連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第31回・2022/5/23) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第31回〔全120回〕/第7週『ソーミンチャンプルーVSペペロンチーノ』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)はレストランでの仕事始めから、厳しい連続勤務を言い渡された。秘めているが、オーナーの房子(原田美枝子)は、何か暢子に因縁があるようだ。シェフの二ツ橋(高島政伸)に心配されながら、暢子は絶対にくじけないと誓い働き始めるが…。沖縄では、姉・良子(川口春奈)が、友人の石川(山田裕貴)への想(おも)いがありながら、金吾(渡辺大知)から執拗な求婚を受け続けて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3,6週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5,7週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん)
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
今週の松園武大氏の演出は、細かい配慮に欠ける
今週の演出担当が、松園武大氏だとわかってガッカリ気分で始まった『ちむどんどん」の第7週。ホント、演出、特にカット割りと編集が雑で見ていてイラっとする。
例えば、主題歌明けのレストランのミーティングのシーン。料理長の二ツ橋(高嶋政伸)がスタッフに指示を出す場面で。ワインの提案のくだりがあった。
ワインをお客様に提案するのは、二ツ橋の隣にいたホール・スタッフの山辺(阿岐之将一)で、オフ(“画面に映っていないところで” の意味)で「はい」と答えている。しかし、実際の映像は、驚いた表情の暢子(黒島結菜)だ。
ここが変。だって、恐らく好意的に脳内補完をすれば、暢子は、開店前のミーティングで自分の知らない言葉が飛び交い、自分以外の全員がわかっている状況に驚いているはず。
で、調理スタッフが無表情なら山辺の「はい」を1カットだけインサート(挿入)して、暢子の驚きの顔をほうが、暢子の気持ちが伝わりやすいと思う。その上、暢子の大袈裟な動作に不快感を抱かせずに済んだはずだし。
こういう細かい配慮ができないのが、松園氏の演出なのだ。
1972年当時は、「10連勤」は特別でなかったとは思う
劇中は「1972年」だから、当時の「10連勤」が普通だったか知らないが。
少なくとも、「1982年」の映画業界の下っ端にとっては「10連勤」なんて “生ぬるい” と(私は)豪語していたから、恐らく、普通だっただろう。だから、重労働については、スルーできる。
素人の新人をパワハラしているように見えてしまう描写が…
だた、多くの人が見る “ドラマ”、視聴習慣で見ている人も多い “朝ドラ” の 《描写》 として…
ほぼズブの素人の新人をパワハラしているように見えてしまう “演出” や “演技指導” はいかがなものか? と思ってしまった。
恐らく演出家の演出意図は…
恐らく演出家の演出意図は、どんくさい暢子が銀座のレストランで上司や先輩に厳しく指導される中で、失敗を繰り返すも健気に頑張っている… 様子のつもりなのだろう。
しかし、上司や先輩が教わる場面もなし。一つひとつ指示を出している場面もない。いくつか細かい指示を出すカットはあったが。それでも、暢子は “コック” になるために入店したわけで。
この店が、接客サービスはホール・スタッフと厨房スタッフが行うなら。カトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなどの総称)やグラスの置き方、料理の出し方など、いわゆる “掟” があるわけで。その上、厨房とホールでは勝手も掟も違うだろうし。
その辺の “ルール” は、開店前に指導するなり、やりながら教える場面があった方が良かったのでは?
これでは、頑張っているより、パワハラに苦慮しているように見えてしまったのだが…
「まかない食」の時間も違和感だらけ
また、「まかない食」の時間も違和感だらけ。
「おかわり」のくだりの同僚たちの反応は、連勤の初日の感じだし…
その上、パワハラを超えて、差別では? と思ってしまったのが、暢子の言葉に対しての表現だ。ホールで接客中の方言がダメなら、厨房でもダメにしないと、ダブルスタンダードでは?
