育てたい》との思いがあるなら…
結局、どうして、「こんな店」に感じてしまうのか?
恐らく、原因は脚本だ。脚本の台詞、登場人物同士のやり取りに、血が通っていないのだ。
これは、房子の独裁政権を強調し過ぎているのも、大きな理由にはなるが。
独裁だろうが、オーナーに頭が上がらない従業員たちだろうが、《暢子を育てたい》との思いが、厳しい言葉の背景にあるなら、そのことをきちんと台詞に込めるべき。
そして、暢子の成長や変化も、暢子の台詞に込めるべき。
脚本が、あまりにも視聴者の好意的な脳内補完に頼り過ぎ!
これ、以前も書いたが、あまりにも視聴者の好意的な脳内補完に頼り過ぎ。
やはり、正しく脳内補完してもらうなら、正しい情報を台詞で提供しないと、間違った補完をしてしまうか、呆れてしまうだけ。
別に難しいことをしろだなんて思わないし、プロの脚本家先生に指導や教育をしようなんて、おこがましいから思わない。
でも、一視聴者として。《面白い朝ドラになって欲しい》との思いを込めれば。ちょっとした言葉遣いや言い回し、語尾の雰囲気を変えるだけで、ガラリと印象は変わると思う…
あとがき(その1)
なぜ、暢子の目標が「東京に行って 料理人になりたい。コックさんになりたい」から、「イタリアンのコックになりたい」に変わったのでしょう?
たまたまイタリア料理店に紹介で入ったから? だとしても、「イタリアンのコックになりたい」なら、ちょっとは自ら勉強しないのでしょうか?
勉強しないから、お客の質問にもしどろもどろに…
あとがき(その2)
まあ、どうせ、新聞社で下働きして、今度は、イタリアンではない店に「行きなさい!」って命令されて、あちこち渡り歩くのでしょうが。
腰を据えて修行することは無いのかなぁ。こういうところは、前作『カムカムエヴリバディ』の “和菓子” に拘った部分を評価しちゃいますね。
あとがき(その3)
にわかグルメが、うんちく書きま~す!
イタリアのパルマは、イタリア半島を長靴に例えると膝のすぐ下あたりの上の方で。プロシュートという生ハムの名産地で「美食の郷」と呼ばれている場所。
ナポリは、長靴の弁慶の泣き所の下あたりで。ナポリが「ピッツァ」名称の発祥の地とされ。
ナポリピッツァの代表「マルゲリータ」は、19世紀にイタリア王国のマルゲリータ王妃がナポリに来た時に、イタリア国旗の三色(トマトの赤、バジルの緑、モッツァレッラチーズの白)を模したピッツァをつくったのが由来。
店名「アッラ・フォンターナ(alla fontana)」とはイタリア語で、「噴水にて」、「泉のほとりで」の意味。
更に。ヘーゼルナッツのオイルの名産地は、長靴の膝小僧のあたり(北部)のピエモンテ州。当時のイタリア料理好きで、オリーブオイルをかける時に、ヘーゼルナッツオイルに替えると一層美味しくなることを知っているのは美食だという描写では?
更に更に。北イタリア・ピエモンテ州で収穫された、淡い褐色のヘーゼルナッツから作られているリキュールが「フランジェリコ(Frangelico) 」。
ミルク割りやオレンジジュース割り、ホットコーヒーに入れてホイップクリームを添えると「カフェ・ロワイヤル」より、やさしい味のホッとカクテルに…
まあ、以上のことくらいは、イタリア料理が好きなら今ならすぐに調べられます。当時でも、「コックになる」なら独学で勉強するでしょうし。
「客商売」というなら、店の人が暢子に教えるべきだと思いますが…
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
※「胸がわくわくする気持ちにさせてください」の意味。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16904/
【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8 9 10 土
第3週『悩めるサーターアンダギー』
11 12 13 14 15 土
第4週『青春ナポリタン』
16 17 18 19 20 土
第5週『フーチャンプルーの涙』
21 22> 23 24 25 土
第6週『はじまりのゴーヤーチャンプルー』
26 27 28 29 30 土
第7週『ソーミンチャンプルーvsペペロンチーノ』
31 32 33 34 35 土
第8週『再会のマルゲリータ』
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