連続テレビ小説「ちむどんどん」〔全120回〕 (第24回・2022/5/12) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『ちむどんどん』
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第24回〔全120回〕/第5週『フーチャンプルーの涙』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
暢子(黒島結菜)がフーチャンプルーを作った、ある夜。暢子の卒業後の東京行きを巡り、母・優子(仲間由紀恵)が始めた議論は、思いもよらぬ展開を見せていく。姉の良子(川口春奈)も実は暢子の上京のためにお金を作って来ていて、言い出す機会を探っていた。だが議論の最中に、家を出て行った兄の賢秀(竜星涼)から、手紙が届く。それはその後の家族の運命を大きく変えていく内容だった…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:羽原大介(過去作/マッサン、昭和元禄落語心中、スパイラル~町工場の奇跡~)
脚本協力:新井静流(過去作/舞台「未来記の番人」)
演出:木村隆文(過去作/ひまわり、梅ちゃん先生、ごちそうさん、なつぞら) 第1,2,3週
松園武大(過去作/おひさま、とと姉ちゃん、半分、青い。、エール) 第4,5週
中野亮平(過去作/花子とアン、マッサン、あさが来た、べっぴんさん)
音楽:岡部啓一(過去作/真夜中のパン屋さん)
高田龍一(過去作/ドラマ劇伴無し)
帆足圭吾(過去作/真夜中のパン屋さん)
主題歌:三浦大知「燦燦」
語り:ジョン・カビラ
制作統括:小林大児(過去作/演出:ちゅらさん4、てっぱん、純と愛、CP:ミス・ジコチュー)
藤並英樹(過去作/演出:てっぱん、純と愛、CP:第3夜 転・コウ・生)
※敬称略
具志堅用高さんと、フーチャンプルーの「フー」に注目!
今朝の15分間を見終えて、感じたこと… 3つ。
●沖縄を舞台にした朝ドラ『ちゅらさん』に続いて今作でも、具志堅用高さんが見られて嬉しい!
●具志堅用高さんが出演する放送回で、ボクシングネタは悪くない!
●フーチャンプルーの「フー」は「麩」だけど、うちの近所の沖縄料理店では「フーイリチー」と言う!
感想、以上!
何もかもが稚拙で、在り得ない展開ばかりのような…
まあ、そうもいかないから、もう少し書いてみる。
とにかく、何もかもが「稚拙」の一言しか思い浮かばない。昭和の頃を描く『サザエさん』のようなアニメなどの作品で、家族が商店街のくじ引きで「旅行券一式」が当選して家族旅行をするよりも、在り得ない展開だ。
いや、こんなことなら、ヤング大会の料理対決の優勝賞品を「東京行きの片道切符」にした方が、ベタで納得できたのでは?
やはり"四兄妹を主人公同等に同時並行に描く"のは無理…
今回を見て再認識したのは、「四兄妹を主人公のように、同時並行に描くスタイル」が、現実的に無理ではないか… ということ。
とにかく、脚本も演出も、必要以上に「四兄妹」に見せ場を用意して、ご満悦のように描き続けている。出演者のファンや、そこに違和感を覚えない視聴者は、それで良いだろう。
しかし、本当にそれで良いのだろうか? ここまで、主人公の暢子(黒島結菜)が他のキャラと比べて埋没して良いのだろうか? そうしか、思えないのだが。
「全部を省略する」意味では "二つの意味を持つ自虐ネタ"
そんな数々の違和感を、今回の賢秀(竜星涼)からの手紙に「前略」を「全略」と書いてあったことに繋げて書いてみる。
因みに。副音声では「あんぜんのぜん」と解説があったが。視覚障がいの方に説明すると、手紙の冒頭に書く「まえを、りゃくす」と書く「前略」が、兄の手紙では「あんぜんの、ぜん」に「しょうりゃくの、りゃく」になっていたのです…
そして、私は思ったのだ。「全部を省略する」と言う意味では、脚本家や演出家の “二つの意味を持つ自虐ネタ” ではないのかと…
【自虐ネタ1】もっと全体の無駄を省略すべきだった…
まず、一つ目の意味の自虐ネタの意味は、もっと全体の無駄を省略すべきってこと。ストーリー、展開、脇役、演出などなど、無駄で不必要な部分を無くせば良かったのだ。例えば、分かり易いのが賢秀と歌子(上白石萌歌)の二人…
賢秀は幾度もトラブルを起こしては、比嘉家をピンチに陥れるキャラとして機能しているが、正直やりすぎ。これも、父・賢三(大森南朋)亡きあとに、(母は役立たずだから)賢秀の教育係的な脇役をつくって、事ある毎に指導させれば良いだけのこと。
それで、だんだん賢秀がまともになって、まずは暢子に先立って、東京で一花咲かせるなら納得できたのでは?
