未来への10カウント (第4話/GW拡大スペシャル・2022/5/5) 感想

テレビ朝日系・木曜ドラマ『未来への10カウント』
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第4話/GW拡大スペシャル『リングの中心で、愛を叫ぶ!? 型破りな恋愛指導で、衝撃結末!!』の感想。
インターハイ予選を目前に控え、より一層気合いが入る松葉台高校ボクシング部内で、部長・伊庭(髙橋海人)と部員・玉乃井(坂東龍汰)による恋のバトルが勃発?部員たちの恋のお世話までしなければならず、コーチの桐沢(木村拓哉)は戸惑う。一方で桐沢と顧問・折原(満島ひかり)も、思わぬアクシデントから急接近…?そんな中、運命のインターハイ予選が開幕!伊庭の愛の告白と部活引退をかけた、最後の試合のゆくえは…?
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:福田靖(過去作/ガリレオ、DOCTORS~最強の名医・全シリーズ、龍馬伝、まんぷく)
演出:河合勇人(過去作/お兄ちゃんガチャ、黒崎くんの言いなりに…、Netflix「全裸監督」) 第1,2話
星野和成(過去作/ハゲタカ、SUITS/スーツ2、イチケイのカラス) 第3,4話
音楽:林ゆうき(過去作/DOCTORS~最強の名医、緊急取調室シリーズ、あさが来た)
主題歌:B'z「COMEBACK -愛しき破片-」
クライマックスシーンで「エイドリア~~~ン!」と叫ぶ!
この感想を読んで下さっている50歳以上の読者さんか、それなりの映画ファンなら、今回のクライマックスシーンを見て、心の中で次のように叫んだに違いない。
「エイドリア~~~ン!」
調べてみたら、ボクシング映画の金字塔である『ロッキー』が日本公開されたのが、1976年。今から46年も前のこと。しかし、坊主刈りで映画大好きなロックギター少年が銀座の映画館に観に行ったのは、つい先日のことのようだ。

©United Artists Corporation
「青春だねえ」と高校時代を思い出して見るのもいいものだ
というわけで、オジサンは昨夜興奮したのだ。
それに、「あなたとドラマを見ると解説が多くてうるさいからイヤ!」という妻と一緒にリアタイ視聴したのだが、序盤の部長・伊庭(髙橋海人)と部員・玉乃井(坂東龍汰)によるマネージャーの西山(吉柳咲良)を巡る恋のバトルが勃発したところから「青春だねえ」で意気投合! 何を隠そう、うちの夫婦は “高校時代の同級生同士” だから。
久し振りの直球勝負な高校生の恋バナに、ちょっと"萌え"た
さて、感想に移ろう。廃部騒動、東大受験、非常勤講師、生徒の父親のDV騒動と、毎回トラブル続きの今作に、ここで “恋バナ” を盛り込まなくても良いと思うが。
ただ、今作が一種の「サクセス・ストーリー」であるなら、「動機(づけ)」、「刺激、やる気」、「目標」を明確に提示することが、観客を巻き込んで共感させる大切な要素だから、決して間違っていない。
むしろ、「好きとか告白とか 俺 いつぶりだろう? 聞くの?」といった主人公・桐沢(木村拓哉)と同じ思いの人なら、久し振りの直球勝負な高校生の恋バナに、ちょっと “萌え” たのではないだろうか。
最近やたらと「謎解きドラマ」が増えている理由…
最近のドラマは、若年層の視聴者獲得を目指して創られていることはご存じのはず。そんな視聴ターゲットの若年層は、最近のドラマに、内容が何であっても “考察要素” を求める傾向があるそうだ。とにかく、あれこれ詮索して SNSで投稿し合って盛り上がりたいって欲求が。
だから、最近やたらと「謎解きドラマ」が増えているのだ。そんな視聴者層には今作は人気が無い。当然だ。だって “考察要素” が、ほぼゼロだから。予定調和で進んで、期待通りの結末になるのだから。
"考察要素"が無くても面白いドラマをつくることができる!
しかし、今回を見て思ったのだ。実は、つくり手たちの思惑は、“考察要素” が無くても面白いドラマをつくることができるという挑戦ではないかと。
なぜなら、前述の「エイドリア~~~ン!」だって、若い人は知らないだろうし。劇中の教師たちが「ダンッ ダダンッ!」を連呼して楽しんでいたのが、1986年に角刈りの男らしい風貌でデビューし、『玄界灘』が大ヒットした人気演歌歌手「段田男(だんだ だん)」さんへのオマージュなのは、もっと知らないはず。
『ロンバケ』『ラブジェネ』『HERO』では想像できなかった
でも、70年代、80年代を知る人たちも楽しめるドラマを、今の “キムタク” でつくろうという心意気が良いではないか。なぜなら、みんな知っているのだ。若き “キムタク” が演じていた主人公こそが、他のどのドラマの主人公よりも、在り得ない設定で、公私混同とか立場を超えて恋愛… をするキャラクターだったのだから(笑)
そんな木村拓哉さんが年齢を重ねて、今のそんな登場人物を「またかよ!」みたいに演じるなんて、『ロンバケ』、『ラブジェネ』、『HERO』の時には想像できなかったのだから。
大場校長とボクシング部の"関係性の描き方"が秀逸!
今回で良かった点は他にもある。その一つが、大場麻琴校長(内田有紀)のボクシング部への “関係性の描き方” だ。
これまでの木場校長は「反ボクシング部・反桐沢」の立場で、今一つドラマに存在はあっても、主軸であるボクシング部から距離を置くキャラだった。しかし、今回では「打倒 京明!」を御旗のもとに、次のように熱く語らせて、深く絡ませたのだ。
麻琴「あんなにお荷物だったボクシング部が
私を こんなきもちにさせてくれるなんてね…」
今回の絡ませ方が良いのは、今のボクシング部の “外部” のキャラクターとして、客観的にボクシング部と桐沢を見ることができ、描くことも出来るから。また、以前のボクシング部の “マネージャー” だから、ボクシングに賭ける情熱はあっただろうし、過去の桐沢との関係もきになるし、いろいろと今後の展開に使えるから。
やはり、主人公の変化を知る登場人物としても、父の影響もあってボクシングに思い入れのある登場人物としても、今回くらいに物語に関わって、食い込んでくるのが本来の正しい使い方のはず。その “カタチ” が整ったことも、今回のエピソードを描いた意味も価値もあると思う。
あとがき
ボクシングの試合のシーンの撮影は、さぞ大変だったと思います。リング上と客席をカメラが行き来するので、何度も同じシーンを別のカメラで撮影しなければなりませんから。その上、試合なので、練習風景の撮影よりもカットとカットの “繋がり” に違和感が生じないように演じなければいけないので、髙橋海人さんも大変だったと思います。
それで、対戦相手の朋桐学園高校ボクシング選手とコーチを演じた俳優さんも大変だなぁと思って調べてみると、意外なことが分かりました。対戦相手・束原和郎を演じたのが渡辺光さん(37)で、なんとボクシングのプロライセンスをお持ちだとのこと(情報源)。更に、コーチの谷六郎を演じたのが渡部遼介さんで、趣味がキックボクシングとのこと(情報源)。
この辺のキャスティングも巧みに工夫されており、試合のシーンに見応えを添えてくれていたのだと思います。そして、ボクシングのシーンをきっちり作り込んで魅せるところに、今作の本気を感じました。
木村拓哉さんも本当のコーチの貫禄が出てきましたし、髙橋海人さん始め部員たち役の俳優さんたちもいい感じ。この調子で、ベタな青春ドラマを魅せて欲しいです!
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16815/
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