厨房では耳障りだから… が原因なら、パワハラと同時に差別だし。
その上、矢作(井之脇海)の勝手な言動を抑止もせず、暢子にアドバイスをしない二ツ橋って? だって、二ツ橋は暢子がナポリタンをイタリア料理でないこと知らないくらいの素人であるのを認識しているのだから。
「見せて教える」と「見て覚える」は、描くべきだった
まあ、今なら “パワハラ” でも、当時は “スパルタ指導” ということで、好意的に脳内補完しておくが。
でも、やはり解せないのは、いくら “スパルタ指導” だとしても、指導、教育の範疇ならば、最低限として、教える時は無言で良いから「見せて教える」と「見て覚える」は、描くべきだったと思う。
なぜなら、暢子の「見て覚える」という姿勢や態度から、暢子の決意や気合ややる気の “本気度” が伝わるはずだから。これでは、暢子がやられっ放しで、暢子の心情が見えて来ないのだ。
そんな状況で、今後の展開で、暢子が爆発して反旗を振りかざしても、ヤング大会の時のように、ただキーキー騒ぎ立てているだけに “また” 見えてしまうだけだと思うが…
房子と二ツ橋の意図は、わかりやすく描写すべきだった
多くの読者さんが気付いておられると思うが。皆さん、好意的に、房子(原田美枝子)や二ツ橋に、何らかの “真意” や “意図” があると期待して見たと思う。
だって、全く “真意” や “意図” がないようには描かれていないから。
でも、ドラマとして、朝ドラとして、もっとわかりやすく “真意” や “意図” を見せた方が良いと思う。
それでなくても、暢子の側も、指示や指導を待っているようには見えないし、分からないことを聞こうともしていないのだから。
演出の "伝え方" や "見せ方" が正しくない
これ、私が思うに、脚本も良くないが、最後の砦である演出の “伝え方” や “見せ方” が正しくないのだ。
ここは、暢子が必死になって、「この店で10連勤をクリアして、第一関門を通過するんだ!」という意思を見せないと。
そして、厨房の若い衆をギャフンと言わせて、房子や二ツ橋の “意図” を見せて、視聴者に “パワハラ描写” を納得させるべきだと思う。
これでは、ただただ「10連勤」を描いているだけ。わからないことは、わからぬまま、暢子はドタバタと働いているだけにしか見えない。
まあ、予告編を見た人なら「先がある」とスルー出来るかも知れないが(私は無視できないが)…
こんな平坦な「10連勤」なら…
普通をやって欲しいとは思わないが。普通なら「10連勤」の初日で大失敗するとか、毎日、何かしらのトラブルが発生して、暢子がピンチになるのでは?
で、それでも、二ツ橋は助け舟を出さずに、10日間が過ぎて、ようやく房子の真意がわかって、一件落着するのでは?
こんな平坦な「10連勤」なら、普通のドラマのように、日めくりカレンダーのアップで「1日目」から「10日目」まで、サクッと進めた方が良かったと思う。
終盤の5分を含めて、イライラするくらいに長すぎる15分間だった…
あとがき
先週末の感想に書きましたが。今作、完全に「出来事至上主義」になって来ていますね。要するに、“物語” を紡ぐつもりがなさそうってことです。
とにかく、今日なんて騒動も起こらないのですから。ただただ、暢子の周囲で起こる “出来事” を “四兄妹” について、えがいているだけ。
そこに、流れなんてない。箇条書きに出来事が並んでいくだけ。
これでは、『NHK朝ドラ『ちむどんどん』が「歴代ワースト4」低視聴率の危機!』とネットニュースに書かれてしまうのも、やむを得ないような…
単純に、見るもの、聞くものが、暢子にとって “お初” なのですから、失敗するだけで良かったと思います。
5/16(月)にご案内した【脚本プチ講座】の “第4弾” を今朝投稿しました。良かったら、暇な時に読んでみて下さい。ドラマや脚本の理解が、ちょっぴり深まるかも知れません…
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
※「胸がわくわくする気持ちにさせてください」の意味。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16882/
【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8 9 10 土
第3週『悩めるサーターアンダギー』
11 12 13 14 15 土
第4週『青春ナポリタン』
16 17 18 19 20 土
第5週『フーチャンプルーの涙』
21 22> 23 24 25 土
第6週『はじまりのゴーヤーチャンプルー』
26 27 28 29 30 土
第7週『ソーミンチャンプルーvsペペロンチーノ』
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