元彼の遺言状 (第7話・2022/5/23) 感想

フジテレビ系・月9『元彼の遺言状』
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第7話『同時多発する不可解な事件…篠田がついに正体を明かす?』の感想。
痴漢容疑で拘束された津々井(浅野和之)が冤罪を訴え、麗子(綾瀬はるか)に弁護を依頼する。大手食品会社の案件を譲ると言われた麗子は勇んで先方に出向くが、相談内容は「社員食堂の毒入りシチューで死人が出る」という脅迫状に関するもの。社食の責任者・香澄(西山繭子)は休業を断固拒否していた。一方、痴漢事件の被害者の弁護士・若松(三浦誠己)が麗子を訪ねてくる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・新川帆立「元彼の遺言状」
脚本:杉原憲明(過去作/SUPER RICH、嘘から始まる恋) 第1,2,4,5,7話
小谷暢亮(過去作/闇の法執行人、DCU) 第3,6話
中園勇也(過去作/脚本協力「SUPER RICH」) 第4話
脚本協力:中園勇也(過去作/脚本協力「SUPER RICH」) 第1,2,5,6,7話
伊吹一(過去作/地上波ドラマ不明) 第1,2,5,6,7話
演出:鈴木雅之(過去作/ラジエーションハウス1,2、ショムニ、HERO、婚カツ!) 第1,5話
澤田鎌作(過去作/不毛地帯、監察医 朝顔、ナイト・ドクター) 第2,3,7話
西岡和宏(過去作/ルパンの娘2020、ラジエーションハウスII) 第4,6話
音楽:川井憲次(過去作/花燃ゆ、すべてがFになる、まんぷく)
こんなに"間"も"行間"もないと、ドラマとして面白味がない
今回の感想は、面白いと思った人は読まないでください!
プロの脚本家と演出家がつくってくださったドラマに対して、こんなことを言うのはどうかと思うが。
演出的に、最初のCMの8分半まで、全く “間(ま)” がない! で、脚本的には “行間” がない! 従って、ドラマとしての面白味がない! 以上。
息つく暇もないほどの大漁の台詞にうんざり…
まあ、良くもこんな完パケ(完成品=完全パッケージの略)に放送許可を出したものだ。
とにかく、冒頭から滝、いや豪雨のように押し寄せる大量の台詞。ホント、息つく暇もないとは、正にこのこと。
その上、案件が多い。比較的、頭の回転が速い朝に見たが、それでも正直苦痛との闘いだった。
脳内編集すれば、それなりに楽しめるが…
ただ、今作がお得意のウザい演出を、脳内で編集して削除して、削った部分に “間” を入れることで、それなりに楽しめたから、こうして感想を書くに至っているのだが…
ストーリーの全体像が視聴者へ正確に伝えるのが重要なのに
以前に今作の感想に書いたことだが。“謎解き” や “ミステリー” で重要なのは…
『【脚本プチ講座 第4弾】誤信念課題の「アイスクリーム課題」と、ドラマを「好意的な脳内補完」することの意外な関係』でも触れているが、ストーリーの全体像が視聴者や観客へ正確に伝わることなのだ。
それを、最も簡単にする方法。それは、提供する情報をできるだけ少なくして、洗練させて、誤解させないように工夫すること。これに尽きる。
名作と呼ばれるミステリーを思い出せばわかるはず。大量の容疑者がいても、時間軸の行き来が繰り返されても、事件と事件が連鎖しても、全容がわかりやすいのだ。
台詞が感情表現にはなっているが、説明になっていない!
しかし、今回では、本当に全体像がわかりにくい。その原因は、案件と情報を盛り込み過ぎなことが最大の理由だが、もう一つの大問題がある。
それは、登場人物たちによる “説明” の台詞が、全容をわかりやすくする “説明” になっていないこと。
台詞が “ネタ” に利用されて、わかりにくいのもある。ギャーギャーと騒いでいる印象が強すぎて、聞く気になれないのもある。
とにかく、登場人物たちの “感情表現” にはなっているが、物語の “説明” にはなっていないってこと。もしかすると、盛り込み過ぎよりも、こちらの方が致命的かも…
エピソードの取捨選択をするべきだった…
いずれにしても、台詞は脚本を書き始め、演出しないと “説明” になっているかどうかわからない。
だから、やはり、原作があるなら余計に、脚本を書き出す前に、エピソードの取捨選択をするべきだったと思う。
そして、必要な部分をしっかりと描き、余った尺に今作らしい部分を盛り込めば良かったのでは? 前回が良かっただけに、本当に残念でならない…
あとがき
前回と今回で、改めて脚本家と演出家のセンスや技術の差で、内容がガラリと変わってしまうことを、再認識しました。
やはり、脚本と演出は両輪なんですね。上手く噛み合って、初めてプロの仕事になる… ということだと思います。
やたらと、世間では視聴率がどうこうとか、出演者がああだのこうだの… と騒いでいるようですが。
綾瀬はるかさんを始め、演技力に定評があり、見守るファンがいる、この度の俳優陣だから、何とか現在の視聴率と注目度を保っているのだと思います。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16884/
【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話
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