未来への10カウント (第6話・2022/5/19) 感想

テレビ朝日系・木曜ドラマ『未来への10カウント』
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第6話『亡き妻から宅配ピザ注文!? 俺の名を呼んでくれ...奇跡の再会!!』の感想。
桐沢(木村拓哉)はピザの配達先で遭遇した女性を見てうろたえる。一方、預かってもらった息子の圭太(川原瑛都)を桐沢の家に迎えに行った葵(満島ひかり)は、そこで史織(波瑠)の写真を目にする。ボクシング部では、転校してきた1年生の西条(村上虹郎)が生意気だが、実力があるため誰も強く出られない。2年生で同じ階級の友部(佐久本宝)も、勝ち目がないとおじけづく。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:福田靖(過去作/ガリレオ、DOCTORS~最強の名医・全シリーズ、龍馬伝、まんぷく)
演出:河合勇人(過去作/お兄ちゃんガチャ、黒崎くんの言いなりに…、Netflix「全裸監督」) 第1,2,5話
星野和成(過去作/ハゲタカ、SUITS/スーツ2、イチケイのカラス) 第3,4,6話
音楽:林ゆうき(過去作/DOCTORS~最強の名医、緊急取調室シリーズ、あさが来た)
主題歌:B'z「COMEBACK -愛しき破片-」
オープニングは、星野和成氏らしい「月9」っぽい演出!
冒頭の、桐沢(木村拓哉)が佐久間美鈴(波瑠)を始めて見てからメインタイトルまで(要するに “アバンタイトル”)、敢えて言うならアバン直後までを、ほぼ木村拓哉さんのどアップで大胆に構成した第6話の滑り出し。
クレジットを見ると、やはり、演出は星野和成氏だ。
なぜ「やはり」か? これ、冒頭を木村さんのどアップだけで構成するのは、大きな勝負だと思うのだ。だって、いろんな価値観の人がいるわけだから。
でも、このような主演俳優をしっかり推す、見せる、魅せるのがフジテレビの看板ドラマ枠『月9』の手法。それを、テレ朝でやったのだ。
これは、過去に『月9』枠の演出を担当し、ドラマ『アイムホーム』(2015年)では木村拓哉さんとタッグを組んだ仲だからこその信頼が生んだ演出ではないだろうか…
意外だったのは、美鈴に甲斐と折原も遭遇しちゃったこと
さて、本編の感想。前回のラストで思わせぶりに登場した史織・美鈴で、どれだけ引っ張るのかと思いきや…
まず、意外だったのは、序盤であっさりと、桐沢(木村拓哉)だけでなく、甲斐(安田顕)と折原葵(満島ひかり)まで “未知との遭遇” をさせたこと。
これによって、あっと言う間に三角関係、四角関係、五角関係… と拡大。これが、ドロドロしないのは、気づいているのが甲斐だけだから。
今回が全編、肩に力の入る展開だけに、このようなパートが入るのは悪くない。それに、史織で引っ張らなそうだから、これくらいに印象付けて、サクッと退場した方が、次回が「最終章」なら、その直前のアクセントとしても悪くない。
今回で良かったのは、大場麻琴校長の使い方と絡め方
今回で良かったのは、毎回書いているかも知れないが、大場麻琴校長(内田有紀)の使い方と絡め方だ。
まず、前回の試合からボクシング部に興味を持ち始めた大場校長が、連ドラしてパワーアップして登場していること。なにせ、次のような台詞を言うようになったくらいだから…
大場「いい加減 本気出して」
大場「桐沢さんには がっかりさせられたくないの」
大場校長によって"桐沢の変化"の描写に説得力が増す
大場校長の使い方が、秀逸なのは他にもある。
それは、連ドラ、ドラマとして描くべき重要な要素の一つである “主人公の変化” を表現するアイテムとして、正しく機能していることだ。
例えば、ドラマは、主人公が葛藤し、切磋琢磨し、仲間と協力して、変化し、次の次元に旅立つのを描くことだとしよう。その際に重要なのが、視聴者や観客に “主人公の変化” を表現し伝えること。
“今” から変化するのは、ドラマと同時に見ているから説得力がある。しかし、“過去” から “今” の変化は、主人公が語ったり、回想シーンを入れたりしても、それはあくまでも “説明” で、説得力に欠ける。
でも、主人公の過去を知る、大場校長や甲斐、芦屋賢三(柄本明)を上手く使って、桐沢と絡めることで変化が見えて、説得力が増す。
特に、連ドラの場合は、毎回の変化が小さいから、主人公の過去を知る脇役を上手く絡めることで、“繋がり” も出て来るのだ。
"スポ根ドラマ" として上手く作り込まれている
全体の印象は、“スポ根ドラマ” として上手く作り込まれていると思う。
若干、今の時代やご時世を考えると、○○ハラ? な感じは否めないが。ただ、本人たちが納得しているし、この “愛ある、ほぼスパルタ指導” を描かなければ、そもそも “スポ根ドラマ” をつくる意味がないし。
そう考えると、桐沢が自分を鍛える場面もあるし、桐沢が自分自身で変わろうとする意志があるのも伝わるし、部員たちも変わろうとしているから良いと思う。
いや、最近は(深夜ドラマでは、まだあるが)、このようなベタな “スポ根ドラマ” が少なくっているから、プライムタイムでのドラマとしては、貴重とも言えるし…
あとがき
テレ東の深夜ドラマでスポ根モノの『DIVE!!』(2021年)で、ダイビング選手を演じた、沖縄出身の佐久本宝さんに、大きな見せ場がありましたね。
それと、スポーツドラマ、青春ドラマの縁でいうと。史織の兄・井村和樹 役で登場した石黒賢さん。石黒さんといえば、大学のテニス部に集う若者の日常を描いた青春ドラマ『青が散る』(1983年)を思い出しました。
ドラマより、松田聖子さんが歌う主題歌「蒼いフォトグラフ」の有名ですが(笑)
とにかく、好みが分かれる作品だと思います。でも、私は、ドラマとして、スポ根モノとして、描くべきことはキッチリと描いていて好感が持てます。やはり、人間を描くというドラマの本質がブレないドラマは好きですし、応援したいです。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16872/
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