元彼の遺言状 (第4話・2022/5/2) 感想

フジテレビ系・月9『元彼の遺言状』
公式リンク:Website、twitter、Instagram
第4話『超人気作家の激白! しかし、新たに実行犯を名乗る人物が現れ…』の感想。
篠田(大泉洋)が敬愛するミステリー作家の秦野(宮田早苗)が13年ぶりにシリーズの新作を発表。その記者会見の場で、秦野は突然「人を殺した」と発言し、告げた住所から住人の男性が遺体で発見される。一方、男性の妻も、自分が殺害したと自首してきた。麗子(綾瀬はるか)は、秦野の新作を無事に出版させることで版元の出版社の顧問弁護士の座に就こうと画策。篠田と出版社へ赴く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:小説・新川帆立「元彼の遺言状」
脚本:杉原憲明(過去作/SUPER RICH、嘘から始まる恋) 第1,2,4話
小谷暢亮(過去作/闇の法執行人、DCU) 第3話
中園勇也(過去作/脚本協力「SUPER RICH」) 第4話
脚本協力:中園勇也(過去作/脚本協力「SUPER RICH」) 第1,2話
伊吹一(過去作/地上波ドラマ不明) 第1,2話
演出:鈴木雅之(過去作/ラジエーションハウス1,2、ショムニ、HERO、婚カツ!) 第1話
澤田鎌作(過去作/不毛地帯、監察医 朝顔、ナイト・ドクター) 第2,3話
西岡和宏(過去作/ルパンの娘2020、ラジエーションハウスII) 第4話
音楽:川井憲次(過去作/花燃ゆ、すべてがFになる、まんぷく)
大袈裟に表現すれば"ほぼ別のドラマ"と言っても良いかも…
冒頭の2カットのカメラアングルや構成で、何となく演出家が交代したのは予測できたが。その後を見ても、明らかに脚本も演出も、これまでの本作とは違った雰囲気。大袈裟に表現すれば “ほぼ別のドラマ” と言っても過言ではないくらいだ。その理由はちゃんとある。それが、下記の3つだ。
●主人公の “あくどさ” や “えげつなさ” が抑え気味に表現された
●篠田にも事件解決用の役割を与えて、麗子のバディとして描いた
●無駄を減らして、ミステリーを描くことが主軸になった
【1】単純に麗子の言動に対する嫌悪感が少なくなった
1つ目は、これまでは《ガツガツ系の麗子》と《おとぼけ系の篠田》のポンコツバディの “ミステリー風なドタバタコメディもどき” だった。しかし、今回は、麗子(綾瀬はるか)に少し人間味を加えた上に、主人公特権であちこちに首を突っ込ませて出番を作るあざとさも薄まったため、単純に麗子の言動に対する嫌悪感が少なくなったのだ。
【2】篠田に役割が与えられ、麗子と"互助"の関係になった
また、2つ目の篠田(大泉洋)については明らかに《おとぼけ系の篠田》から脱却させて、《ミステリーオタクの篠田》を作って、ミステリー音痴の麗子と差別化に成功。更に二人の役割が “互助” になっており、バディが活躍するドラマとして前進した。
【3】無駄な描写が減って、ミステリードラマらしく見えた
そして、今回で注目すべきは、3つ目だ。これまでの本作の感想に度々書いて来たことだが。これまでの今作では、圧倒的に雰囲気づくりや今作らしさの創出のための “無駄な描写” が多過ぎた。
その上、内容は視聴者置いてけぼり状態で、謎解きに必要な情報提供ばかりが先走っていたため、中盤には情報過多に陥って、ラストではごちゃ混ぜ状態を収拾するために、後出しジャンケンで強引に収束させた。そう、お世辞にも “ミステリードラマ” を楽しむような代物ではなかったのだ。
しかし、今回は上記の3点が大きく変わったため、好みはあるだろうが、私としては、連ドラとしても、単発ミステリーとしても、合格ラインぎりぎりセーフだったと思う。当然、設定も、トリックも、オチも、定番中の定番で、新鮮味には欠けるが。まあ、それが劇中の「使い古された…」と繋がっているのは、何とも皮肉だが…
脚本家と演出家の交代で、ここまで雰囲気が変わるか!
当ブログでは、脚本や演出について掘り下げているが、今回は久し振りに “脚本家と演出家” が交代するだけで、これほどに味わいの異なるドラマができるというのを再認識した。脚本は、第1、2話を担当した杉原憲明氏と、杉原氏と第1、2話の脚本協力をした中園勇也氏の二人体制。演出担当は今作は初担当の西岡和宏氏。
恐らく、今回のプロット(脚本の前段階の筋立てや構想のこと)作成と最終チェックが杉原氏で、実際の執筆が中園氏だろう。第1、2話での不満を第4話で解消しようとしたのではないだろうか。
演出の西岡氏は、過去の作品でも、例え群像劇でも個々の登場人物の魅力を掘り下げて、人物描写重視で物語を描く演出スタイル。正に、それが今回の脚本で功を奏したと思う。
あとがき
まだ、主人公が、調子に乗っているか、怒っているか、食べているかの3パターンなんですよね。原作縛りがあるとは思いますが、生身の人間が演じているので、もっと多面的なキャラクターにして、魅力的、いや綾瀬はるかさんに似合った “親しみやすい人” に再構築したら、作品全体の印象が良くなったかもしれませんね。
もちろん、過去の放送回に藤樹したキャラクターをのちに利用すると言う “縛り” があるようなので、無駄を削って、そう簡単にリニューアルは出来ないと思いますが…
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16801/
- 関連記事