未来への10カウント (第3話・2022/4/28) 感想

テレビ朝日系・木曜ドラマ『未来への10カウント』
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第3話『コーチ助けて...女子部員の危機!! 母の敵をKOせよ!?』の感想。
あかり(山田杏奈)がけんかで勝てるボクシングを教えてほしいと発言。練習中にはスパーリングがしたいと訴え、桐沢(木村拓哉)が断ると退部を申し出て立ち去った。葵(満島ひかり)はあかりの母・響子(吉沢梨絵)に復縁を迫る義父・今宮(袴田吉彦)の存在を知る。麻琴(内田有紀)が正規の教職員で対応すると言って桐沢をこの問題から排除する一方、ボクシングジムを営む甲斐(安田顕)から桐沢に連絡が入り…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:なし
脚本:福田靖(過去作/ガリレオ、DOCTORS~最強の名医・全シリーズ、龍馬伝、まんぷく)
演出:河合勇人(過去作/お兄ちゃんガチャ、黒崎くんの言いなりに…、Netflix「全裸監督」) 第1,2話
星野和成(過去作/ハゲタカ、SUITS/スーツ2、イtケイのカラス) 第3話
音楽:林ゆうき(過去作/DOCTORS~最強の名医、緊急取調室シリーズ、あさが来た)
主題歌:B'z「COMEBACK -愛しき破片-」
連ドラとして、「説明編」から「本質編」に移行か?
ドラマが好きで、演出の部分を楽しんでみている読者さんなら、エンド・クレジットを見なくても、今回の演出が前回までとは違ったことに序盤から気付いたはずだ。
例えば、体操部の顧問・坂巻勝夫(オラキオ)の腰に主人公・桐沢(木村拓哉)が湿布を貼るくだりが、落語の『時そば』のような “言葉遊び” になっており、そこを演出で更に落語風にコミカル仕立てで見せた。また、「甲斐ボクシングジム」の奥で桐沢と葵(満島ひかり)が消臭剤を介した “やり取り” もコント風に仕上げてあった。
前回までは、これらのようなクスッと笑えるような演出(脚本も同様だが)が排除されていたから、脚本家が演出家の交代を機に、連ドラとしての「説明編」から「本質編」に移行しようとしたように見えた。
描く要素は多いが俳優の丁寧な演技で説得力も納得感もある
内容は、スポ根モノ、学園モノ、青春モノでは、常套句となっている「一人のキャラを深堀りする…」と言うパターンだ。しかし、それだけでは、「今後、順に生徒たちを掘り下げるのか…」と先を読まれてしまうから、一工夫を凝らして、主人公自身の “変化” を盛り込んだ。
「廃部寸前のボクシング部の復活」、「東大受験」、「教員免許を持っているボクシング部の救世主の誕生」と回を重ねる毎に要素が増えていくが、意外とゴチャゴチャしていない。むしろ、説得力も納得感もある。
それは、第1話から踏襲されている “俳優さんたちの丁寧な演技” が、各キャラの脚本の台詞だけでは通じにくい心情の変化を、的確に繊細に演じているからだと思う。もちろん、ゲストを含めて。そして、絶妙なキャスティングも功を奏しているとは思う…
ストーリーを止めずに"主人公の過去"を盛り込んだのは秀逸
個人的に良かったと思うのは。ボクシングの試合形式のやり取りを使って、主人公の人物紹介、主人公の過去、主人公の人となりを描写したこと。
「よくあるパターン」と言ってしまえば、それまでだが。しかし、ストーリーを止めて割り込ませるのではなく、生徒の問題解決の手段の中に組み込んだのは違和感がなかった。
現実的には強引な解決法だったが、ドラマだから、ドラマこその表現という意味では、コンプライアンスに配慮し過ぎである最近のドラマらしからぬ手段で、逆に新鮮味を感じることもできた。
校内のロケ地がドラマ『古見さんはコミュ症です。』と同じ
第1話から書こうと思っていたが、機会を探していたら今回になってしまったことがある。
それは、本作の舞台である「松葉台高校」の校内のロケ地が、2021年秋に放送されたNHKドラマ『古見さんはコミュ症です。』の舞台である「私立伊旦高等学校」のロケ地でもあった、千葉県松戸市にある「光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高等学校」(公式)ということ。特徴的な回廊廊下が見て取れたから。それだけのことだが(苦笑)
あとがき
全体的に満足度が高いので不満はありません。ただ、ちょっとだけ気になったのは、今回の顛末がボクシング部内だけで終わったことです。
恐らく、校長の大場麻琴(内田有紀)は主人公の過去を知っている可能性がありますよね。だとしたら、今回の中心人物である水野あかり(山田杏奈)の経緯や変化、事態そのものの一部始終が、ドラマとしてフィードバックされないと、「非常勤講師は生徒のことに首を突っ込まない」の原則を破ったことの意味が薄まるような。
この点は、次回以降を見守ろうと思います。
※来週(第4話)は「GW拡大スペシャル」で《23:0022:00》まで拡大放送です!
★本家の記事のURL → https://director.blog.shinobi.jp/Entry/16788/
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