歌子については、既に下地響子(片桐はいり)という教育係がいるのだ。演出的に面白くしようとか、演出家が上白石萌歌さんの歌に惚れ込んで脚本家に出番を増やすように願い出て、演出も歌を強調したいのは分かるが、これも正直やりすぎなのだ。
ある程度やったら、今回の終盤でのアドバイスをやれば、とっくに終わったことなのだ。
暢子に至っては、子ども時代に東京に行くチャンスがあった
こう書いてしまうと、暢子も同じなのはお分かりだろう。
暢子に至っては、子ども時代に東京に行くチャンスがあったのだ。だから、ヒロインが後ろ髪を引かれる思いで上京すれば済んだ話なのだ。それを、7年の時間経過を挟んでダラダラと引っ張っただけ。
このように、無駄で不必要な部分を無くせば、サクッと進んで良かったと思う…
観客は、ストーリーに感動するのではく、ドラマに感動する
こう書くと、「紆余曲折が無いのでは?」と疑問を持たれる読者さんもいると思う。ここからが、二つ目の自虐ネタの真相だ。
紆余曲折が無い、その通りだ。しかし、「紆余曲折」とは、ただ、結末に至るまでの「道筋」ではなく、登場人物の苦悩や葛藤の様子を描くことだ。
勘違いして欲しくないのは、ストーリーとは “筋書き” であり、ドラマを進めるための道具に過ぎない。そして、ドラマとは「相克(対立・矛盾するものが互いに相手に勝とうと争うこと)」を通して “人間の本質” を描くことだということ。
だから、視聴者や観客は、ストーリーに感動するのではく、ドラマに感動することを分かって欲しい。
描くべき部分を端折って、無駄な紆余曲折で引っ張った…
それを前提に話せば。今作は、主人公・暢子の人物設定、特に夢や未来に繋がる設定を、家族との関係、比嘉家の日常を含めて、もっと丁寧に描く必要があったのだ。
なぜ、暢子は「東京で、西洋料理人になりたいと思ったのか?」を、見ている人が納得できるように描かなければならなかったのだ。
しかし、今作はそこを、ほぼ “全略(全部、省略)” したのだ。それだけでなく、前述の通りに、無駄で不必要な “紆余曲折” で引っ張った。
最初から、暢子を料理部の部長にしておけば良かっただけ…
では、どうすれば良かったのか? そんなの簡単だ。
例えば、謎の「7年の時間経過」をやった時に、既に暢子が料理部の部長で、地元では有名な「料理の才能がある女子高生」に仕立てておけば良かったのだ。陸上部と張り合える足の速さなんて必要ないし、就職先で悩む必要も無かったのだ。
地元の企業や飲食店から引っ張りダコ。でも、暢子の心の中には「沖縄本土復帰」を控えている時期だからこその “野望” に似た “夢” があって…
それで大会優勝を機に、「レストランで働きたい!東京に行って 料理人になりたい。コックさんになりたい」と、心の内に秘めていた夢を熱く語れば良かっただけと思う。
プロで通用するような腕前では無くて… という設定もアリ!
もちろん、ベタな展開が良ければ、料理の才能はあるけれど、プロで通用するような腕前では無くて… という設定もアリだ。
そして、比嘉家の家計のために、飲食関係ではなくお堅い就職先に行くしかないと、暢子が夢と現実のはざまで葛藤するのも良い。
ただ、今作でそれをやると、また無駄なトラブルや紆余曲折で時間を引き延ばす可能性があるから、ここはスッキリと、暢子が “うちなんちゅ(沖縄の人)としての誇り” を胸に上京して活躍するほうが、良かったような気がする…
あとがき
フィクションですから、細かい部分までツッコミを入れるつもりはありませんが。
今一つ共感できなかったのは、良子が暢子のためにした高額な給料の前借り金を、「あのお金は 取っておく」と言ったことと、その借金を歌子が良子に「自分のために使えば?」と使用目的の変更を提案したこと。
当時の沖縄の公務員の給料前借りに金利が設定されていたか調べても分かりませんでしたが、借金はすぐに返す… のが普通では? どうも、今作の借金に関する描写が安易で適当なのが気になります…
サクッと時間経過させて、「東京編」に進んで欲しいです。ただ、結局は、「一方、沖縄では…」と、やるんでしょうけど。
でも、私は今後 “ちむどんどん” させてくれると期待しています。期待していないと、こんなに(好き勝手ではありますが)改善案や期待感は書きません…
ちむどんどんさしみてぃくぃみそーれー
※「胸がわくわくする気持ちにさせてください」の意味。
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16842/
【これまでの感想】
第1週『シークワーサーの少女』
1 2 3 4 5 土
第2週『別れの沖縄そば』
6 7 8 9 10 土
第3週『悩めるサーターアンダギー』
11 12 13 14 15 土
第4週『青春ナポリタン』
16 17 18 19 20 土
第5週『フーチャンプルーの涙』
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